【秋華賞】優勝馬の最低単勝オッズはファインモーションの1.1倍 馬体重増減など「記録」を振り返る
緒方きしん
ⒸSPAIA
単勝1.1倍に応えた外国産馬ファインモーション
今週は京都競馬場で秋華賞が開催される。1996年の創設以来、さまざまな名勝負が繰り広げられてきた。初年度には絶対的な人気を集めたエアグルーヴが10着と大敗。単勝18.8倍の5番人気ファビラスラフインが勝利し、馬連配当が155倍と波乱のスタートとなったことからも、波乱の印象が強い重賞かもしれない。
そんな秋華賞を最も人気薄で制したのが、1999年のブゼンキャンドルだ。人気を集めたトゥザヴィクトリーが13着に沈むなか、12番人気の単勝57.6倍の伏兵ブゼンキャンドルがクビ差で栄冠を掴んだ。2着は10番人気クロックワークと、馬連も946.3倍と高配当となった。ブゼンキャンドルはその後、障害レースにも挑戦し、勝利を挙げた。意外性という点で、記録だけでなく記憶にも残る牝馬だった。
一方、最も人気を集めて勝利したのが、2002年のファインモーションだ。アーモンドアイ、ジェンティルドンナが単勝1.3倍で秋華賞を制して牝馬三冠に輝いたが、ファインモーションは1.1倍で勝利した。しかも2着に0.6秒差をつけ、これは秋華賞史上における最大タイム差でもある。ファインモーションは勢いそのままに続くエリザベス女王杯も制覇、年末の有馬記念でも1番人気に推されるほどの人気となった(結果はシンボリクリスエスの5着)。
外国産馬のためにクラシック出走権を持たなかったファインモーションは、3歳春は出走することなく、8月の始動で勝利。秋華賞では単勝1.4倍だったデアリングタクトなど、春の二冠牝馬が人気を集めるパターンが多いなか、自身の圧倒的なパフォーマンスで人気を掴み取った名牝だった。
ちなみに三冠牝馬で唯一、秋華賞で1番人気にならなかったのが、2003年のスティルインラブだ。同馬の三冠レース全てでライバルのアドマイヤグルーヴが1番人気に支持されていたため、3戦すべて2番人気で勝利をあげるという、今後なかなか更新されそうにない記録を作った。
20キロ増で秋華賞を制したクロノジェネシス
秋華賞は春シーズンからの成長や馬体重も気になるところ。最軽量で秋華賞を制したのが2016年のヴィブロス。馬体重414キロと、出走メンバー中2番目に軽かったが、508キロのパールコードを差し切った。2番目に軽量で秋華賞馬となったのが420キロのティコティコタック。こちらは前走からマイナス20キロと、マイナス馬体重では歴代の秋華賞馬でトップとなっている。
反対にプラス馬体重は、クロノジェネシスのプラス20キロがトップ。オークス3着時は432キロだった馬体重を452キロまで増やし、栄冠を掴み取った。なお同馬は現役ラストの5歳シーズンにおける国内2戦(宝塚記念1着、有馬記念3着)はいずれも478キロだった。もちろん馬体重が全てではないが、それでも成長力を感じさせる数字だ。
牝馬三冠を達成した名牝たちにおいても、オークスから秋華賞にかけて大幅に馬体重を増やしてくるケースは多い。アパパネは20キロ、スティルインラブは18キロ、ジェンティルドンナ、アーモンドアイ、デアリングタクトも14キロ増やしていた。今年はリバティアイランドが牝馬三冠に挑戦するが、馬体の充実ぶりにも注目したいところだ。
ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
《関連記事》
・【秋華賞】リバティアイランドの牝馬三冠をデータも後押し 複穴候補は紫苑S組のシランケド
・【府中牝馬S】狙うは左回り1800mがベストの2頭 アンドヴァラナウト、ルージュエヴァイユに注目
・【秋華賞】過去10年のレース結果一覧
おすすめ記事