【阪神大賞典】ディープインパクト、ステイゴールド系の「格上馬」を狙うべし 有力馬の血統解説

坂上明大

2023年阪神大賞典の傾向と血統,ⒸSPAIA

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傾向解説

天皇賞(春)の最重要ステップレースに位置づけられる阪神大賞典。今年は本番が京都競馬場で行われるため直近2年ほどの直結性はありませんが、別定GⅡという実績馬が使いやすい条件から他の3000m超の重賞よりも格が高いことには変わりないでしょう。まずは血統面を中心に阪神大賞典で求められる適性を整理していきます。

まず紹介したいデータは単勝オッズ別成績。先述の通り、別定GⅡという賞金面でも斤量面でも実績馬が使いやすいレース条件のため、芝3000m戦という特殊条件ではあるものの、地力の足りない馬が適性だけで逆転できるレースとはいえません。格上馬の出走頭数によってはチャンスも生まれますが、近10年の連対馬20頭中19頭が単勝オッズ19.9倍以下、勝ち馬は10頭中9頭が同9.9倍以下というデータからも、ある程度人気を集めるような格上馬から狙うのが好手といえるでしょう。

単勝オッズ別成績(過去10年),ⒸSPAIA


血統面ではディープインパクト系ステイゴールド系などサンデーサイレンス系の中でも長距離適性の高い父系に注目です。ディープインパクトやステイゴールドの産駒は少なくなってきましたが、2021、22年1着馬ディープボンドはディープインパクト系キズナ産駒、2022年2、3着馬はステイゴールド系オルフェーヴル産駒、4着馬はステイゴールド系ゴールドシップ産駒と孫世代においてもスタミナはしっかりと継承されています。特に同父系らしい小柄な馬はステイヤーの可能性が高いため、馬体重にも注目してみるとさらに適性評価の精度は高まるでしょう。

父系別成績(単勝オッズ19.9倍以下、過去10年),ⒸSPAIA


また、Nureyev≒Sadler’s WellsRobertoなどヨーロッパの中長距離血統の好走も目立ちます。ただ、前哨戦らしいスローペースになりやすい側面もあるため、ヨーロッパの重厚な血で固められた血統馬ではなく、ディープインパクト系やステイゴールド系など日本の主流種牡馬との組み合わせがベターでしょう。

血統解説

・ボルドグフーシュ
4代母Belgaから繋がる牝系からは有馬記念で後塵を拝したイクイノックスなども出ており、母ボルドグザグはイクイノックスの母シャトーブランシュと共通点が多い配合形。本馬はRoberto系スクリーンヒーロー産駒らしい立ち肩が特徴的で、内回り適性も非常に高い中長距離馬です。晩成傾向の強い父ということもあり、菊花賞以上のパフォーマンスが期待できそうです。

・ディープボンド
阪神大賞典2連覇中のキズナ産駒。血統表の印象以上に柔軟なストライド走法で走り、中速の持続力勝負には滅法強い中長距離馬です。ただ、6歳馬となり、有馬記念の走りからもややピークを過ぎた印象も。相手関係も強力なため、昨年以上に厳しいレースとなりそうです。

・ジャスティンパレス
母パレスルーマーはアメリカで2013年ベルモントS勝ち馬Palace Maliceを出し、日本でも2022年阪神大賞典2着馬アイアンバローズなどを出すスタミナ豊富な繁殖牝馬です。本馬は父にディープインパクトを配し、450キロ前後の馬体重からも超長距離適性の高さが窺えるレース傾向にピッタリの1頭。3000m以上ならボルドグフーシュとは逆転可能とみています。

阪神大賞典の有力馬血統,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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