【毎日王冠】エプソムC勝ちのジャスティンカフェは見どころ十分 ソングライン、シュネルマイスター含め上位拮抗
勝木淳
ⒸSPAIA
1番人気は7勝も
いよいよ2023年の競馬もクライマックスへ突入していく。4回東京開幕はその合図であり、毎日王冠は我々ファンのテンションを一段あげる役割を担う。小細工無用の東京芝1800mは現在の勢力図を見るのにこれ以上ない舞台だ。
一方でこの10年、毎日王冠を1番人気で勝った馬の次走はすべてGⅠで【0-1-0-6】。2021年シュネルマイスターのマイルCS2着しか好走はない。夏の休養明け、それなりに相手がそろう本レースで主役に支持され、勝利するのは予想外にあとを引くのかもしれない。ソングラインは米国遠征に向けてどんな競馬を見せるのか。内容にも注目したい。データは過去10年分を使用する。
上記で触れたが、1番人気は【7-0-0-3】勝率、複勝率70.0%。勝つか負けるか極端だ。負けた3頭のうち2頭はGⅠ未勝利で、残る1頭はオークスを勝ったばかりの3歳ソウルスターリング。基本的にGⅠ馬であれば信頼してよさそうだ。1番人気が7勝で、残るは3、4、8番人気が1勝ずつ。2、3着も5番人気【0-1-3-6】複勝率40.0%と6番人気【0-1-1-8】複勝率20.0%の間に境界線がある印象で、まず上位人気中心でいい。
年齢別では、3歳【3-1-0-11】勝率20.0%、複勝率26.7%、4歳【3-3-6-18】勝率10.0%、複勝率40.0%、5歳【3-3-3-22】勝率9.7%、複勝率29.0%。この3世代が中心だ。後述するが、3歳3勝はダービー2着2頭とNHKマイルC覇者で、明らかに世代上位でないとここで古馬の壁を突破するのは難しい。
ベテランの6歳【1-3-0-19】勝率4.3%、複勝率17.4%までは好走の余地を残すが、好走4頭のうち2頭はGⅠ馬で、残りは前走札幌記念Vのディサイファと東京8勝ダイワキャグニー。ベテランは格か相当なコース適性がなければ好走できない。
見どころあったジャスティンカフェのエプソムC
今年は東京マイルGⅠ・3勝ソングラインと2年前の覇者シュネルマイスター、同舞台のエプソムCを勝ったジャスティンカフェが中心というメンバー構成。そんな中で最も注目を集めるのがソングラインだ。
ソングラインやシュネルマイスターが当てはまる前走(国内)GⅠ【5-5-3-32】勝率11.1%、複勝率28.9%のうち、安田記念はもっとも出走数が多く、【3-3-2-15】勝率13.0%、複勝率34.8%。その1着馬は【0-2-1-1】複勝率75.0%と未勝利だ。敗れた4頭はロゴタイプ、サトノアラジン、インディチャンプ、ダノンキングリー。ソングラインは越えられるだろうか。
シュネルマイスターの3着は【2-0-0-1】勝率、複勝率66.7%とこちらは好成績。21年の自身と同じパターンで、毎日王冠2年ぶり2勝目も見えてきたか。好走は4着までで、5着以下【0-0-0-11】。8着だったウインカーネリアンは苦しい。
3歳は前走ダービーが【2-1-0-4】勝率28.6%、複勝率42.9%も今回は不在。エルトンバローズが該当するラジオNIKKEI賞は【0-0-0-2】とサンプルが少ない。ただ2頭は前走1着(14年ウインマーレライ、15年アンビシャス)からの参戦で、同馬には少し不吉なデータとなる。なお、エエヤンのNHKマイルCは【0-0-0-3】だ。
前走GⅡ【2-1-1-11】勝率13.3%、複勝率26.7%は札幌記念が【1-1-0-7】も今年は登録がない。バビットのAJCCはデータなし。同馬は半年以上の休養明けを考えると、いきなり今回の相手ではどうか。
次にジャスティンカフェが当てはまる前走GⅢ【2-4-5-33】勝率4.5%、複勝率25.0%をみていこう。前走エプソムCは【2-2-2-6】勝率16.7%、複勝率50.0%と堅実で、1着だと【2-1-1-3】勝率28.6%、複勝率57.1%とさらに上昇する。ジャスティンカフェが食い込んでくる可能性は高い。
今年のエプソムCは前半600m34.9、1000m通過58.3と厳しめに流れ、後半800m12.0-11.7-11.5-12.0。瞬発力というより力勝負だった。4コーナー11番手から上がり最速の末脚で差し切ったジャスティンカフェは同舞台であれば、ハイレベルな戦いにも対応できるだろう。今回は安田記念で逃げて厳しい流れを演出したウインカーネリアンがおり、ある程度タイトな流れを想定すると、ソングライン、シュネルマイスターとジャスティンカフェの3頭が中心になるのは間違いない。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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