【青葉賞】好走馬の6割超が「前走1勝クラス」 瞬発力光るエネルジコの末脚に期待

貴シンジ

青葉賞 前走1勝クラス組の好データ(過去10年),ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

26日、東京競馬場で行われる青葉賞について、下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった13頭を検討対象とし、過去10年データを使用する。

重要データ:重賞3着以内が狙い目

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


青葉賞はダービーの前哨戦であり、ダービーと同じ東京芝2400mで実施される。まずは前走のクラスで成績を見ていこう。

未勝利組は【1-0-1-20】でほとんど通用していない。唯一勝利したのは22年のプラダリアだが、同馬は前走を1.1秒差の大勝で青葉賞に進んできている。今年はレッドバンデが未勝利から参戦するが、プラダリアほど印象に残る勝ち方ではなかった。

続いて1勝クラス組。こちらは【6-6-7-66】で馬券圏内30頭の過半数を占めている。ただ単勝回収率32%、複勝回収率52%と人気馬が順当に走っている印象で、この組から人気薄を狙うのは避けたい。また、1勝クラスならば前走1着というのはほぼ必須の条件で成績は【6-5-7-29】。18年2着のエタリオウ以外、馬券圏内は全て前走1着馬だ。

続いては前走OP・L組。今年は上位人気が予想されるファイアンクランツ(すみれS、3着)のほか、ホウオウアートマン(すみれS、5着)が特別登録している。成績は【0-1-1-12】で複勝回収率は106%。前走で掲示板内だった馬が馬券に絡んでおり、今年の2頭にもチャンスはある。ただし、勝ち馬なしのデータからは勝ち切るまでは難しいと言わざるをえない。

最後に前走重賞組(※前走GⅠ組はデータなし)。GⅢ組は【1-2-1-15】で単勝回収率26%、複勝回収率32%、GⅡ組は【2-1-0-15】で単勝回収率105%、複勝回収率37%となっている。重賞から青葉賞に回ってくるというのは、基本的には賞金が足りていないということになる。よって前走3着以下に負けた馬が多く、賞金加算のため、ここで仕上げてきている馬も多い。

GⅡ組の単勝回収率が高いのは、前走負けたことにより人気を落とすが、レースレベル自体は高く、ここで巻き返してくる、と考えられる。今年はスプリングSで4、5着のマテンロウバローズとスワローシチーが出走予定だ。

【前走1勝クラス1着の出走予定馬】
・アマキヒ
・エネルジコ
・ゲルチュタール

【前走GⅡの出走予定馬】
・スワローシチー
・マテンロウバローズ

前走内容:セントポーリア賞のエネルジコ

エネルジコの前走はセントポーリア賞1着。このレースは1000m通過が60.8秒、勝ちタイムが1:48.2と東京コースの3歳戦らしくスローペースからの瞬発力勝負になった。

エネルジコはスタートで大きく出遅れてしまい最後方から。道中少しずつポジションを上げていったが、それでも4コーナーではまだ10番手あたりだった。出遅れを取り戻す分に脚を使ったこともあってか、鞍上の池添騎手は最内を選択したが、それが裏目に出て直線では進路が全くなくなってしまった。

そのため、一度大きく減速して大外まで持ち出し、再度追いなおすという展開。それでも最後は楽々差し切って見せた。素晴らしい瞬発力を持っていて、末脚比べになりやすい青葉賞では有利に働くはずだ。

血統解説:エネルジコ

エネルジコの血統表,ⒸSPAIA


・エネルジコ
日本での牝祖は母エノラ。同馬は独オークス馬で、競走馬として超一流だ。本馬の半兄フォーテ(父ロードカナロア)もダート短距離でOP馬へと出世している。

母エノラはドイツにいた頃にも産駒を残していてErasmus(父Reliable Man)がヴィンターファヴォリテン賞(独GⅢ・芝8F)を勝利。従兄弟のEl Locoはウニオーンレンネン(独GⅡ・芝11F)で2着、伯父のEgertonはハンザ賞(GⅡ・芝12F)を2度勝利とかなり活力が高い牝系だ。

特徴は柔らかい走りをする馬が多く、豊富なスタミナを有していること。半兄のフォーテは父ロードカナロア譲りのスピードでスプリント戦を走ったが、気性的な課題がなければ、体形からはもう少し長い距離でも走れただろう。

本馬は父にドゥラメンテを迎えた。同馬から受け継ぐ柔らかさがかなり出ていて、ファミリーの中でも瞬発力はトップクラス。成長が早いタイプではないのでまだまだ完成は先だが、瞬発力勝負になりやすい青葉賞なら現時点の素質だけで勝ってしまっても不思議ではない。

Cアナライズではエネルジコを推奨

今回のCアナライズではエネルジコを推奨する。競馬が上手いタイプではないので器用さが求められるレースであれば推奨しにくいが、今回はダービー前哨戦の青葉賞。同じ東京コースの前走をロスの多い競馬で勝ったことからも、直線の長いコースへの適性が高い。「前走1勝クラス1着」という好データ、前走の内容、血統と全てがそろった本命だ。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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