ルメール騎手の鉄板条件は 頭に入れておきたい2021年の傾向振り返り

東大ホースメンクラブ

年ルメール騎手の2021年成績,SPAIA,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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記憶に残る2021年の日本競馬

ホープフルSをキラーアビリティが制し、2021年の中央競馬が幕を閉じた。

今年は国内外で記録的なシーンが多く生まれた。春にはエフフォーリアと横山武史という次世代を担うコンビが誕生し、白毛馬ソダシが桜花賞を制覇、宝塚記念ではクロノジェネシスがグランプリ3連覇を決め、凱旋門賞にも挑戦した。秋には苦しんだ昨年の三冠馬コントレイルがジャパンCで有終の美を飾り、アメリカ・ブリーダーズカップでは日本馬が2勝という正真正銘の大偉業を達成。有馬記念ではエフフォーリアが新時代の到来を予告する快勝劇を披露した。

これらのビッグレースでことごとく結果を残した横山武史騎手はGⅠ・5勝と躍進したが、今年もやはり主役はルメール騎手だった。息つく間もなくスタートする2022年の競馬に向けて、5年連続リーディングジョッキーに輝いた同騎手の取り扱いをおさらいしておこう。

より前で運ぶ傾向に

ルメール騎手の過去5年の騎乗成績


<ルメール騎手 過去5年の騎乗成績>
2021【199-134-78-391】勝率24.8%/連対率41.5%/複勝率51.2%
2020【204-137-85-355】勝率26.1%/連対率43.7%/複勝率54.5%
2019【164-123-78-285】勝率25.2%/連対率44.2%/複勝率56.2%
2018【215-135-98-324】勝率27.8%/連対率45.3%/複勝率58.0%
2017【199-138-106-366】勝率24.6%/連対率41.7%/複勝率54.8%

まずはルメール騎手の全体成績を過去5年分振り返り、2021年の騎乗ぶりとその傾向を振り返っていく。

前述した通り、2021年も199勝を積み重ねて5年連続のリーディングを獲得。2年連続の200勝には惜しくも届かなかったものの、勝率・連対率・複勝率は前年とほぼ同レベルの水準をキープ。日本競馬のトップランナーとしての地位を譲ることはなかった。

これだけの好走率を残しながら、全体の回収率は単勝:71%、複勝:77%と過剰人気気味。それでも馬券で狙える条件をいくつか探していく。

調教師別では手塚貴久師とのタッグが安定。シュネルマイスターでのNHKマイルC制覇が記憶に新しいが、今年は【13-6-2-6】複勝率77.8%とおよそ5頭に4頭を馬券圏内に持ってきている。芝では【11-4-1-4】複勝率8割、単勝回収率120%をマーク。長年名コンビとしてならした藤沢和雄師が来年春に勇退とあって、新たな鉄板条件として頭に入れておきたい。

距離別では長距離であればあるほど信頼感が増し、左回りの競馬場の方が1割程度複勝率が高い。東京を中心とする馬の能力差がストレートに出る競馬場では誰よりも頼りになる。

騎乗ぶりで注目したいのは、前目で運ぶ回数が増えている点。2020年は逃げ・先行が354回だったが、2021年は393回に増加。かかり癖がある馬などを無理に引っ張ることなくジワっと先行させるスタイルは以前と同様ではあるものの、筋力の衰えか前へのさらなる意識付けなどが要因にあるのかもしれない。もし前者ならば馬券的に付け入る隙が生まれる。2022年の手綱捌きに注目しておきたい。

GⅠで勝ち切れなかった要因は?

ルメール騎手過去5年のGⅠ成績


<ルメール騎手 過去5年のGⅠ成績>
2021【5-7-2-9】勝率21.7%/連対率52.2%/複勝率60.9%
2020【8-5-1-8】勝率36.4%/連対率59.1%/複勝率63.6%
2019【5-2-2-10】勝率26.3%/連対率36.8%/複勝率47.4%
2018【8-2-2-11】勝率34.8%/連対率43.5%/複勝率52.2%
2017【4-2-3-13】勝率18.2%/連対率27.3%/複勝率40.9%
次にGⅠレースでの成績を確認する。

2021年一発目のGⅠ・フェブラリーSをカフェファラオで圧勝し幸先のいいスタートを切り、シュネルマイスター・グランアレグリアでマイルGⅠを連勝、春のグランプリ宝塚記念もクロノジェネシスで制覇。上半期で早くも4勝、秋GⅠでこの数字をどこまで伸ばすか注目されたが、12回の騎乗でグランアレグリア・マイルCSのみの勝利に終わった。秋GⅠで1勝のみだったのは2017年(ディアドラ・秋華賞)以来4年ぶりだった。それでも2・3着を死守するシーンは多かった。

距離延長となる馬で【0-2-2-4】と勝ち切れず。8頭中7頭が2番人気以内とほとんどがレースの中心格に推されていた馬だった。特に先行した馬では全てが人気以下の着順に終わっているのが気にかかる。前段で紹介した先行増加のデータと関連して気にしておきたいところ。

ルメール騎手の2021年の成績


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開。秋GⅠシーズンに合わせ、新入部員募集中。

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