【関屋記念】中京記念は敗退組に妙味あり 注目は米子S勝ち馬のメイショウシンタケ

勝木淳

2023年関屋記念に関するデータ,ⒸSPAIA

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関屋記念こそ外枠優勢

新潟外回りは最後の直線658.7mが最大の特徴だ。現地で観戦すると、4コーナーから直線に入ってくる馬群は遥か遠く。そのスケールの大きさを感じることができる。同時に向正面も600m近くあり、3コーナーを頂点に緩やかにのぼり勾配になっている。

前半はスローが定番のコースで、先行馬は簡単には止まらないが、サトノアーサーが追い込みを決めた20年は前後半800m46.3-46.8と前半が流れ、最後600mは35.3と持続力を問う流れになった。スローの瞬発力勝負と決めてかかれない。特に今年は中京記念を逃げ切ったセルバーグがいて、展開予想は気をつかいたいところだ。データは過去10年間のものを使用する。

関屋記念の人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【3-2-3-2】勝率30.0%、複勝率80.0%は基本的に手堅い新潟外回りらしく安定しているものの、2番人気【1-0-1-8】勝率10.0%、複勝率20.0%以下は横一線で、相手はしっかり考えて選ばないといけない。4番人気【4-1-1-4】勝率40.0%、複勝率60.0%、6番人気【0-3-1-6】複勝率40.0%あたりにツボがあり、ひとひねりしたい。

関屋記念の年齢別成績,ⒸSPAIA


3歳【1-0-2-7】勝率10.0%、複勝率30.0%は、前走NHKマイルC【1-0-2-4】が好走ゾーン。今年は該当馬がいないので、古馬に注目する。4歳【2-2-3-22】勝率6.9%、複勝率24.1%、5歳【4-5-5-47】勝率6.6%、複勝率23.0%、6歳【2-3-0-31】勝率5.6%、複勝率13.9%と確率的には差がなく、若いからいいというわけではない。今年はアイビスSDも5歳、6歳、6歳で決まっており、夏の重賞はベテランが躍動するステージでもある。

関屋記念の枠番別成績,ⒸSPAIA


そのアイビスSDは外枠有利のデータを2枠のオールアットワンスが覆し、意表を突く結果となったが、関屋記念も同じく外枠が優勢。7枠【4-2-1-17】勝率16.7%、複勝率29.2%、8枠【3-3-0-18】勝率12.5%、複勝率25.0%と10年で7勝が外枠から出ている。

新潟マイルはコーナーの占める割合が非常に少なく、クセがないコースだが、その分、内枠は馬群で揉まれる可能性が高い。特にスローペースだとひと塊で進むため、内枠はスパートをかけにくい。外枠は折り合いに気をつかうものの、その点が気にならないのであれば、のびのび走れるメリットは大きい。


中京記念組からはメイショウシンタケ

前走成績の傾向でポイントになるのは同じサマーマイルシリーズの中京記念だろう。特に今年は勝ったセルバーグと2着ディヴィーナがそろって参戦してくる。この2頭を中心に2年前の覇者ロータスランドら実績馬がどこまで迫るかという図式だ。

関屋記念の前走クラス別成績,ⒸSPAIA


関屋記念の前走レース別(GⅠ)成績,ⒸSPAIA


前走クラス別成績では、まず前走GⅠ【2-2-4-17】勝率8.0%、複勝率32.0%から。NHKマイルCが数字を押し上げている印象で、古馬の同条件である安田記念は【0-2-1-7】複勝率30.0%、ヴィクトリアマイルは【0-0-1-6】複勝率14.3%と数字的にはやや頼りない。

今回、前走がNHKマイルCと安田記念だった馬の登録はなし。ヴィクトリアマイルからの好走は16年マジックタイム(VM6着)の3着1回のみ。14着ララクリスティーヌは新潟との相性は悪くなく、反転攻勢の期待もある。

アヴェラーレの京王杯SCは【0-0-0-5】。GⅡ自体も【0-0-0-8】と不思議と好走がない。やはり注目はGⅢ組の中京記念【3-5-2-38】勝率6.3%、複勝率20.8%で、中京施行の中京記念に限ると、【2-4-2-32】勝率5.0%、複勝率20.0%。やや2着が多い点は気になるところだ。

関屋記念の前走中京記念での着順別成績,ⒸSPAIA


中京施行の中京記念組の着順内訳をみると、4着以内【0-2-0-15】、5着【0-2-1-1】複勝率75.0%、6~9着【2-0-1-10】勝率15.4%、複勝率23.1%、10着以下【0-0-0-6】と、そこそこ負けた馬から好走馬が出る。1着【0-1-0-2】、2着【0-0-0-4】なので、セルバーグ、ディヴィーナは特に注意が必要だ。

中京記念5~9着となると、メイショウシンタケが面白い。米子S勝ち、中京記念でそれなりに負けて関屋記念となると、21年覇者ロータスランドと同じパターンだ。昨年のウインカーネリアンは中京記念を挟まず米子Sと連勝しており、ここのつながりは強い。同じ左回りの中京記念ではなく、米子Sとの親和性の高さに注目しよう。

関屋記念に関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。


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