【2歳馬ジャッジ】シャンドゥレールとカルロヴェローチェが芝1800m戦を好内容で勝利 今後の成長に期待

山崎エリカ

2022年6月4週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

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東西で注目の新馬戦が行われた6月4週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は過去に活躍馬を多く輩出した阪神芝1800mの新馬戦を勝利したカルロヴェローチェ、この時期の2歳戦では優秀な内容で東京の新馬戦を勝利したシャンドゥレールなどが出た6月25日、26日の2歳戦について、指数と評価を掲載する。

※指数算出に時間がかかるため、評価対象は1週前のレースまで。

6月25日(土) 東京1R 優勝馬 スズカダブル 指数-5 評価B
スズカダブルは今年の中京開幕日の新馬戦で2番手から3角で先頭に立ち、最後の直線で勝ち馬の目標になってしまう苦しい展開から2着を死守した強い馬だ。今回の相手は東京の新馬戦で大敗していた馬ばかり。手薄なメンバーではあったが、しっかり期待に応え2着に3馬身差をつけて勝利した。走破タイムも悪くない。

ただ今回は好位の馬場の良い外から理想的な競馬ができており、ある程度は力を出し切った競馬ぶり。今回の相手関係ならもう少し着差をつけて勝利したかったところではある。それでも2歳のこの時期に着差をつけて勝ち上がれたことは価値がある。勝ち負けを繰り返しながら上を目指す馬になるだろう。

このレースの2着馬スティルディマーレ、3着トーセンサウダージは東京開幕日のノッキングポイントが勝利した新馬戦では大敗していた2頭。ノッキングポイントの評価は相対的にまた高くなった。

6月25日(土) 東京5R 優勝馬 シャンドゥレール 指数-4 評価AA
7番枠からダッシュ良く飛び出し一旦先頭に立ったところで、鞍上が抑えると尻っぱねする場面があったものの、何とか折り合い2番手からの競馬となったシャンドゥレール。最後の直線では外からきた差し馬たちの脚色が優勢に見える場面もあったが、ラスト300mでもうひと伸びして勝利。後続馬をバラバラの着差にしているように強い内容だった。

上がり3Fタイム34秒5はこの週の古馬芝1800mのレースと比較しても悪くない。ラスト2Fは11秒3-11秒6と減速。しかし、減速0.3秒ならこの時期の2歳馬としては悪くないが、超一流という評価もできない。ただ勝ちに行って苦しい展開を押し切って勝利したことは高く評価できる。また次走で大きく化ける可能性もあるレースぶりで、昨年のアライバルの新馬戦と似た内容、評価が妥当だろう。

6月26日(日) 東京5R 優勝馬 ミシシッピテソーロ 指数-2 評価A
7番枠から出遅れ、中団よりやや後方外目で折り合う競馬となったミシシッピテソーロ。最後の直線でさらに外に出されると、馬場の良いところを通り最後までしっかり伸びて勝利した。

ラスト2Fは11秒8-11秒8。数字自体は平凡だが、最後まで減速しなかった点は評価できる。しかし、これが自分で動いての数字なら良いのだが、差し競馬でのものなのでそこは評価が下がる。新馬戦でラスト1Fの減速度が少ない馬は一見平凡に見えても、今年の牝馬クラシック戦線で穴馬として活躍したピンハイのような例もあるだけに、ミシシッピテソーロも侮れない存在と言えそうだ。

6月25日(土) 阪神1R 優勝馬 コスモサガルマータ 指数-2 評価B
1番枠からトップスタートを切ったが、外の馬に被されて徐々に位置を下げ、中団の最内で折り合う競馬になったコスモサガルマータ。最後の直線では進路がなく、外に出しながらロスのある競馬。しかし、進路を確保するとじわじわ伸びて差し切ったところがゴールだった。

この馬は新馬戦では特に見どころなく6着に負けていたが、今回はレース内容が大幅に良化しての勝利。スタミナがかなりありそうなレースぶりだった。全姉はダートに路線転向して活躍したミッシングリンク。コスモサガルマータもスタミナを生かす舞台で活躍しそうだ。

6月25日(土) 阪神5R 優勝馬 オリオンネビュラ 指数-2 評価B
3番枠から出遅れ、二の脚もひと息で中団のやや後方からの競馬となったオリオンネビュラ。行きたがるのをしっかり抑え追走。4角で中目に出されると直線では馬群を割り、最後までしっかり伸びて勝利した。

上がり3Fタイム35秒7は今回の出走馬最速タイ。ラスト2Fは12秒3-12秒6と減速しているが、スタートで出遅れながら勝利した点を考慮すると好内容だった。次走でどこまで変われるかで評価すべき馬だろう。

6月26日(日) 阪神5R 優勝馬 カルロヴェローチェ 指数-5 評価AA
過去に活躍馬を多く輩出しており、例年注目を集める6月阪神芝1800mの新馬戦。

今年勝利したのはカルロヴェローチェ。3番枠から好発を決めて徐々に外に出し、最終的には好位の中目を追走。3角では馬群が密集し進路がなく、頭を持ち上げる場面もあったが、しっかり抑えて我慢させた。最後の直線序盤で一気に馬群が外に広がると、上手く捌いて堂々の早め先頭からそのまま押し切った内容は強かった。

上がり3Fタイム34秒2はこの日の芝中距離の古馬レースと比較してもなかなか優秀。指数も良いものとなった。ただラスト2Fは10秒8-11秒5と大幅に減速、そこまで余裕があった走りではなかったようだ。

昨年のレッドベルアームは明らかに過剰評価だったが、今年のカルロヴェローチェは評価できる点がいくつもある強い内容だった。ただ過去の怪物級の馬たちと比較すると現段階では劣るという評価になり、今後の成長が期待される。

6月25日(土) 函館1R 優勝馬 ミシェラドラータ 指数-2 評価B
新馬戦は出遅れて中団からのレースとなり、最後の直線で間を割って鋭い脚で追い込んでの2着だったミシェラドラータ。今回は3番枠からまずまずのスタートを切り、好位馬群の後方中目を追走。3角出口で外に出されるとそこから上がっていき、4角では2列目付近。直線序盤で逃げ馬に並びかけ、ラスト1Fで先頭に立つとそのまま押し切った。

内容は新馬戦からグンと良化したと言える。ただ指数はそこまで良かったとは言えない。このタイプは3戦目で折り合う競馬ができればさらにグンと良化する馬もいる。次走の走りで将来性が見えてきそうだ。

6月25日(土) 函館5R 優勝馬 フミサウンド 指数-5 評価A
7番枠から好スタートを決め、逃げ馬の外2番手でレースを進めたフミサウンド。最後の直線では逃げ馬イコサンに突き放され、手応えでも見劣り完全に2着までと思わせた場面もあったが、最後にしっかり差し切った。

走破タイム1分10秒1はこの日の馬場を考えるとかなり優秀で、好指数を記録した。ただラスト2Fは11秒1-12秒0と完全に減速し、余裕があった走りではなかった。

最後に逃げたイコサンが急失速したことからも、かなり厳しいペースだったと推測される。今回の上位2頭は好指数を記録しているように、能力自体は高そうだ。ただ疲れが残りやすいレース内容だったことも確か。今後のケアが大事になりそうだ。

6月26日(日) 函館5R 優勝馬 カワキタマックス 指数-1 評価B
2番枠からやや出遅れたが、そこからハナを奪取するスピードを見せたカワキタマックス。逃げながら折り合い、道中はかなりペースを落とす。そして4角から再加速して逃げ切り勝ちを決めた。

走破タイムは1分11秒7とかなり平凡。しかし、これは道中のペースを落としたためで評価は下がらない。ただラスト2Fが11秒4-12秒0とかなり減速しており、この点は評価できない。

ただ今回はスタートひと息からハナを奪う形のロスの大きい競馬。よって能力を出し切ったとはいえない。ロスの大きい競馬をした馬は、次走で大きく変わる余地がある。この馬の評価は次走を見てからで良さそうだ。

20212年6月4週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)シャンドゥレールの指数「-4」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.5秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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