【2歳馬ジャッジ】上がり3Fタイム31秒4を記録したリバティアイランドを高評価 次走どこまで弾けるか楽しみな逸材

山崎エリカ

7月5週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

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強烈な末脚を繰り出す新馬が登場、7月5週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。上がり3Fタイム31秒4を叩き出したリバティアイランドや高額馬ダノントルネードなどが勝利した7月30日、31日の2歳戦について指数と評価を掲載する。

7月30日(土) 新潟1R 優勝馬 シルヴァーデューク 指数-3 評価B
小倉2週目のラヴェルが勝利した新馬戦で3着だったシルヴァーデューク。今回の相手は前走で5着以下に敗れた馬ばかりで、順当に勝利した。

本馬は前走時、中団中目でレースを進め、最後の直線序盤では前が壁になり、外に立て直すロスもあった。今回は3番枠からトップスタートを切り、ハナを主張する馬を行かせてその外を追走。最後の直線ではスムーズに加速し、2着に2馬身半差をつけて勝利した。

今回は相手が弱かったばかりでなく、着実に成長を感じさせる内容だった。今後は勝ち負けを繰り返しながら上を目指して行くだろう。また、このレースで3着のダンツビガーはラヴェルの新馬戦では10着と大敗していた馬。ラヴェルの評価は相対的に上がった。

7月30日(土) 新潟5R 優勝馬 リバティアイランド 指数-4 評価AA
2番枠から出遅れたリバティアイランドだったが、二の脚で最内を取り、道中は中団やや後ろを追走。4角で中目に出し、直線で外に出されるとスパート開始。ラスト1Fで先頭に並びかけ、そこから突き放し2着に3馬身差をつけて勝利した。

ラスト2Fは10秒2-10秒9。上がり3Fタイムは31秒4。最後の1Fで減速し、ラスト2Fからラスト1Fまでのラップが速いのは新潟芝の並レベルの新馬戦でよくある数字の並びだ。この手の新馬戦で上がり3Fタイムが速いと、過剰評価されるのは10年以上前からよくあること。普通なら過剰評価になる。

しかし、本馬はスタートで出遅れそこからポジションをリカバリーする不利があった。また上がり3Fタイムの31秒4は、同週の新潟芝では最速タイム。翌日の新潟1000mアイビスサマーダッシュの出走馬で上がり3Fタイム最速だったロードベイリーフの32秒0よりも0.6秒も速かった。

つまり、この上がり3Fの数字は価値があるということ。ラスト1Fで大幅に減速しているマイナス点はあれど、それを相殺して余りある数字と言えるだろう。今後の活躍が大いに期待できる。

7月31日(日) 新潟1R 優勝馬 スクーバー 指数-13(ダート) 評価B
新馬戦は大外16番枠から出遅れ。3角で外を回って一気に位置を上げ、4角では大外から勝ちに行くロスの大きい競馬だった。しかし直線ではいったん2番手まで上がり、見せ場十分の6着。今回は10番枠から五分のスタートを決め3番手からの競馬。最後の直線ではライバルを一気に突き放し、7馬身差の圧勝を収めた。

走破タイム1分11秒0はレコード。指数は古馬1勝クラスの水準を超えるものを記録した。今回は能力を出し切っての結果も、とにかく強かった。今後は勝ったり負けたりになるだろうが、能力は高そうだ。

7月31日(日) 新潟2R 優勝馬 サトノヴィレ 指数-4 評価B
新馬戦では後にダリア賞を勝利したミシシッピテソーロの2着だったサトノヴィレ。今回は2番枠からスタートダッシュが付かず最後方からのレースになったが、最短距離を通って最後の直線で外に出されると、しっかり伸びて勝利した。

走破タイムは1分34秒4、上がり3Fタイムも33秒3と悪くない。今回はテンに置かれてしまっただけに、昇級戦でいきなり通用するには戦法にひと工夫が必要。勝ち負けを繰り返しながら楽しめる馬になりそうだ。

7月31日(日) 新潟5R 優勝馬 ダノントルネード 指数-2 評価A
セレクトセールで2頭合わせて4億円超え(税込み)で取引されたシャザーンとダノントルネードが上位人気に支持された新馬戦。このレースはなぜか出遅れる馬が多く、内にシャザーン、外にダノントルネードが並走しながら前に行った。

いったんシャザーンがややリードを奪ったが、4角でダノントルネードが再び差を詰めた。直線でも隊列は変わらず、激しい追い比べ。最後にマークする強みがあった分だけ、ダノントルネードがわずかに先着したところがゴールだった。

なかなかインパクトがある一戦で、ラスト2Fは10秒3-11秒4と大幅に減速。見た目にはもっとスピード感があったが、そこまで余裕があったわけではなさそうだ。このレースの上位は評判馬が多かった。将来的に走ってくる馬が多そうだ。

7月30日 札幌1R 優勝馬 アネモス -14(ダート) 評価A
新馬戦では後に函館2歳ステークスを勝利したブトンドールの2着。前走の未勝利戦では馬場が悪い中、ハイペースで逃げたため3着に失速したが、負けて強しの走りだった。

今回はデビュー3戦目、初めてダートに出走。初ダートだったからかスタート直後はもたついた感じだったが、加速がついてハナを奪取、マイペースの逃げとなった。直線に入ると後続を一気に引き離し独走、結果9馬身差の圧勝。

マークした指数は古馬1勝クラスの水準を上回るもの。初ダートでこの走りは価値がある。昇級後はマークされる立場、距離延長など克服しなければならない課題も多く、すんなりと上昇しないかもしれない。しかし、スピード能力が高く、最終的には上のクラスまで行くだろう。

7月30日(土) 札幌5R 優勝馬 ブライトファントム 指数-2 評価B
外枠が不利な札幌芝1500mで大外12番枠からハナを主張して逃げる競馬となったブライトファントム。また、外枠発走になり13番枠から出たショーモンは、折り合い欠き気味に2番手を追走。この2頭が最後の直線に入ると、後続を一気に引き離してマッチレースとなった。ゴール直前で外のショーモンが前に出たようにも見えたが、結果的にブライトファントムがわずかに前に出ていた。

前記2頭で3着以下に5馬身以上の差をつけてのゴールだったが、ラスト2Fは11秒0-12秒0と急失速した形。結果、指数は高いものとはならなかった。ただ、今回の上位2頭はともに不利な枠を克服しての好走だけに、もっと奥がありそうだ。今後の活躍を期待したい。

7月31日(日) 札幌5R 優勝馬 ウェイビー 指数-4 評価A
6頭立てとなった新馬戦。ウェイビーはスローペースの中、道中3番手を追走した。4角手前で外に出して前を捕らえに行き、直線ではジワジワと差を詰めて差し切った。

そこまでスピードを感じさせないレースだったが、結果は2着に2馬身半差、3着以下には7馬身以上の差をつけており、なかなかの好指数勝ちとなった。

ラスト2Fは11秒5-12秒0と減速している点はマイナスだが、上がり3Fタイム35秒4はこの週の札幌芝2000mとしては悪くない。長く良い脚を使うタイプなのだろう。活躍する条件を多少選びそうな感じはあるが、注目していきたい馬だ。

2022年7月5週目の2歳馬PP指数,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)リバティアイランドの指数「-4」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.3秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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