【マイラーズC】初マイルのロングランに熱視線 劣勢の前走同距離組は「先行していた馬」を狙うべし
勝木淳

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上位人気堅実だが
古馬マイル路線は基本的に本流と呼べるローテーションがない。直近10年の安田記念勝ち馬の前走レースは8通りもある。
ヴィクトリアマイルとダービー卿CTが各2勝のほかは京王杯SCにマイラーズC、高松宮記念、天皇賞(秋)、安土城S、クイーンエリザベス2世Cとバラバラ。有力と言える前哨戦が存在しない。
マイラーはもちろん、中距離型もスプリンターも対応できるのは、マイルが競馬の根幹をなすからだ。多くの馬はまずマイルを経験してその実力を試し、適性のヒントを得て、別路線へわかれていく。こうして散り散りになったA級馬たちが合流する舞台がマイルGⅠ。いわば基本に立ち返る場だ。
各路線から合流するターミナルのような場所だからこそ、その道のりはバラバラになる。本流となるはずのマイラーズCは、安田記念よりも同じ京都のマイルCS好走馬を輩出するレースでもある。あえて遠くにあるマイルCSでの狙い馬を決めるのも面白い。データは阪神施行の2年間を含む、過去10年分を使用する。

1番人気が【4-2-2-2】勝率40.0%、複勝率80.0%を誇り、2番人気も【2-2-1-5】勝率20.0%、複勝率50.0%と上位候補は基本手堅い。
以下3番人気【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%に4番人気【1-1-2-6】勝率10.0%、複勝率40.0%と人気順に信頼度が落ちていく。馬券購入側が正確にジャッジできるレースといっていい。

主力は4歳【4-5-3-30】勝率9.5%、複勝率28.6%と5歳【4-1-5-25】勝率11.4%、複勝率28.6%のふた世代。ただし6歳【2-1-1-25】勝率6.9%、複勝率13.8%に7歳以上も【0-3-1-31】複勝率11.4%とベテランも食い込んでくる。
ちなみに、6歳以上は阪神【0-0-0-15】に対して京都【2-4-2-41】なので、今年も要注意だ。
決め手は瞬発力か先行力
今年のメンバーで実績面を重視すると、ジュンブロッサムやロングランあたり。6、7歳のベテランに対して4、5歳がどこまで対抗できるのか。見どころはここだろう。

4コーナー下り区間から平坦な直線に向かう京都は後半勝負が定番。このマイラーズCも、上がり3F1位を記録すると【5-1-1-3】勝率50.0%、複勝率70.0%と圧倒的だ。末脚勝負に強い馬を選ぶ。これを基本線としていい。
以下、2位も【3-4-2-11】勝率15.0%、複勝率45.0%と末脚重視は動かない。一方で、上がり4位以下でも逃げ先行なら【2-5-3-28】。ざっくりいえば、切れる馬と位置をとれる馬を組み合わせよう。

次は前走距離に注目。というのも、同距離の前走マイルが【3-5-8-80】勝率3.1%、複勝率16.7%と思ったほど勝てない。延長【2-3-1-12】勝率11.1%、複勝率33.3%や短縮【5-2-1-19】勝率18.5%、複勝率29.6%といった距離変化組が優勢だ。
京都開催に限っても延長【2-3-0-9】勝率14.3%、複勝率35.7%で短縮【4-2-1-15】勝率18.2%、複勝率31.8%と変わらない。距離短縮になるミスタージーティーやロングランはマイルのイメージはないが、データでは買いとなる。
ちなみに、距離短縮かつ前走上がり3位以内なら【5-0-1-4】勝率50.0%で、短縮かつ前走4着以内も【4-0-1-4】勝率44.4%の好成績。ロングランはどちらにも該当する。

データでは劣勢の前走マイル組だが、出走数は多いため、やはり取捨は馬券的中のカギとなる。ここは前走上がり順位が目安だ。
意外にも、前走マイルで上がり最速は【0-0-0-13】と好走なし。3位【1-1-0-4】勝率16.7%、複勝率33.3%など、前走上がり順位では下位から好走馬が出る。
最初の上がり3Fデータと同じく、前走マイル組を買うなら先行していた馬がいい。六甲S4着のセオ、7着ニホンピロキーフらが候補だ。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。
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