【2歳馬ジャッジ】東京開幕週にクラシック主役級が登場 ノッキングポイントとモリアーナは大物感漂う

山崎エリカ

2022年6月1週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

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2022年の新馬戦開幕

今年の日本ダービーは見事ドウデュースが優勝。武豊騎手がダービー最多の6勝目を挙げた。競馬界のサイクルはこれで一区切り。6月からはいよいよ、2023年の大舞台を目指す若駒たちの戦いが始まった。

このコラムでは昨年に続き、古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回はいきなりクラシック主役級の馬が登場した東京、良血馬が順当に勝ち上がった中京で行われた新馬戦開幕週の6月4日、5日の2歳戦について、指数と評価を掲載する。

※指数算出に時間がかかるため、評価対象は1週前のレースまで

6月4日(土) 東京5R 優勝馬 ノッキングポイント 指数-7 評価AAA
10番枠からトップスタートを決めたノッキングポイント。そこからすっと下げて内の馬を行かせ、好位の直後で折り合う競馬センスの良さを見せた。最後の直線では少しずつ加速し前を捕らえ、ラスト1F地点で先頭に立つとそこからさらに加速、2着に3馬身差をつける完勝だった。

ラスト2Fは11秒2-11秒1を記録。この時期の2歳馬でラスト1Fを加速しながらの11秒1は驚きの数字。上がり3Fタイムはもちろん最速。マークした指数も優秀なもの。まさに完璧な内容で新馬戦を勝利した。

昨年6月の新馬戦はジオグリフとセリフォスが勝利した新馬戦が優秀だったが、それらを上回る内容。一昨年のシャフリヤールが勝利した新馬戦に匹敵か、やや上回るくらいのレベルだ。

直線でもほぼまっすぐ走れていたことは体幹の強さを感じさせた。今回の新馬戦の走破タイムが速すぎなかった点も、疲労があまり残らないと思われ、良い材料。おそらく今後も順調に伸びるだろう。まともなら重賞勝ちはほぼ当確。GⅠで活躍する馬になりそうだ。

6月5日(日) 東京5R 優勝馬 モリアーナ 指数-5 評価AA
5番枠から好発を決め、芝1600mで5F通過63秒6のスローペースを好位で折り合う競馬を見せたモリアーナ。競馬センスが良さそうだ。最後の直線でゴーサインが出されるとフットワークの回転が上がる。そこからグンと伸びて2着に3馬身差をつけて快勝。ラスト2Fは11秒0-11秒1。上がり3Fタイムは33秒0と、ほぼ完璧な内容。前日のノッキングポイントが勝利した新馬戦の再現のような走りだった。

優劣をつけるなら、ラスト1Fで加速したノッキングポイントの方がやや上。ただレース映像を見たスピード感、迫力はモリアーナの方があったように思う。

今年の東京開幕週の新馬戦はいきなり大物が2頭も出現。2歳6月時点ということを考えれば、モリアーナのラスト1F11秒1の数字は驚異的。AAA評価でも良いように思うが、ノッキングポイントとの対比からAA評価にした。どちらにしても順調なら桜花賞まで楽しめそうだ。

6月5日(日) 東京6R 優勝馬 クラックオブドーン 指数±0 評価B
9番枠からやや出遅れたが、すぐに中団まで上がって折り合ったクラックオブドーン。最後の直線で外に出されるとジワジワ前との差を詰め、最後はキッチリ差し切った。ラスト2Fは11秒4-11秒9を記録。

同週のノッキングポイント、モリアーナが優秀すぎたので見劣ってしまうが、この時期の平均レベルの水準にはある。クラックオブドーンはスタートがやや悪かった分、能力を出し切ったというわけではなさそう。勝ったり負けたりしながら、上を目指す馬になりそうだ。

6月4日(土) 中京5R 優勝馬 ダイヤモンドハンズ 指数-3 評価A
6番枠からまずまずのスタートを切って促され、好位の直後で流れに乗ったダイヤモンドハンズ。4角手前で外に出されると、しっかりと伸びて勝利した。ラスト2Fは11秒2-11秒7でまずまず。上がり3Fタイム34秒3はメンバー最速タイ。この上がり3Fタイムの数字は、当日の他レースとの比較からは悪くない。4着以下を引き離していることから、指数は上位3頭が水準よりも上という決着となった。

今回のダイヤモンドハンズは特に秀逸と言ったレースぶりではなかったが、2歳6月時点で悪くない指数をマークしたことは評価できる。今後の上昇に期待したい。

6月5日(日) 中京5R 優勝馬 ジョウショーホープ 指数-2 評価B
芝1400mの新馬戦らしくスタート直後からレースが緩みなく流れた一戦。ジョウショーホープはその流れを3番枠から五分のスタートを切り、手綱をしごいて好位の内でレースを進めた。最後の直線は、4角出口で前にいた馬が外へ逃避しかけたことで開いたそれほど広くない間を割って伸び、ラスト1Fで前を捕らえ勝利した。

厳しい流れを好位から伸びて勝利した走りは、着差以上に評価できる。しかし、ラスト2Fは11秒5-12秒4と急失速。余力を残しての勝利ではなかっただろう。ただ、レースセンスの良さは感じる馬。とにかく2歳6月時点でこれだけ走れたことは、先のことを考えれば大きな価値がある。今後は勝ち負けを繰り返しながら上昇していきそうだ。

2022年6月1週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ノッキングポイントの指数「-7」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.7秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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