【2歳馬ジャッジ】函館芝1800mでラスト2F11秒3-11秒4 シーウィザードは大物の可能性十分
山崎エリカ
ⒸSPAIA
大物感漂う馬が勝ち上がった7月1週目の2歳戦
このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。新馬戦の経験を生かし未勝利戦を逃げ切ったグラニット、函館芝1800mでラスト2F優秀なラップで勝利し大物感漂うシーウィザードなどが出た7月2日、3日の2歳戦について、指数と評価を掲載する。
7月2日(土) 福島5R 優勝馬 ナックブレイブ 指数+2 評価B
13番枠からトップスタートを切って内の2頭に行かせ、2列目の外を追走したナックブレイブ。4角で前の馬が外に逸走したことで直線序盤で1列目に上がり、そこからジワジワ伸びて勝利した。
ラスト2Fが12秒1-12秒3とそこまで大きく減速しなかった点は評価できるが、走破タイムが1分11秒1と平凡。現2歳世代芝新馬戦では一番低い指数での勝利となった。平凡なタイムの勝ち上がりは大きな疲れを残さない。その点は悪くないが、今後は大きな上積みが要求される。
7月2日(土) 福島6R 優勝馬 バグラダス 指数-4(ダート) 評価B
9番枠からまずまずのスタートだったが、芝からダートに変わった地点で加速が付きハナに立ったバグラダス。しかし、外から上がってきたリリージェーンに競られ、さらに3角手前で外からトモジャミが上がってきて、最後の直線では3頭で激しい叩き合いに。
バグラダスは最後までしぶとく迫るトモジャミに抜かせず、接戦をハナ差制した。後続はバラバラに入線し走破タイムも悪くなく、なかなか強い勝ち方だった。しかし、ラスト2Fは12秒2-12秒8、そこまで余裕があったわけではなさそう。今後の奮起に期待したい。
7月3日(日) 福島1R 優勝馬 グラニット 指数-4 評価A
前走の東京新馬戦では大外16番枠から勝ちにいき、ラスト1Fで一旦抜け出す強い内容の3着だったグラニット。今回は1番枠からトップスタートを切ってハナに立つ競馬。結局最後まで脚色は衰えず、3馬身差の逃げ切り勝ち。前走の厳しい経験が生きたようだ。
デビュー2戦目で逃げ切った馬はデビュー3走目に折り合う競馬でさらにグンと伸びる馬と、やはり逃げる競馬の方が良くてあまり上昇しない馬に分かれる。さて、グラニットはどちらか。次走に注目したい。
7月3日(日) 福島5R 優勝馬 フロムナウオン 指数+1 評価B
12番枠からまずまずのスタートを決め、好位の外で折り合う競馬となったフロムナウオン。追い出されてすぐに加速できなかったが、4角手前から長く良い脚を使って前との差を詰め、ゴール線上でしっかりと差し切った。
ラスト2Fは11秒8-12秒2と減速。走破タイムは同日2歳未勝利戦と比較すると1秒劣る。そこまで評価できる内容ではなかったが、新馬戦が平凡だったため伸びしろが大きいという面もある。今後の上昇に期待したい。
7月3日(日) 福島6R 優勝馬 チカポコ 指数-3 評価B
15番枠から五分にゲートを出て、好位直後の内でレースを進めたチカポコ。最後の直線では追い比べになったが、最後の最後にクビ差前にでて勝利。レースの着差が小さくそこまで強い内容には思えなかったが、走破タイム1分10秒4はこの日の福島の馬場を考えると悪くない。
上位入線馬たちがそれなりに優秀だった新馬戦と言え、ラスト2Fは11秒5-11秒8とまずまず。この新馬戦の上位入線馬の多くが未勝利クラスを突破しそうだ。
7月2日(土) 小倉1R 優勝馬 ウメムスビ 指数-3 評価B
新馬戦は逃げ馬に競りかけ勝ちにいく競馬をして2着。勝ち馬プロトポロスが突き抜ける展開で負けて強しの内容だったウメムスビ。今回は前走で大敗している馬が多く、勝利して当然のメンバー構成。5番枠から二の脚の速さで2列目まで上がり、ラスト1Fで先頭に立つとそのまま押し切った。
今回は前走同様に強い内容の競馬ではあったが、最後は思ったほど突き放せずラスト2Fは11秒8-12秒5。指数もそこまで高いものは出なかった。今回は前走の内容が強すぎて疲れもあったかもしれない。次走の走りで能力を判断したい。
7月2日(土) 小倉5R 優勝馬 サツマノオンナ 指数-1 評価B
3番枠からやや出遅れたが手綱をしごいてハナに立ったサツマノオンナ。行き切ってからはマイペースに持ち込み、最後の直線では後続を引き離して6馬身差の圧勝。
九州産の新馬戦と言えば例年かなり低い指数での決着が多いが、同馬は一般の新馬戦でも勝利できるレベルの指数を記録。次走でどのくらいの伸びを見せるか。九州産ながら一般馬に混じっても奮戦が期待できる。
7月2日(土) 小倉6R 優勝馬 マルモリキング 指数-6(ダート) 評価B
他の出走馬と比べ馬体の大きさが目立ったマルモリキング。7番枠から好ダッシュを決め一旦ハナに立ったが、内のゴッドセンドを行かせその外2番手に控える競馬を選択。最後の直線ではゴッドセンドと叩き合いになったが、同馬をマークしていた強みを生かし、ハナ差で勝利した。
3着以下とは大きな差があり指数も悪くない。ただラスト2Fは11秒4-12秒6と大幅に減速。そこまで余裕があったわけではなさそうだ。今年度の2歳ダート1000m新馬戦は意外と強い勝ち方で今後が期待できそうな馬がいる。それらと比べるとやや落ちる印象がある。
7月3日(日) 小倉5R 優勝馬 アリスヴェリテ 指数-2 評価A
6番枠から出遅れたが、気合をつけて好位馬群の後方中目でレースを進めたアリスヴェリテ。終始促されながらの追走で、4角は大外を回らされたが、直線の追い比べで最後までしっかり伸びて勝利した。
ラスト2Fは11秒8-11秒6と悪くない。4角で外を回ったロスを考えれば、なかなか良い内容の勝利だった。次走の上昇度が楽しみな馬だ。
7月3日(日) 小倉6R 優勝馬 ロンドンプラン 指数-5 評価A
6番枠からトップスタートを切って内の2頭に行かせ、2列目の3番手で折り合う競馬となったロンドンプラン。4角で先頭のパラシュラーマの外に出し、同馬を目標に最後までしっかり伸びて勝利した。
走破タイム1分08秒2は優秀。4着以下は離されており、このレースの上位入線馬はなかなか強いという評価になる。ラスト2Fは11秒3-11秒6。そこまで余裕があったわけではなさそう。勝ち負けを繰り返しながら上を目指す馬になりそうだ。
7月2日(土) 函館1R 優勝馬 ミスヨコハマ 指数-3 評価B
前走の指数からは新馬戦で2着だったブルジュドバイとミスヨコハマの一騎打ちムードの一戦。結果も3着以下に7馬身以上の差をつけてゴール。逃げ馬の外2番手から4角先頭に立ったミスヨコハマがブルジュドバイの追撃をクビ差退け勝利した。
このレースは後続を引き離しているが、指数はそれほど優秀ではない。上位2頭とも新馬戦時から少しだけ指数を上昇させるにとどまった。これは新馬戦時と比較すると馬場状態が悪く、その状況で2頭とも前走よりも勝ちにいく競馬をしたからだろう。今回の走りは期待ほどではなかったが、上位2頭はもっと奥がありそうだ。
7月2日(土) 函館5R 優勝馬 ブトンドール 指数-3 評価B
6番枠から好スタートを決め一旦ハナを主張したが、内の馬を行かせて好位の外に控える競馬となったブトンドール。3~4角で外を回り、直線では前を行く馬を目標にジワジワ伸びて差し切った。
走破時計1分11秒1はこの日の函館芝ということを考えれば悪くない。ただラスト2Fは11秒7-12秒3と失速。そこまで高い評価はできない。勝ち負けを繰り返しながら上昇していく馬になりそうだ。
7月2日(土) 函館6R 優勝馬 ニシノシークレット 指数-7(ダート) 評価A
4番枠からまずまずのスタートだったが二の脚の速さで先頭に立ち、マイペースで逃げたニシノシークレット。最後の直線では加速し5馬身差の圧勝だった。
上がり3Fタイム35秒1。ラスト2Fは11秒4-11秒7と大きくは減速せず。走破タイムの59秒7はスタート後の3Fが36秒6とかなり遅い流れだったことを考えれば悪くない。この時期のダート新馬戦としてはこの指数はなかなか優秀。意外な活躍が期待できる馬となりそうだ。
7月3日(日) 函館1R 優勝馬 シンゼンイズモ 指数-2 評価B
3番枠から出たなりで中団よりもやや後ろからの競馬となったシンゼンイズモ。この日のタフな函館の馬場ではこれが正解だったようで、直線では外から一歩ずつ前との差を詰め、最後に差し切った。
ラスト2Fは12秒3-12秒6。あまり高く評価できるものではない。昇級直後はやや苦戦しそうな気配は感じるが、勝ったり負けたりしながら上を目指す馬になりそうだ。
7月3日(日) 函館5R 優勝馬 シーウィザード 指数-4 評価AA
大外8番枠から内の馬の出方を窺いながら、1角で外目を回って逃げる形となったシーウィザード。そのままペースを上げずにマイペースの逃げで最後の直線へ。直線ではフラフラして苦しい競馬だったが、ラスト2Fは11秒3-11秒4とほぼ減速せずにゴールイン。この日の函館はかなりタフな馬場状態、今回のラスト2Fの数字はかなり高く評価できる。
北海道の芝1800mの新馬戦でラスト2F11秒3-11秒4と減速せずの競馬ができた馬は大物になる可能性が高い。今回は直線でのフラつき具合から余裕はそこまでなかったが、ベストな状態になればかなり楽しみな馬になりそうだ。またこのレースの2着馬ルクスグローリアは上がり3Fタイム最速をマーク。この馬も今後の上昇が楽しみだ。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)シーウィザードの指数「-4」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.4秒速い
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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