【ファルコンS】データ優勢ペースセッティングとバグラダス 前走秀逸カルロヴェローチェの懸念点とは?
SPAIA編集部
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ハイレベルな一戦になるか
2023年3月18日に中京競馬場でファルコンステークスが行われる。正直なところ例年メンバーレベルがさほど高くならないレースではあるものの、20年2着馬ラウダシオンは続くNHKマイルCを制覇、21年にはGⅠ馬グレナディアガーズが出走するなど、少しずつ潮目が変わりつつある。本番まで十分な出走間隔をとるローテーションが重宝されるようになり、3月中旬開催であるこのレースも少しだけ地位が向上しているようだ。
今年はシンザン記念2着ペースセッティングに、白梅賞を鮮やかに逃げ切ったカルロヴェローチェなど好素材が出走予定。熱戦に期待しながら、過去10年のデータからレース傾向を分析していこう。
距離延長組は連対なし
まずは人気別成績。1番人気は【1-2-0-7】で連対率30.0%。朝日杯FSの上位馬、あるいはクロッカスSなどのOP勝ち馬が1番人気になることが多いものの、あまり結果に結びついていない。
ちなみに1番人気で敗れた馬にはシュウジ、ダノンスマッシュ、トウシンマカオなどその後短距離重賞で活躍する馬がズラリ。逆に言えばそのクラスの馬でもコロっと負けてきたレースである。各3勝の2、3番人気など、少しだけひねったところから入りたい。
このレース、データを見る上で最大のトピックが前走距離別成績。距離延長組は【0-0-1-41】で連対がない。一般論としてもこの時期の3歳馬にとって1200m→1400mの延長は簡単ではないのだが、それに加えてファルコンSはとにかくペースが速く、スタミナがなければしのぎ切れない。過去10年いずれも前半600mが後半600mより速い前傾ラップ、うち5回は前半が2秒以上速かった。距離延長組のタマモブラックタイ、ミルトクレイモー、ウメムスビあたりは苦しい。
なお、前走1400mの同距離組【5-4-2-49】と距離短縮組【5-6-7-50】だと好走率に大差はない。
距離と一部ダブる話もあるが、前走クラス別を見る。新馬・未勝利戦からの参戦だと【0-0-0-9】、1勝クラス組【2-4-3-51】は距離延長組を除けば連対率16.7%と悪くない。OP・Lは馬券に絡んだ4頭全てクロッカスS組で、それを除くと【0-0-0-25】だった。
前走重賞組は、開催時期変更によって有り得なくなった前走アーリントンC以外だと、ある程度の出走例があるのはシンザン記念と朝日杯FSだけ。この2つを掘り下げる。
まずシンザン記念組だが、成績は【3-0-0-4】で勝率42.9%のハイアベレージ。今年はペースセッティングが該当する。ほとんどはシンザン記念大敗からの出走で、2着からとなると21年勝ち馬ルークズネストの1打数1安打。サンプル不足ではあるものの、ある程度の信頼は置けそうだ。
朝日杯FS組については、間に別のレースを挟んだケースもひっくるめて傾向を探る。前年朝日杯で8着以内なら【1-4-1-7】複勝率46.2%と好走率が高く、もちろんGⅠで善戦しているに越したことはないが、同9着以下【1-1-2-23】複勝率14.8%も激走がないわけではない。むしろ、回収率的にはこちらの方が高い。
そこで注目したのは着順ではなく4角の通過順。朝日杯を4角6番手以内で通過していた馬は【2-5-2-14】複勝率39.1%、単回収率360%、複回収率153%と大暴れで、同7番手以下の馬は【0-0-1-16】と寂しい数字だった。マイルGⅠで先行できるぐらいのスピードが、ファルコンSの激流を戦う上では大きな武器となっているようだ。
5番手通過で5着だったバグラダスは好走パターンにドンピシャで、最有力候補の1頭。3番手通過ウメムスビは間に1200mを使ったのが引っかかるものの、人気次第では押さえても面白い。
カルロヴェローチェの白梅賞は優秀だが
「距離延長組連対なし」「シンザン記念組が7戦3勝」「前年朝日杯で先行した馬に注目」などの要点を踏まえた上で、個々の馬について戦績をチェックしていこう。
先ほど名前が登場したペースセッティング。小倉芝1200mの未勝利戦ではのちにOPを3連勝するビッグシーザーを破っており、やはり本質は短距離向き。距離短縮は大きなプラスだろう。前走シンザン記念は7頭立ての小粒なメンバーでレースレベルには疑問がつくものの、当日の中京芝は完全な外差し馬場であり、逃げて連対したのはこの馬だけだった。トラックバイアスに反しての好走だったことは見落としたくない。
1.33.3の好タイムで白梅賞を逃げ切ったのがカルロヴェローチェ。この時計は中京芝1600mの世代限定戦としては歴代3位タイ、ピクシーナイトのシンザン記念と同タイムだった。レース内容自体は優秀な部類だが、気になるのは前走が1勝クラスのマイルだった馬は【0-0-0-7】と結果が出ていないこと。仮説だが、緩い流れになりやすいレース条件から一転、ハイペースになって対応に苦慮するのではないか。実際、白梅賞も前半600m通過は35.5秒と遅め。追走に脚を使った際に同じような伸びが見られるかは未知の領域といえる。
ほか、バグラダスは朝日杯組のデータから重視が妥当だが、レースとしては内を立ち回れた利があったのも確か。スケールという意味では上記2頭の方がやや勝る印象を受ける。テラステラは前走でペースセッティングに勝利したが、先行してこそのタイプゆえに今回の条件だとどうか。最後に、穴ならスプレモフレイバー。前走は上がり33.3秒、勝ち馬より0.8秒も速い末脚を繰り出すも4着まで。位置取りが後ろすぎたということに尽き、例年通りの超ハイペースなら差し切っても驚けない。
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