【小倉大賞典】前年の上位馬参戦もデータには不安あり 注目は“好条件合致”のショウナンアデイブ
勝木淳

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じっくり推理したいローカルのハンデ戦
冬の3場開催も後半戦を迎える。およそ10分から15分おきに締切を知らせるベルが鳴る3場同時開催は馬券を買う側にとって非常にせわしない。まして今週日曜日は東京でGⅠフェブラリーSが行われる。どうしたって予想に力が入るもので、検討時間もかかる。
その前に発走する小倉大賞典はローカル開催かつハンデ戦とこの上なくややこしい条件だが、なにせGⅠに追われ、考える時間がない。そういった「買う側の事情」もあやふやな人気をつくる要因であり、波乱のもとでもある。しっかり時間をかけるだけで当たるほど馬券は甘くはないが、小倉大賞典はできればじっくり考えて推理したいレースだ。
以降は過去10年分のデータを使用してデータ分析を行っていく。
まずは人気別成績から。1番人気は【2-2-0-6】勝率20.0%、複勝率40.0%で崩れるというほど悪くないが、かといって信頼できるレベルにない。そう書くと、かなり荒れそうなレースにみえるものの、9勝は4番人気以内で、じつは単勝から大波乱というケースは少ない。
人気馬を疑いたくなるところだが、それなりに信用できる。冷静に上位人気から軸馬を選びたい。とはいえ、10番人気以下【1-2-5-57】勝率1.5%、複勝率12.3%と3着の半数は二桁人気であり、馬券を絞るのは禁物。3連系を買うなら、細心の注意を払い、買い目をケチってはいけない。
年齢では4歳が【3-1-0-15】勝率15.8%、複勝率21.1%と、確率では上の世代を大きくリードしているが、5歳【3-1-6-28】勝率7.9%、複勝率26.3%、6歳【2-3-0-35】勝率5.0%、複勝率12.5%、7歳以上【2-5-4-47】勝率3.4%、複勝率19.0%と馬券圏内の頭数に差はない。出走数の問題であり、年齢で評価はできない。
エピファニーに不安データあり
今年の4歳は昇級初戦のコスモブッドレアに注目。条件戦突破の勢いもあるが、なにせ小回りでの成績がいい。初出走の小倉もきっと合うはずで、条件としては申し分ない。対する5歳以上は昨年の1~3着馬がそろって参戦。やはり今年も難解な一戦だ。
まずクラス関係なく、ざっくり前走着順をみる。前走勝った馬は【3-4-0-18】勝率12.0%、複勝率28.0%と“連勝シナリオ”は有効だ。
条件クラス1着は【2-1-0-9】勝率16.7%、複勝率25.0%で、重賞やオープン1着だと【1-3-0-9】勝率7.7%、複勝率30.8%。勝率を重視するなら条件クラス1着に分がある。ハンデが昇級の壁を絶妙に中和する。コスモブッドレアは“買い”とい言いたいが、前走中山の条件クラス1着は【0-0-0-3】と旗色が悪い。
その下に位置する前走2~5着【2-2-4-29】勝率5.4%、複勝率21.6%の掲示板組はクラス別で明暗くっきり。前走GⅡに絞ると【1-1-2-3】勝率14.3%、複勝率57.1%と強い。格上相手の好走経験は目安になる。
問題はその下の前走6着以下【5-4-6-78】勝率5.4%、複勝率16.1%だ。ここから穴馬をきっちり絞りたい。クラス別では、GⅠ【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%、GⅢ【4-3-4-50】勝率6.6%、複勝率18.0%のどちらかからの好走がほとんどとだ。
前走中山金杯6着以下は【3-0-1-20】勝率12.5%、複勝率16.7%。ここは前走9番人気以内【3-0-1-11】と、同10番人気以下【0-0-0-9】で区切る。前者に一致するのは9番人気7着だったショウナンアデイブ。近走は内回り2000mのイメージだが、距離は1800mがちょうどよく、小回り1800mはピッタリではないか。
前走チャレンジC6着以下は【1-1-1-6】勝率11.1%、複勝率33.3%。6~9着【1-1-1-2】、10着以下【0-0-0-4】と、こちらは前走着順で鮮明になる。昨年覇者エピファニーはチャレンジC11着でデータ上は厳しい。
昨年2着ロングランの前走ディセンバーSは、1着【0-1-0-2】、それ以下【0-0-0-5】。ロングラン自身が昨年ディセンバーS勝ちから挑み、2着に好走した。今年はディセンバーS 8着で勢いがない。
芝初参戦となる注目のヤマニンウルスは前走データでは評価しようがない。兄ヤマニンサンパは芝で活躍したが、弟は脚元に弱さを抱えており、なんとも言えない。くわえて、セルバーグ、シルトホルンら逃げ先行勢との兼ね合いも悩ましい。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
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