【2歳馬ジャッジ】フェアエールングが好内容で完勝 兄姉同様スタミナ生かせる舞台での活躍に期待

山崎エリカ

2022年7月3週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

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重賞でも期待できる馬が出た7月3週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。重賞で活躍した兄姉のようなスタミナを見せたフェアエールングや、2戦連続で上がり最速タイムを記録したサンライズフォルスなどが勝利した7月16日、17日の2歳戦について、指数と評価を掲載する。

7月16日(土) 福島5R 優勝馬 フェアエールング 指数-4 評価AA
7番枠からトップスタートを切り最序盤は抑えていたが、他の馬が全く行かず、逃げる競馬となったフェアエールング。5F通過は1分05秒7のスローペース。よって多くの馬が余力を残しており、ラスト3Fから一気にペースが上がった。4角手前では2着となるナンヨークリスタルが外から前に出て、本馬はこのまま失速してしまうのかと思われる瞬間もあった。

しかし、直線に入るとライバルたちが馬場の良い外に進路を切り替え、苦しくなってフラフラしているなか、本馬は内を通ってしっかり最後まで伸びて勝利した。

ラスト2Fは11秒4-11秒6。かなりタフな馬場だったことを考えれば、減速度合いは少なく悪くない。半兄マイネルシュバリエ、半姉マイネグレヴィルはともにスタミナを生かすレースで2歳時から重賞で活躍した。本馬もレースぶりからかなりのスタミナを感じられる。人気になるタイプではないが、条件が揃えば大仕事も期待できそうだ。

7月16日(土) 福島6R 優勝馬 シナジーエフェクト 指数-2(ダート) 評価B
外の12番枠から好発を決め内の馬の出方を窺いながら、道中は前3頭から離れた4番手を追走したシナジーエフェクト。4角で前の馬が膨らんでその外から交わしていく形になったため、いくらか手間取ったが最後はしっかり伸びて差し切った。

着差、指数などは特に強調できるものではないが、ラスト2Fが12秒4秒-12秒3と最後まで加速しながら勝利したことは高く評価できる。フットワークもなかなか良く、まだ奥がありそう。意外と伸びそうな一頭だ。

7月17日(日) 福島2R 優勝馬 スムースベルベット 指数-4 評価B
9番枠からトップスタートを切ったが、内からハナを主張してくる馬を行かせて、2番手で折り合ったスムースベルベット。最後の直線序盤で逃げ馬を競り落とし、ラスト1Fで先頭に立つと、ライバルたちの追撃を封じて勝利した。

この日の福島の馬場を考えると走破タイムは悪くなく、指数はなかなか良いものとなった。しかし、ラスト2Fは11秒5-12秒2と大きく減速しており、余裕は感じられない。

本馬のデビュー戦はダートで7着と大敗しており、今回は初芝で大きく前進したことになる。まだまだ芝で上昇が期待できそうな臨戦過程だ。注目しておきたい。

7月17日(日) 福島5R 優勝馬 マスキュリン 指数-1 評価B
2番枠からまずまずのスタートで好位直後の内を追走したマスキュリン。折り合いコースロスなくレースを進め、最後の直線でひとつ外に出されるとしっかり伸びて勝利した。

ラスト2Fは12秒2-12秒5とまずまず。指数は平凡もレースセンスの良さを感じる。勝ったり負けたりしながら上昇していく馬になりそうだ。

7月16日(土) 小倉5R 優勝馬 コンクシェル 指数-2 評価A
6番枠からゆったりとしたスタートで道中は後方からの競馬となったコンクシェル。5F通過は1分00秒4。芝中距離新馬戦としてはそれなりにペースが流れたこともあり、何度か促される場面があった。4角手前からはスムーズに外目から上がり前との差を少しずつ詰めると、直線ではしっかり脚を伸ばして差し切った。

ラスト2Fは11秒9-12秒0とほぼ減速せず。上がり3Fタイムは出走メンバー中、断トツの1位だったことは評価できる。秀逸という評価はできないが、長く良い脚を使っており、スタミナの豊富さを感じる。全姉シンシアウィッシュ同様に、距離が伸びて真価を発揮しそうだ。

7月16日(土) 小倉6R 優勝馬 タガノタント 指数-5 評価A
レースは6番枠からトップスタートを切ったトールキンが逃げる展開。1番枠からスタート直後で置かれたタガノタントは押して加速を付け、2番手でレースを進めた。3角手前で外に出し、3角過ぎからトールキンに並びかけて行く形。直線では本馬とトールキンで一気に後続を突き放してのマッチレース。最後まで2頭の叩き合いは続いたが、追うものの強みでタガノタントがわずかに先着した。

ラスト2Fは11秒4-11秒5とほぼ減速せず。走破タイムも悪くなく、上位2頭はなかなか優秀な指数を記録した。ラスト1Fの減速度合いの少なさから考えて、まだ奥がありそうだ。タガノタント、トールキンともに今後も楽しめそうだ。

7月17日(日) 小倉3R 優勝馬 ゴールデンウィンド 指数-6(ダート) 評価B
芝の新馬戦では9着と大敗していたゴールデンウィンドだったが、今回は初めてのダート戦に出走。1番枠の本馬は新馬戦同様にここでも出遅れたが、押して加速を付け、好位直後の内を確保。そこから行きっぷりよく前との差を詰め、最後の直線では馬群の間を割って突き抜けた。

ラスト2F12秒1-12秒3は悪くない。上がり3Fタイム35秒9もまずまずで、3着以下を引き離したことも評価できる。今回は一杯に走ったような内容ではあったが、初ダートで勝利したことも評価できるだろう。

7月17日(日) 小倉5R 優勝馬 エレガントルビー 指数-1 評価B
6番枠からまずまずのスタートを決め、好位の外目でレースを進めたエレガントルビー。向正面で捲って来る馬がいたが、ポジションを譲らずに位置を上げ、4角では先頭に並びかけて直線へ。最後までしっかり伸びて2着に2馬身半差をつけて勝利した。

ラスト2Fは11秒7-11秒9とまずまず。最後までじわじわと伸びたあたりに豊富なスタミナを感じさせたが、そこは半兄モズベッロとよく似ていると言える。新馬戦としてはそこまで高く評価できないが、使われながら兄同様の上昇を期待できそうだ。

7月16日(土) 函館1R 優勝馬 サンライズフォルス 指数-3 評価A
サンライズフォルスは前走芝1200mの新馬戦ではスタート直後に加速が付かず、後方からのレースとなったが、上がり3Fタイム最速で追い込み3着と能力の片鱗を見せていた。今回は芝1800mに出走。序盤で置かれることなく、5番枠からすんなり2番手を確保し、レースの流れに乗ることができた。

3角過ぎから前との差を詰め、直線入り口では先頭。そこから最後までしっかり伸び、後続の追撃を封じて勝利。ラスト2Fは12秒4秒-11秒9と大きく加速。これでデビューから2戦連続で上がり3Fタイム最速を記録した。まだ底を見せておらず、昇級後も楽しめる存在になりそうだ。

7月16日(土) 函館11R 優勝馬 ブトンドール 指数-10 評価B
出走メンバー中、芝では2位の指数を記録していたブトンドールが2歳最初の重賞を制覇。12番枠から好スタートを決め、内の馬を行かせて中団外から展開に嵌めたのが良かった。また、前走で時計の掛かる馬場を経験し、かつ指数が高かったことも勝因だろう。ただ今回の函館2歳Sは重賞としては指数が良い決着だったとはいえない。本馬が今後活躍するためには、さらに大きな上昇が要求される。

このレースで私が本命視したのは3着のオマツリオトコ。ダート新馬戦の内容が秀逸で、初芝でもやれるだろうと見ていたが出遅れもあって3着止まり。オマツリオトコにはダ1000mでデビューし、後に日本ダービー馬になったタニノギムレットのような成長曲線を期待していた。しかし、今回は出遅れたとはいえ3着。タニノギムレットのような成長曲線は期待しづらくなってしまったか……。

さて、一応これで函館2歳Sは昨年から連続的中となった。2歳馬ジャッジの原稿を書くことは勉強にもなるので、その効果が出ているのだろう。今後もバシバシ当てたい。

7月17日(日) 函館5R 優勝馬 キミノナハマリア 指数-3 評価A
函館記念当日のかなり時計の掛かる馬場で行われた一戦。5番枠から好発を切って好位につけたキミノナハマリアだが、道中は中団までポジションを下げた。あまり手応えが良かったとは言えず、苦しいかと思わせる場面もあったが、4角手前で内から一気に差を詰め、直線でも狭い内を捌いて突き抜けた。

ラスト2Fは12秒6-12秒5。かなり時計の掛かる馬場で最後まで減速しなかったことはとても高く評価できる。かなり極端な馬場だったこともあり、適性が偏っている可能性もあるが、今回のラスト1Fの数字は評価できる。今後の成績が適性を含め、どう伸びていくのか楽しみだ。


7月3週目の2歳戦PP指数,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)フェアエールングの指数「-4」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.4秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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