【競馬】東大HCが阪神巧者を徹底検証 国分恭介騎手は「逃げ」で回収率1000%超え

東大ホースメンクラブ

種牡馬の芝・ダート阪神巧者率,ⒸSPAIA

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阪神開催がスタート

先週から阪神開催がスタート。秋華賞トライアルのローズSや菊花賞トライアルの神戸新聞杯など、秋のGⅠレースに直結する重賞が多数開催予定だ。現役では菊花賞、天皇賞(春)、宝塚記念を制しているタイトルホルダー、過去には宝塚記念連覇、阪神大賞典3連覇を成し遂げたゴールドシップを筆頭に、阪神コースを得意とする巧者たちは数多く存在する。

そこで今回は、種牡馬や騎手の阪神適性をデータで徹底検証。ここでは同コースでの勝率から全場での勝率を引いたものを「阪神巧者率」と定義し、この数値に基づいて各種牡馬や騎手の阪神コースに対する得意/不得意を見ていく(データは2018年9月15日から2023年9月10日までのものを使用する)。


ダート×内枠のエスポワールシチー産駒を狙え

種牡馬別芝コース「阪神巧者率」一覧,ⒸSPAIA


まずは、種牡馬別に芝コースの阪神巧者率について分析する。今回は過去5年の阪神競馬場での勝ち数がトップ30以内の種牡馬たちが調査対象だ。

まず取り上げたいのが、ミッキーアイル。巧者率は、驚異の14.5%-8.7%=5.8%を記録している。桜花賞3着のナムラクレアや、チューリップ賞を制したメイケイエールなど、重賞での活躍馬も多数輩出。阪神芝1400mでの成績は、【6-3-4-22】で勝率17.1%、単勝回収率107%と非常に優秀だ。芝での活躍馬が牝馬に集中しているのも特徴。阪神芝コースでは牡馬が【5-2-4-43】で勝率9.3%、単勝回収率40%と伸び悩むのに対して、牝馬は【12-5-3-43】で勝率19.0%、単勝回収率114%を記録している。

現役時代、「阪神の鬼」と呼ばれたゴールドシップの産駒も、巧者率は9.6%-6.8%=2.8%と高い。最も得意とするコースは、父が連覇を果たした宝塚記念と同舞台の芝2200m。【3-1-2-8】で勝率21.4%、単勝回収率177%を叩き出している。また、馬場状態が稍重の場合は【4-3-3-14】で勝率16.7%、単勝回収率113%(良馬場【12-14-12-93】勝率9.2%、単勝回収率41%)と渋った馬場でパフォーマンスを上げてくることも頭に入れておきたい。

その他、桜花賞を制したソダシが該当するクロフネ産駒は9.6%-7.4%=2.2%、現役屈指の阪神巧者タイトルホルダーをはじめとするドゥラメンテ産駒は12.4%-10.8%=1.6%の巧者率を記録している。

一方、キタサンブラック産駒が9.9%-12.5%=-2.6%、エピファネイア産駒が8.3%-9.5%=-1.2%、キンシャサノキセキ産駒が3.0%-4.7%=-1.7%とマイナス値を記録しており、阪神コースで苦戦していることが判明。特にキタサンブラックとキンシャサノキセキは現役時代に阪神開催のGⅠを制しており、意外な結果となった。

種牡馬別ダートコース「阪神巧者率」一覧,ⒸSPAIA


次にダートコースにおける種牡馬別の巧者率を見ていこう。芝コースと同様に過去5年の阪神競馬場での勝ち数がトップ30以内の種牡馬たちが調査対象だ。

注目はエスポワールシチー産駒で、巧者率は12.6%-9.0%=3.6%だ。ケイアイドリーやイグナイター、ペイシャエスらが現役産駒として活躍している。ダート1800mでは、【10-4-6-33】で勝率18.9%、単勝回収率443%と抜群の成績を残している。また、1~4枠は全て単勝回収率100%以上であるのに対して、5~8枠は全て単勝回収率50%を切っているという非常に極端な成績。内枠に入った場合はぜひ狙いたい。

また、シニスターミニスター産駒も12.3%-9.7%=2.6%となかなかの数字を記録。阪神コースでは、単勝回収率109%とベタ買いするだけでプラス、しかも1800m以下のコースなら単勝回収率は全て100%超えを果たしている。なかでも1800mは【27-18-12-104】で勝率16.8%、複勝率35.4%と、好走率の面でも非常に優秀だ。

また、良馬場では勝率9.8%であるが、稍重では同16.7%。重でも同16.3%を記録しており、湿ったダートでパフォーマンスを上げることは覚えておきたい。

その他、ダート種牡馬のイメージが薄いジャスタウェイ産駒が9.6%-6.9%=2.7%、スマートファルコン産駒が9.8%-6.5%=3.3%と高い。

一方、ロードカナロア産駒は6.8%-9.2%=-2.4%、ハーツクライ産駒は7.5%-9.6%=-2.1%、ドゥラメンテ産駒は8.4%-10.5%=-2.1%と大幅なマイナス値を記録。現役時代に芝で活躍した種牡馬たちの産駒が、阪神ダートを苦手としている傾向にある。

種牡馬別「阪神巧者率」一覧,ⒸSPAIA


逃げの国分恭介騎手に要注意

騎手別「阪神巧者率」一覧,ⒸSPAIA


最後に騎手別の阪神巧者率を見ていく。こちらも同コースでの勝ち数トップ30の騎手を調査対象とする。

特筆すべきは昨年、阪神開催のエリザベス女王杯をジェラルディーナで制したC.デムーロ騎手。巧者率はなんと26.1%-18.6%=7.5%。2023年は短期免許が発給されないことが確定しているが、来年以降に騎乗機会があれば是非とも阪神コースで狙いたい騎手の一人だ。

今年のWASJを優勝した岩田望来騎手も12.4%-10.7%=1.7%となかなか。最も得意なのは阪神ダート1800mで、【47-39-28-185】勝率15.7%、単勝回収率109%と騎乗回数が多い中でプラス域をマークしている。また、距離短縮ローテに該当する馬に騎乗した場合は【28-24-21-176】で勝率11.2%、単勝回収率108%とこちらも狙い目だ。

また、国分恭介騎手も5.2%-3.7%=1.5%とまずまずの数字を記録している。22年の京都記念(阪神開催)を、12番人気のアフリカンゴールドで逃げ切ったこともある同騎手。この時と同様、狙い目は逃げ馬。レースで逃げた場合は【12-4-5-28】で勝率24.5%、単勝回収率1073%を記録している。「前走逃げた馬」に騎乗した場合でも、【4-1-3-30】で勝率10.5%、単勝回収率191%。前で競馬をさせたら非常に怖い騎手だ。

一方、C.ルメール騎手は19.6%-24.9%=-5.3%、西村淳也騎手は3.9%-8.7%=-4.8%、横山典弘騎手は8.9%-11.4%=-2.5%、池添謙一騎手は7.8%-10.0%=-2.2%と大きなマイナス。名だたるジョッキーたちも苦戦する阪神コースの難しさが際立つ結果となった 。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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