【七夕賞】前走GⅠ組過信禁物 高配当の使者は重賞大敗、距離延長組にいる!

勝木淳

七夕賞インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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7番人気の複勝率は50%

JRAの重賞で色がつく重賞は青葉賞、目黒記念などがあるが、数字が入った重賞は「2歳S」を除くと非常に珍しい。セン(千)トウルSやセントライト記念もあるが、漢数字となると、この七夕賞と北九州記念しかない。当然、この重賞は7が毎年注目を集める。

そういった視点もまた楽しく、不思議なデータがあったりもする。またそういったところに注目が集まるほど、七夕賞はハンデ戦、かつ横の比較がつきにくい難解な重賞で、どこからでも入れるレースでもある。データでしっかり傾向をつかんでおきたい。ここでは過去10年間のデータを使用し、好走傾向をあぶり出してみよう。


過去10年七夕賞人気別成績,ⒸSPAIA


まず人気別成績。1番人気【2-1-1-6】勝率20.0%、複勝率40.0%と馬券絡みは半数以下。現在18年サーブルオールから21年クレッシェンドラヴまで4連敗中。馬券絡みすらない。12~14年は3年連続馬券圏内だったので、最近はまた一段と難しくなった。

ただ2番人気【2-1-0-7】勝率20.0%、複勝率30.0%、3番人気【3-0-0-7】勝率、複勝率30.0%。19年以降は2、3番人気が圏内に来ており、上位人気から連軸を選ぶという方針は有効といえる。そして注目の7番人気は【0-3-2-5】複勝率50.0%と勝てはしないが、連軸向き。20、21年と連続2着で、7番人気かつ4、5歳は【0-2-2-1】複勝率80.0%。今年はどうなるだろうか。さらに10番人気以下【2-1-5-54】勝率3.2%、複勝率12.9%で、3着の半数は10番人気以下とゾーンはかなり広げて検討したい。


過去10年七夕賞年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別では4歳【2-2-1-11】勝率12.5%、複勝率31.3%、5歳【4-3-3-34】勝率9.1%、複勝率22.7%が中心だが、6歳も【3-4-5-37】勝率6.1%、複勝率24.5%と侮れない。複勝回収値は217と高く、穴気配が漂う。注目の7歳は【1-0-0-23】勝率、複勝率4.2%。18年メドウラーク11番人気1着のみで、こちらはあまり機能していない。


過去10年七夕賞枠別成績,ⒸSPAIA


次に枠番別成績。13年に開催時期が最終週から2週目に移され、馬場状態が大きく変わったことで枠番別の成績は内枠が優勢。2枠【3-2-0-13】勝率16.7%、複勝率27.8%、4枠【2-0-3-13】勝率11.1%、複勝率27.8%が好成績で6枠【3-1-3-13】勝率15.0%、複勝率35.0%までがいい。不思議と好成績は偶数枠に集まる。ただし大外8枠は【0-2-1-17】複勝率15.0%とここに当てはまらない。

同じく外枠の7枠は【0-1-0-19】複勝率5.0%と不振。かつては「七夕賞の7枠が呪われている」などと言われたが、20年7枠13番ブラヴァスが7番人気で2着に入り、呪いは解けた。とはいえ、これは好成績の7番人気とデータを引っ張りあったもので、昨年も5番人気ワーケア15着と不振は変わらない。極端な外枠は評価を下げてもいい。


今年は牝馬が波乱を呼ぶか

4、5歳の7番人気は買い、7歳、7枠(ただし、人気に注意)は不振と、7にまつわるデータをひと通りみたところで、ここからは前走成績に注目していきたい。


過去10年七夕賞前走クラス別成績,ⒸSPAIA


ハンデ差を活かし、下級条件からここで結果を出す馬もいるが、おおむね前走重賞【8-6-3-88】勝率7.6%、複勝率16.2%。このうち前走GⅠ【1-0-1-6】勝率12.5%、複勝率25.0%は間隔がつまるほど成績がよく、安田記念【1-0-0-0】、天皇賞(春)【0-0-1-2】。3カ月以上開く大阪杯は【0-0-0-3】。宝塚記念を除外されたヒートオンビートは前走天皇賞(春)4着。ベストは直線の長いコースといっても、小回り2000mにも対応できる。ハンデが気になるところだが、有力だ。大阪杯13、15着レッドジェネシス、ヒュミドールは人気に推されるようなら嫌う手もある。


過去10年七夕賞前走重賞組着順別成績,ⒸSPAIA


前走重賞組をひとくくりに着順別成績を出す。前走で重賞を勝った馬の出走はないものの、前走2着【1-0-2-5】勝率12.5%、複勝率37.5%、前走3着【0-2-0-6】複勝率25.0%、前走4着【0-2-0-3】複勝率40.0%。勝利こそ少ないが、好走確率は前走重賞掲示板以内がいい。ここは当然前走を評価され、斤量を背負わされる傾向があり、嫌いたくなる面もあるが、それでも信用できる。今年だとフォルコメンなどが該当する。

前走重賞組については狙いたくなる前走6~9着【2-0-0-31】勝率、複勝率6.1%、前走10着以下【3-2-1-39】勝率6.7%、複勝率13.3%の大敗組は、5勝している反面、出走数が多く、絞りにくい。


過去10年七夕賞前走重賞6着以下前走距離別成績,ⒸSPAIA


では前走重賞6着以下から効率よく選び出す方法はあるのか。該当馬について前走距離を出すと、2000m未満の延長組が【3-1-0-24】勝率10.7%、複勝率14.3%、同距離2000m【2-0-0-26】勝率、複勝率7.1%、2000m超の短縮組が【0-1-1-20】複勝率9.1%。延長組がひとつの基準になる。また回収値は延長組の単勝回収値が244と突出。ほかは100を下回っているので、穴は前走重賞6着以下、かつ今回距離延長の馬となる。

これに該当するのが福島牝馬S11着エヴァ―ガーデン、16着ロザムール。前者は福島芝2000mで新馬勝ち後、3勝はすべて2000m以上。1800mの福島牝馬S大敗は気にしなくていいのではないか。後者は昨年2着馬、穴の6歳馬。どちらも穴候補に入れたい。

最後に前走オープン・リステッド組について。春の福島民報杯が【0-2-1-5】複勝率37.5%と好相性。勝ったアンティシペイトが出走予定だ。


過去10年七夕賞前走重賞6着以下前走距離別成績,ⒸSPAIA


その着順別成績は2着以内【0-2-0-3】。やはりアンティシペイトは圏内で、同コースで連続好走する可能性は十分にある。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。


七夕賞インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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