【フローラS】中距離実績が結果に直結する一戦 フラワーC3着ゴーソーファー、2戦2勝ブラックルビーに好データ

勝木淳

過去10年のデータから見るフローラステークス,ⒸSPAIA

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前走マイル重賞は苦戦

牝馬クラシックは桜花賞をエンブロイダリーが勝ち、早くも次のオークスへ向けた戦いがはじまる。桜花賞からオークスは中5週。クラシックは最初の一冠が終わると、一気に進む。この間、桜花賞以外からオークスを目指す馬たちは、フローラSかスイートピーSでの権利獲得を目指す。

桜花賞組やフラワーC組と比べると、かなり忙しいスケジュールになる。だが、それでも立ちたい、立たせたいのがクラシック。強行軍を生き残るタフさをまとい、逆転の機を伺うのはどの馬か。フローラSは二冠目の逆転候補を探すレースでもある。ここからは過去10年のデータを使用してフローラSを展望する。

人気別成績,ⒸSPAIA


人気別成績では1番人気【1-2-0-7】勝率10.0%、複勝率30.0%、2番人気【2-3-2-3】勝率20.0%、複勝率70.0%など5番人気【2-0-2-6】勝率20.0%、複勝率40.0%までは差がなく、上位5頭はどこからでも入れる。実績最上位ランクは桜花賞、オークスと進む。よって、現状だと実績は足りないが、素質を秘める馬たちが集うため、この比較は非常に難しい。

抜けた馬がいない混戦模様も、5頭ぐらいまでは絞れる。問題はこの5択。実力で選別するのは不可能に近い。大穴は10番人気以下【1-3-1-70】勝率1.3%、複勝率6.7%と2着に入るチャンスは十分考えられる。上位5頭中心もそれだけで馬券を構成するのは危ないレースだ。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


ポイントのひとつ目は前走重賞組。特に桜花賞戦線からこちらに矛先を変えてくる馬たちの取捨選択が難しく、前走がマイル重賞だと【1-4-1-17】勝率4.3%、複勝率26.1%と物足りない。5着以内【0-0-1-8】、6着以下【1-4-0-9】と好走しなかったことがプラスに働く。つまり、マイル適性を示せなかった馬=中距離でチャンスありとみるべきだ。

クイーンC組では3着エストゥペンダ(スイートピーSと両にらみ)より7着ロートホルン、8着ティラトーレ、10着ロンドボスがいい。とはいえ、ロートホルンとロンドボスは抽選突破が条件であり、ティラトーレはフェアリーS、クロッカスS2着とそもそもマイル適性が強そう。だが、エンブロイダリーが桜花賞を勝ったことで、強調されるだろうエストゥペンダのクイーンC3着というプロフィールは実際、嫌うべきという傾向は押さえておこう。

前走重賞でも中距離なら話はかわる。前走フラワーCは【2-2-4-13】勝率9.5%、複勝率38.1%と買い度合いが違う。同3~5着【2-2-3-3】、6着以下【0-0-1-8】とマイル重賞とは反対で、好走馬が良い。3着ゴーソーファーは狙い目。2走前、中山芝2000mで2勝目をあげており、距離延長は望むところだ。

侮れないのはブラックルビー

重賞組は距離に注目し、上手に出し入れしよう。やはりマイルから中距離への切りかえは我々が考えるより難しい。見た目の成績欄に騙されないようにしたい。

前走1勝クラス・距離別成績,ⒸSPAIA


次にポイントになるのは前走1勝クラス【6-2-3-59】勝率8.6%、複勝率15.7%だろう。ここも距離が重要で、距離延長でも1800m未満だと【0-0-0-11】。1800mは【3-1-2-20】勝率11.5%、複勝率23.1%と中距離経験が大切だ。2000mも【2-1-1-22】勝率7.7%、複勝率15.4%で1800、2000mからの臨戦がいい。

前走1800m1勝クラス2着以内だと【3-1-2-9】で、3着以下【0-0-0-11】。条件戦の中距離で勝ち負けできないと重賞は厳しい。君子蘭賞を勝ったルクスジニアは評価しよう。また平場を勝ったブラックルビーも侮れない。2歳7月福島から3歳3月中山と間隔はかなりあいたが、2戦2勝という事実は動かない。

前走1勝クラス・2000m・着順別成績,ⒸSPAIA


前走2000mも考え方は同じ。1、2着【2-1-0-7】、3着以下【0-0-1-15】と勝ち負け優先。フリージア賞を勝ったヴァルキリーバースには追い風となる。あすなろ賞4着ドーギッドは中距離適性を感じるものの、データ上はやや厳しい。

過去10年のデータから見るフローラS,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。

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