【2歳馬ジャッジ】ラスト2F11秒3-11秒1を差し切ったヤクシマ 次走の重賞でも楽しみな瞬発力

山崎エリカ

2022年7月4週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

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芦毛の新馬が優秀なラップを刻んだ、7月4週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。次走で小倉2歳Sに出走予定の芦毛馬ヤクシマや、2着以下に5馬身差をつけたアウクソーなどが勝利した7月23日、24日の2歳戦について、指数と評価を掲載する。

7月23日(土) 福島1R 優勝馬 ブーケファロス 指数-4 評価A
新馬戦では4角手前で前とかなり離されていたが、直線では鋭い脚で差を詰め、2着だったブーケファロス。新馬戦はラスト2Fが12秒1秒-12秒3の流れだったが、おそらく本馬の最後の伸び脚を見ると、自身は最後まで減速せずにゴールしたものと推測され、価値のある2着だった。

今回も13番枠から出遅れ、中団より後方でレースを進め、4角手前から外を回りながら進出開始。長く良い脚を使って豪快に差し切った。これでデビューから2戦とも、上がり3F最速タイムを記録。今回はタフな馬場で後方待機したので、次走ではレースの流れにすんなり乗れるか微妙な面もあるが、秘めた瞬発力はかなりのものと感じる。

7月23日(土) 福島5R 優勝馬 レストア 指数-2 評価B
時計の掛かる福島の芝2000m新馬戦で前半5F通過1分07秒4のレースで、決着タイムは2分8秒9。大外10番から途中まで好位の直後の外に控えていたレストアは、向正面から先頭に立った。4角手前からスワッグチェーンが上がって、本馬を負かしに来たので楽な展開ではなかったが、そのまま押し切って勝利した。

ラスト2Fは11秒9-12秒4。ペースを考えると最後に減速したのは不満だが、途中から先頭に立つ強い競馬ではあった。豊富なスタミナを感じさせる内容。好走する舞台を選びそうなタイプだけに、長い目で楽しめそうだ。

7月23日(土) 福島6R 優勝馬 デイドリームビーチ 指数+1 評価B
大外12番枠からスタートし、外へ逃げるロスがあったデイドリームビーチ。3角過ぎでは前とかなり離されており、届きそうな気配はなかった。またコーナーワークも稚拙で、4角ではかなり外を回ることになってしまったが、最後までしっかり伸びて勝利した。

ロスを克服して勝利した点は評価できるが、走破タイム1分12秒2はさすがに平凡。ラスト2Fは12秒6-12秒7と減速度合いが少ない点は評価できるが、指数も平凡となった。ただし、このタイプはレースが上手くなることで、急上昇することもある。本当の評価は、次走以降にすべき馬だろう。

7月24日(日) 福島3R 優勝馬 マイネルビジョン 指数-5 評価B
6月東京4週目のシャンドゥレールが勝利した新馬戦で3着だったマイネルビジョン。今回はデビュー2戦目。11番枠から五分のスタートを切ってスッと加速し、好位の外を追走した。3~4角で先頭列に並びかけ、前を負かしに行く競馬でしっかり伸びて勝利した。

このレースでは3着以下を引き離しており、なかなか良い指数で勝利したと言える。新馬戦から内容は良化。レースを使いながら、面白い存在に成長していきそうだ。

7月24日(日) 福島5R 優勝馬 ラパンラピッド 指数-1 評価B
3番枠からトップスタートを切ったが、二の脚がそこまで速くなく、外の馬に行かせて好位の後ろの内に収めた。そこから徐々に馬場の良い外に出しながら位置を上げ、4角では2列目の外。4角手前では外に逃げる馬が出現し、直線でも直進できない馬もいたレースだったが、本馬はほぼ真っ直ぐ走り抜けた。着差が僅かの勝利ではあったが、秘めた能力の高さを感じさせる内容ではあった。今後の上昇に期待したい。

7月24日(日) 福島6R 優勝馬 アウクソー 指数-3 評価A
大外14番枠からトップスタートを切ったが、内から前を主張してくる馬が多数。すっと抑えてそれらを行かせ、一旦やや離れた5番手を追走したアウクソーは、そこから徐々に位置を上げた。4角では抑えきれない手応えで先頭列に並びかけ、直線では豪快に突き抜けて5馬身差の圧勝だった。

ラスト2Fは12秒2-12秒1と加速。最後の加速が素晴らしかったためか、ゴール手前ではレース映像の画面から突き抜けてしまいそうなほどだった。走破タイムが1分11秒0と平凡だったことから、出走メンバーが手薄なレースだったことは確かだが、最後の伸びには非凡なものを感じた。今後が楽しみな一頭だ。

7月23日(土) 小倉2R 優勝馬 アイスグリーン 指数-3 評価B
新馬戦では中団からレースを進めて5着と、特に目立つ内容ではなかったアイスグリーン。今回は大外9番枠から、スタート後に内の馬に寄られたが、それをすっと交わして好位の外からの競馬。4角手前では行きっぷりよく先頭に並びかけ、直線ではそのまま押し切って勝利した。新馬戦からはレース内容が随分と良化。この上昇力ならば、将来面白い馬になっていきそうだ。

7月23日(土) 小倉5R 優勝馬 ヤクシマ 指数-3 評価AA
3番枠からはっきりと出遅れたヤクシマ。そこから徐々に前と差を詰めて行ったものの内の進路がなく、3角手前で一旦下げて3角で外に出し、4角手前では好位の外と射程圏の位置につけた。直線ではさらに外に出し、ラスト1Fで抜け出して勝利した。

ラスト2Fは11秒3-11秒1とかなり優秀。芦毛の馬体で映像を見るとそこまでのスピードを感じさせないが、ラスト1Fからのスピード感はラップが示す通り、なかなかのものだった。

スプリンターという競馬ではなかったので、もっと距離があった方が良さそうに感じる。今回は出遅れのロスがあったので、能力全開というわけではなかっただろう。それでラスト1F11秒1だけに、今後がかなり期待できる。

7月23日(土) 札幌1R 優勝馬 アンテロース 指数-3 評価B
6月阪神のカルロヴェローチェが勝利した新馬戦では4着だったアンテロース。今回はデビュー2戦目。1番枠から新馬戦同様にトップスタートを切って、外からハナを主張してくる馬に行かせて2列目の外から動いて行った。4角出口で先頭に立つと、そこからジワジワ伸びて押し切った。

上位馬との着差はつかなかったが4着以下は離れており、指数はマズマズ。レース内容は新馬戦から進化しており、これからは勝ったり負けたりしながら楽しめそうだ。

7月23日(土) 札幌5R 優勝馬 ミラーオブマインド 指数-9(ダート) 評価B
8番枠からまずまずのスタートで、好位後ろの外を追走したミラーオブマインド。3角過ぎからはかなり気合を入れて前を追いかけ、4角では2列目と射程圏内の位置。直線では先頭のエコロドゥネスを目標にジワジワと差を詰め、最後に差し切った。

このレースは3着以下が11馬身半以上も離れており、走破タイムは古馬と比較してもかなり優秀。2歳夏の時点でのダートの新馬戦としては優秀な指数を記録した。

しかし、ラスト2Fは12秒6-13秒2とレースぶりからはあまり余裕を感じられなかった。ただ新馬戦で優秀な指数を記録したことは確か。勝ったり負けたりしながら、上を目指す馬になるのだろう。

2022年7月4週目の2歳馬PP指数,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ヤクシマの指数「-3」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.3秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。


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