【武蔵野S】ポイントは舞台適性にあり タガノビューティーやグリーンチャンネルC上位組の比較が焦点
勝木淳
ⒸSPAIA
フェブラリーSへの試金石
東京ダートは他場にはない距離が多くある。1300m、1600m、2100mなど、日本一の規模を誇る東京はダートのコース設定も特異で、直線も501.6mと群を抜いて長く、他場とは上がりタイムも違う。
ダートでも速い上がりへの対応が求められるため、他場の成績がアテにならない面もある。そのため「東京巧者」が生まれやすく、武蔵野Sは翌年のフェブラリーSに出走したい馬にとって貴重な賞金加算の場といえる。チャンピオンズCや東京大賞典の先を見据えた戦いになることは、予想する上で大切にしたい。データは過去10年分を使用する。
1番人気【2-2-1-5】勝率20.0%、複勝率50.0%など3番人気以内は好走確率が高く、まずは上位人気の取捨選択から入ろう。一方で4、5番人気【0-1-0-19】とイマイチで、8番人気【1-2-1-6】勝率10.0%、複勝率40.0%など6~8番人気は似た数字が並ぶ。
上位人気+ひとひねりといった馬券が理想であり、連下には10番人気以下【0-1-3-64】複勝率5.9%まで人気薄もしっかり潜ませたい。
年齢別をみると、確率トップは6歳【4-1-2-25】勝率12.5%、複勝率21.9%。ベテラン勢が奮闘する。ほかは3歳【1-2-2-14】勝率5.3%、複勝率26.3%、4歳【1-2-2-20】勝率4.0%、複勝率20.0%、5歳【3-4-3-38】勝率6.3%、複勝率20.8%と互角の数字が並ぶ。年齢の傾向から馬券を絞るなら、6歳を評価しよう。
グリーンチャンネルCの評価
今年の6歳勢は東京5勝のタガノビューティーや前走グリーンチャンネルC2着ベルダーイメルなど東京を得意とするタイプが多く、武蔵野Sのイメージに合致する。
前走クラス別ではダート重賞らしく前走地方が【5-4-2-21】勝率15.6%、複勝率34.4%と抜けている。
似た舞台のマイルチャンピオンシップ南部杯【2-3-0-12】勝率11.8%、複勝率29.4%。その5着以内【2-2-0-8】勝率16.7%、複勝率33.3%なので、4着タガノビューティーは有力候補だ。ただ、昨年の武蔵野S6着など、最近は東京でも重賞になると一歩足りず、そこは懸念点だろう。オープンは好走こそするものの、21年欅Sを最後に東京での勝利がない。以前と比べると、東京の速い上がりに対応できなくなっている。末脚勝負が身上だけに、差して届かないという場面もあるかもしれない。
同じ地方でもセキフウの日本テレビ盃は【0-0-1-4】複勝率20.0%と少し強調しにくい。ただ好走例は前走5着に敗れたグレープブランデーなので、4着だったセキフウもイメージ的になくはない。なお、ドライスタウトのテレ玉杯オーバルスプリントは【0-0-0-1】。
前走JRAでカギになるのが前走OP・L【5-4-4-60】勝率6.8%、複勝率17.8%だろう。とりわけ、前哨戦的位置にあるグリーンチャンネルC【3-0-3-22】勝率10.7%、複勝率21.4%が目立つ。
しかし、前提としてグリーンチャンネルCは、15~21年1400m、昨年から同舞台の1600mに変更された点に注意しよう。1400m時代【2-0-3-19】勝率8.3%、複勝率20.8%、1600m【1-0-0-3】勝率、複勝率25.0%。マイルでのサンプル数が少ないため、距離が変わって結びつくようになった……とも判断できない。
1400m時代も含め、着順別成績を出すと、4着以内【3-0-3-9】勝率20.0%、複勝率40.0%、5着以下【0-0-0-13】と好走が前提になる。候補は2着ベルダーイメル、3着ペリエールの2頭。
今年のレースは不良馬場で行われ、序盤600m34.6、前後半800m46.6-47.7、最後600m35.4。1.34.3と序盤も後半も速かった。前半ある程度の位置にいないと勝負にならないパターンで、最後に上がりをまとめられた好位勢が上位を占めた。勝ったオメガギネスが反動で武蔵野Sを回避したほどで、同じような位置にいたベルダーイメル、ペリエールも状態は気にしよう。
ただペリエールは同舞台【2-0-1-0】のコース巧者。東京で行われた最後のユニコーンSの勝ち馬でもある。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
《関連記事》
・「京都巧者」をデータで徹底調査 京都ダートに抜群の適性を誇る種牡馬とは?
・武豊騎手、JRA重賞350勝までの道のり 節目の重賞勝利を振り返る
・2023年に産駒がデビューする新種牡馬まとめ 日本馬の筆頭・レイデオロは「ディープ牝馬」との配合で期待
おすすめ記事