【朝日杯FS】軸候補はジャンタルマンタルとシュトラウス 穴は近9年2勝の「前走1勝クラス×同距離」から

勝木淳

2023年朝日杯FSに関するデータ,ⒸSPAIA

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基本は上位人気堅調

ホープフルSがGⅠに昇格したのは2017年のこと。マイルと2000mの住み分けは進んでいるようで、19年サリオスや21年ドウデュースのようにクラシックを歩むパターンもあるが、朝日杯FS勝ち馬からは18年アドマイヤマーズ、20年グレナディアガーズなど1400mからマイルに強い馬が出現する。

今年はゴンバデカーブースがホープフルSへ回る。例の新馬戦を勝ったボンドガール、東京スポーツ杯2歳S勝ち馬シュトラウスを破った同馬の中距離挑戦は、クラシックを見据えたものだろう。

一方、朝日杯FSは確固たる軸がいなくなった。上記シュトラウス、デイリー杯2歳S勝ち馬ジャンタルマンタル、札幌2歳S勝ち馬セットアップらが中心になるだろう。それぞれデータや適性に死角というか、未知なる面を抱えていて、混戦模様に拍車をかける。データは阪神に舞台を移した2014年以降9年分を使用する。

朝日杯FSの人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【4-2-2-1】勝率44.4%、複勝率88.9%で3着を外したのは1度しかない。これが2016年牝馬ミスエルテ4着なので、これまで牡馬の1番人気はすべて馬券圏内だ。なお、牝馬でも18年グランアレグリアは3着。例年通りなら1番人気軸でいいが、さて、今年はどうなるか。

以下、2番人気【2-3-1-3】勝率22.2%、複勝率66.7%、3番人気【1-1-2-5】勝率11.1%、複勝率44.4%で上位3番人気以内が強い。人気薄の馬券圏内突入もないわけではないが、軸候補はある程度絞れるレースだ。

朝日杯FSのキャリア別成績,ⒸSPAIA


ほぼ抽選対象になるが、キャリア1戦は【1-0-1-3】勝率20.0%、複勝率40.0%。基本的には2戦【4-4-3-32】勝率9.3%、複勝率25.6%、3戦【3-4-1-34】勝率7.1%、複勝率19.0%を中心にとろう。キャリア2~3戦のうち、前走1着は【7-5-4-40】勝率12.5%、複勝率28.6%、2着以下【0-3-0-26】なので、これで絞ることができる。

上記データに該当するのは2戦2勝エコロヴァルツ、ジャンタルマンタル、ダノンマッキンリー、3戦2勝サトミノキラリ、シュトラウス、セットアップ、3戦1勝タイキヴァンクール、2戦1勝ナイトスラッガーの8頭。人気馬がほぼ入っており、なんやかんやと堅く収まる可能性もありそうだ。

有力候補はジャンタルマンタル、シュトラウス

朝日杯FSの前走クラス別成績,ⒸSPAIA


朝日杯FSの前走重賞、レース別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別成績をみると、前走GⅡ【1-6-4-39】勝率2.0%、複勝率22.0%、GⅢ【3-3-1-16】勝率13.0%、複勝率30.4%と重賞組が目立つ。ただ、この10年の間に東京スポーツ杯2歳SがGⅡに昇格するなど、格に変化がある。そこでまとめて重賞組の内訳を出す。

やはり最有力の前走サウジアラビアRC(※前身のいちょうS含む)【3-2-2-6】勝率23.1%、複勝率53.8%からの出走馬がいないのは痛い。ジャンタルマンタルのデイリー杯2歳Sは【1-4-2-17】勝率4.2%、複勝率29.2%。前哨戦ではあるが、相性はそこまでよくない。京都のデイリー杯だと【1-2-1-12】勝率6.3%、複勝率25.0%で、阪神だった年は【0-2-1-5】複勝率37.5%。舞台替わりは歓迎とはいえない。

デイリー杯の着順内訳は1着【1-2-1-3】勝率14.3%、複勝率57.1%、2着【0-1-1-4】複勝率33.3%、3着【0-0-0-4】、4着【0-1-0-3】複勝率25.0%なので、1着ジャンタルマンタル、2着エンヤラヴフェイスはよさそうだ。今年は前後半800m47.4-47.1の平均ラップで展開。好位から抜け出したジャンタルマンタルはマイラーとしての素養は高い。2着エンヤラヴフェイスは近い位置から2馬身差つけられた。素直にジャンタルマンタルをとりたい。

京王杯2歳S【0-2-2-21】複勝率16.0%は1着馬【0-2-1-5】、4着以下【0-0-0-9】。今年の登録は4着以下からのみで強調材料はない。

問題はシュトラウスの東京スポーツ杯2歳S【0-1-0-6】複勝率14.3%だ。18年クリノガウディーが7着から本番2着に巻き返したが、勝ち馬は出走がない。キャリア2~3戦、前走1着というゾーンに入るので、評価は下げられない。レースは前半800m47.3、1000m通過59.1、後半800m47.4、ラスト200m12.4かかっており、マイラー志向の競馬ではあった。シュトラウス自身は若さゆえに前半、行きたがる素振りをみせるが、GⅠでペースが速くなれば力を出し切れる可能性はある。

セットアップの札幌2歳Sは【0-0-0-2】。たった2頭ではあるが、どちらも1着馬。14年ブライトエンブレム2番人気7着、21年ジオグリフ2番人気5着と人気を裏切った。2歳重賞のなかでも、札幌2歳Sは洋芝の1800mと中距離要素が濃く、マイルだとスピード負けする傾向にある。逃げ切ったセットアップもラップ的に、スピード勝負は分が悪そうだ。

朝日杯FSの前走1勝クラス、距離別成績,ⒸSPAIA


最後に極端だが、前走1勝クラス【2-0-0-27】勝率6.9%をチェックする。ここは前走1600m【2-0-0-6】勝率、複勝率25.0%、1600m未満【0-0-0-16】、1600m超【0-0-0-5】なので、シンプルに前走マイルの馬を拾えばいい。ベゴニア賞を勝ったオーサムストローク、こうやまき賞ジューンテイクが候補だ。データ的には上位人気に不安もあり、穴ならこのあたりではないか。

朝日杯FSに関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。


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