【府中牝馬S】狙うは左回り1800mがベストの2頭 アンドヴァラナウト、ルージュエヴァイユに注目

勝木淳

2023年府中牝馬Sに関するデータ,ⒸSPAIA

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エリザベス女王杯との結びつき

エリザベス女王杯の過去10年、前走府中牝馬Sだった馬は【4-5-3-40】。昨年は不発に終わったが、2016~21年まで6年連続連対馬を送り、その結びつきは強い。不発の昨年はオールカマーを勝ったジェラルディーナが勝利した。これで前走オールカマーは【3-1-0-11】と勝率は2割を誇る。この2レースで【7-6-3-51】、ここに秋華賞【2-3-1-24】、札幌記念【1-1-1-1】を加えると、主要ルートができる。

関西のGⅠであっても、不思議なことに関西圏で前哨戦がない古馬牝馬路線は、今年も府中牝馬Sがカギを握る。データは過去10年分を使用する。

府中牝馬Sの人気別成績,ⒸSPAIA


人気別では1番人気が【1-4-1-4】勝率10.0%、複勝率60.0%と連軸には最適ながら、1勝にとどまっている点は気になる。2番人気も【0-2-3-5】複勝率50.0%も未勝利で、むしろ4番人気が【4-0-0-6】勝率40.0%で目立つほど。10番人気以下【2-0-0-46】勝率4.2%など伏兵の激走も十分考えられる。上位人気は堅実も、単勝は冒険してもいいかもしれない。

府中牝馬Sの年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別では4歳【5-5-5-40】勝率9.1%、複勝率27.3%、5歳【5-4-2-50】勝率8.2%、複勝率18.0%で単勝はこの二世代中心でいい。6歳【0-1-2-14】複勝率17.6%を考えても、まずは4、5歳中心の組み立てでよさそうだ。

関屋記念組は適性に注意

今年のメンバーはどちらかといえば春のヴィクトリアマイル向きの馬たちが多く、中距離志向の勢いがある馬が少ない点は特徴になりそうだ。むしろ芝1800mに適性がありそうで、激戦も予想される。

府中牝馬Sの前走クラス別成績,ⒸSPAIA


GⅠの前哨戦にあたるGⅡのわりに、前走GⅠが【0-1-3-14】複勝率22.2%と振るわないのは注意した方がいい。ヴィクトリアマイルは【0-0-3-12】複勝率20.0%で、4着【0-0-2-0】、10着以下【0-0-1-4】に好走ゾーンがある。11着だったアンドヴァラナウトは近走不振だが、昨年の3着馬でもあり、マイルより1800mの方が力を出せるタイプでもある。

前走GⅡ【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%は札幌記念【1-1-1-6】勝率11.1%、複勝率33.3%が大半を占める。3着【0-0-1-0】、5着【0-1-0-0】、10着以下【1-0-0-0】がラインで、6~9着だと【0-0-0-6】。数字だけみれば、7着だったイズジョーノキセキは推せない。ただ昨年の勝ち馬なので、当然ながら札幌記念よりは走れる条件に替わる。注意しよう。

府中牝馬Sの前走レース別(GⅢ)成績,ⒸSPAIA


前走GⅢ【4-6-5-56】勝率5.6%、複勝率21.1%の内訳を詳しくみる。コスタボニータの前走クイーンSは【3-3-3-22】勝率9.7%、複勝率29.0%。5着以内だと【3-2-1-13】なので、3着だったコスタボニータは脈ありだ。春は阪神牝馬S3着と、中距離より1800m以下がベスト。オープン入りを決めた初音Sは今回と同舞台だ。

ディヴィーナ、フィアスプライドの関屋記念は【1-3-1-3】勝率12.5%、複勝率62.5%と相性がいい。2着は出走なし、3、4着【0-2-0-0】、6~9着【1-1-1-1】なので、高速決着に対応しきれなかった馬が同じ左回りの距離延長で巻き返すパターンが目立つ。ディヴィーナ、フィアスプライドどちらもマイラータイプで、1800mで成績を上げるイメージがないのは気がかり。データを無条件に当てはめられない。

ルージュスティリアの中京記念【0-0-0-2】、ルージュエヴァイユのエプソムC【0-0-0-2】と東京ホースレーシング2騎はデータ上、強調できない。だが、エヴァイユは東京芝1800m【1-1-0-1】、東京【2-1-0-3】のコース巧者。エリザベス女王杯というより、ここが重賞タイトル獲得のチャンスという強い決意で臨んでくるだろう。他にも東京新聞杯3着以来のプレサージュリフトなど、キャリア浅めの4歳馬に注目だ。

府中牝馬Sの別成績,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。


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