【2歳馬ジャッジ】ウンブライルは出遅れながら4角先頭の競馬で圧勝 兄ステルヴィオ超えを狙える逸材
山崎エリカ
ⒸSPAIA
出遅れながら圧勝! 6月3週目の2歳戦
このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は2018年マイルCS勝ち馬ステルヴィオの全妹ウンブライルや、出遅れながらも5馬身差の圧勝を飾ったオマツリオトコなどが出た6月18日、19日の2歳戦について、指数と評価を掲載する。
※指数算出に時間がかかるため、評価対象は1週前のレースまで。
6月18日(土) 阪神5R 優勝馬 ファントムシーフ 指数-2 評価B
やや出遅れたものの、大外12番枠だったので包まれることなく、3番手まで位置を上げて上手に競馬ができたファントムシーフ。最後の直線では前を行くピヌスアモリスを目標に脚を伸ばし、キッチリと差し切った。
ラスト2Fは10秒8-11秒5。ペースが遅めだったことを考えるとやや足りない数字。しかし、上がり3Fタイムは33秒9と悪くない。また3着以下を引き離している点は高く評価できる。前々週、前週の中京芝1600mの新馬戦と比べるとやや落ちるが、悪くないと言ったところ。なかなか良い馬体をしている馬で、今後の成長が楽しみだ。
6月19日(日) 阪神5R 優勝馬 ナイトキャッスル 指数-1(ダート) 評価B
13番枠からトップスタートを決めたナイトキャッスル。そこから内の馬を行かせて3列目の外に控える優等生な競馬。4角では外からレヴィアタンに並ばれ、手応えひと息だったが、最後の直線ではジワジワと前に迫り、最後までバテずに差し切って勝利した。
ダ1200mの走破タイム1分13秒9は、この時期の2歳馬としてはマズマズ。ラスト2Fは12秒5-13秒3とそこまで高くは評価できないが、同馬の母サダムグランジュテはダートのオープンまで行った馬。その仔たちの中では一番良いところまで行きそうなものを感じる。
6月18日(土) 東京1R 優勝馬 ロードディフィート 指数-2 評価B
このレースはこの世代最初の2歳未勝利戦。東京開幕週のクラックオブドーンが勝利した新馬戦のほぼ再戦メンバーとなった。このレースで1番人気に支持されたのは、同新馬戦でスタート後に内の馬に寄られて後手を踏み、そこから好位3番手まで位置を挽回し2着だったロードディフィート。今回は2番手から危なげない競馬で、人気に応え勝利した。
2番人気に支持されたのは同新馬戦で出遅れ、そこから無理させず後方から上がり最速の3Fタイムで追い込んで3着だったノーブルラン。今回はまずまずのスタートを切り、勝ちを意識した競馬をしたが、伸び切れず3着に敗れた。仮に新馬戦で上がり最速の3Fタイムを記録したとしても、後方からのレースでは高く評価できないことがよく分かる結果となった。
また、このレースで4着に入ったのは、ノッキングポイントが勝利した新馬戦で9着と大敗していたベルウッドミカサ。この結果からもノッキングポイントの新馬戦はやはりレベルが高かったと推測される。
6月18日(土) 東京5R 優勝馬 ウンブライル 指数-5 評価AA
15番枠から出遅れたウンブライルだが、加速が付くと一気に逃げ馬の外2番手まで上がり、そこからしっかり折り合うセンスの良さを見せた。4角では早々に先頭に立ち、そこから後続を引き離しに行く強気な競馬。結果最後までしっかり伸びて3馬身半差で勝利した。
走破タイムは同日1レースの2歳未勝利戦よりも速く、前半3Fはこのレースの方がペースは緩んでいたことから、かなり高い評価ができる一戦だったと言える。ラスト2Fは11秒2-11秒7と減速している点はマイナスだが、出遅れから4角先頭のロスが大きい競馬だったことを考えれば、仕方ないと言える。
直線では一頭で先頭に立って目標がない苦しい競馬ながら、最後までほぼ真っ直ぐ走れていた点も高く評価できる。この馬はステルヴィオの全妹にあたる良血馬。兄のレベルに近づけるか。次走でどのくらい化けるか、とても楽しみだ。
6月19日(日) 東京5R 優勝馬 マイネルケレリウス 指数±0 評価B
出脚ひと息で中団馬群の中目で脚を温存したマイネルケレリウス。4角で馬場の良い外に出されると、直線ではいかにもマイネルの馬らしくジワジワと伸び、最後にグイッと伸びて接戦を制した。
走破タイムが1分36秒1で上がり3Fタイムが34秒0。ラスト2Fが11秒3秒-11秒8と減速。数字としてはあまり強調できるものではなかった。同馬の母は2008年福島牝馬S勝ちの実績があるマイネカンナ。母同様に使われながら、少しずつ力をつけていく馬になりそうだ。
6月19日(日) 東京6R 優勝馬 モルチャン 指数-5(ダート) 評価A
スタート直後に内の馬と接触したがエキサイトすることなく、中団中目で脚を温存したモルチャン。4角手前で最内に入り込んだが、それは裏目。前の馬が壁になり、直線序盤で進路を外に切り替えるロス。しかし、そこからグングン伸びて、はるか前を行く馬を豪快に差し切った。
ラスト2Fは13秒2-13秒2と減速せず、これはかなり高く評価できる。上がり3Fタイムはもちろん最速。最後まで加速し続けたフットワークはインパクトがあった。今後楽しみな馬になりそうだ。
6月18日(土) 函館5R 優勝馬 ゴキゲンサン 指数-2 評価B
7番枠から好発を切り、前を行く2頭からやや離れた2列目外でレースを進めたゴキゲンサン。3~4角で前との差を詰め、4角外から先頭を狙う強気な競馬。直線では早めに先頭に立ったことで2着馬ブルジュドバイに迫られることになったが、レース内容は強かった。
ラスト2Fが11秒7-11秒8とほぼ減速しなかった点は、ある程度高い評価ができる。この馬の半兄は昨年ダリア賞を勝つなど、なかなかの活躍を見せるベルウッドブラボー。ゴキゲンサンも渋い活躍を見せてくれそうだ。
6月18日(土) 函館6R 優勝馬 オマツリオトコ 指数-8(ダート) 評価A
5番枠から出遅れ、二の脚も付かず、位置取りが悪くなったオマツリオトコ。しかし、外を回りながら位置を少しずつ上げ、4角で外から一気に前を飲み込んだ。直線では後続を突き放し、最後は流す余裕を見せながらの5馬身差の圧勝だった。
ラスト2Fは11秒6-11秒7、最後までほぼ減速しなかったことは高く評価できる。スタートのロスが致命的になりやすいダート1000mで、出遅れたにもかかわらず楽勝だった点もポイントが高い。ダート1000mデビューで出世する馬はあまり多くないが、本馬は面白い存在になる可能性がある。
6月19日(日) 函館5R 優勝馬 スプレモフレイバー 指数-4 評価A
6番枠から好発を切って逃げる競馬となったスプレモフレイバー。逃げながら折り合い後続を引きつけるというセンスの良さを見せた。最後の直線に入ってゴーサインが出ると再加速。ラスト2Fを11秒3-11秒4とほぼ減速することなく、2馬身差をつけての快勝だった。
一杯に走ったようには感じないが、新馬戦としては良い指数での勝利だった。この馬の半兄は、現役のダートのオープン馬サイクロトロン。スプレモフレイバーも将来はオープンで活躍する馬になりそうだ。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ウンブライルの指数「-5」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.5秒速い
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
《関連記事》
・【2歳馬ジャッジ】プロトポロスは同日の中京競馬場での上がり3Fタイム最速を記録 順調なら今後に期待大
・【ラジオNIKKEI賞】前走皐月賞は危険信号!? フェーングロッテン、ソネットフレーズで福島開幕ダッシュ!
・【CBC賞】ファストフォース最上位もコースデータからアネゴハダ、ロードベイリーフに好走サインあり!
おすすめ記事