【オールカマー】2年連続で牝馬ワンツー デアリングタクト、実績もデータも文句なし!

門田光生

オールカマーのレース間隔別成績,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

少頭数が多く……

2022年9月25日に中山競馬場で行われる第68回オールカマー。ひと昔前は地方から参戦してくる馬もちらほら見られたのだが、2006年2着のコスモバルク以来、地方馬の挑戦はなし。そろそろ「All Comer」というレース名の変更も考える時期にきているのかもしれない。

本来オールカマーは、GⅡの格や2200mという距離から、天皇賞(秋)もしくはジャパンカップへつながるレースという位置付けで、実際1着馬には天皇賞(秋)への優先出走権が与えられる。ところが、最近は天皇賞(秋)から始動する有力馬も少なくない。また、このオールカマーはここ5年で12頭立て以下が3回もある。今年は登録の段階で13頭。フルゲート割れ確実なのはさみしいが、三冠牝馬デアリングタクトの存在がレースに華を添えてくれるのは間違いない。

そんなオールカマーには果たしてどのような傾向があるのか。今回も過去10年の成績を検証し、好走および凡走パターンを調べていきたい。

オールカマー出走馬の所属,ⒸSPAIA
オールカマー出走馬の性別,ⒸSPAIA
オールカマー出走馬の年齢,ⒸSPAIA


☆所属、性別、年齢
出走頭数は美浦所属馬87頭、栗東所属馬54頭。関東エリアの重賞ということもあってか、美浦所属馬が多く出走している。成績は美浦7勝(12連対)、栗東3勝(8連対)。数字上はやや美浦有利といった感じだが、そこまで気にする必要はないだろう。

性別は牡馬・セン馬6勝(12連対)、牝馬が4勝(8連対)。牝馬は出走頭数21頭に対して8連対(勝率19.0%、連対率38.1%)だから、かなり優秀な数字といえる。加えて、ここ2年は牝馬がワンツーを決めており、近年の傾向からも牝馬優勢とみていいだろう。

年齢別だと、4歳馬が4勝(9連対)、5歳馬が5勝(8連対)。この2世代がほかの世代を大きくリード。特に4歳馬は勝率15.4%、連対率34.6%と、ともに優秀な数字を残している。これを4歳で牝馬に絞ると【2-4-0-4】となり、連対率6割の優秀な数字となる。逆に34頭が該当する7歳以上は【0-0-1-33】、すべて3着以下と振るわない。

オールカマー出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
オールカマー出走馬の主な前走,ⒸSPAIA


GⅡだけあって、前走で条件戦、もしくはオープンを使っていた組から連対馬は出ていない。主力は重賞組で、特にGⅠ組は6勝(10連対)、勝率20.7%、連対率34.5%と優秀。これも年齢と同様、牝馬に限ると、勝率33.3%、連対率55.6%とハネ上がる。次いでGⅢ組の3勝(6連対)。なお、GⅡ組だけ未勝利(2着は2頭)。これは先週行われたセントライト記念の傾向に似ている。前走海外組も優秀だが、今年は該当馬なし。

レース別だと、同距離の宝塚記念が3勝(5連対)とトップ。次いで2勝の天皇賞(春)。GⅢでは七夕賞(今年は該当馬なし)が1勝(3連対)。上でGⅡ組が不振と書いたが、好メンバーが揃うはずの札幌記念組【0-1-0-11】が足を引っ張っている様子だ。

オールカマー出走馬のローテーション,ⒸSPAIA

☆その他
そのほかで気になったデータを挙げてみる。まずローテーションだが、中3週以下で臨んだ22頭はすべて馬券外。中9週以下に広げても、62頭中2着が2回あるだけ。休み明けの馬の方が有利な傾向となっている。

最後に、前走1着馬から勝ち馬が出ておらず、前走10着以下から3勝。前走着順が当てにならないレースといえるだろう。

とにかく牝馬が強い

オールカマーのデータをまとめてみよう。まず好走確率が上がるのはA「牝馬」B「4歳馬、次いで5歳馬」C「前走GⅠ」。

勝率、もしくは連対率が下がってしまうのはD「前走がGⅡ」E「中4~9週」。連対がないのはF「7歳以上」G「前走が条件戦、もしくはオープン」H「中3週以内」。

今回、牝馬はウインキートス、ジェラルディーナ、そしてデアリングタクトの3頭が登録。このうち、プラスデータをすべて満たしているのがデアリングタクト。前走宝塚記念組は14頭が出走して3勝、2着2回。連対率35%を超える王道のローテーションというのも高ポイントだ。

ウインキートスはD「前走がGⅡ」、ジェラルディーナはE「中4~9週」のマイナスデータに引っかかるということもあり、今回はデアリングタクト本命で文句なしだ。ここ2年が牝馬のワンツーなので、上記2頭も当然加えておきたい。

特に連対率6割の「牝馬+4歳」に当てはまるジェラルディーナは特注の存在。また、ウインキートスは昨年の2着馬だが、相性が悪い札幌記念を経由しての連対で、データを無視して好走した実績がある。今年もマイナスデータを覆すことができるかにも注目したい。

牡馬では4歳、そして前走でGⅠを走ったテーオーロイヤルが筆頭候補。あと5歳のクリスタルブラックも同様に前走GⅠなのだが、こちらは2年以上の長期休養明け。ただ、このレースは間隔が空いている方が有利な傾向があり、人気もないだろうから押さえてみるのも面白い。

そこそこの人気になりそうなヴェルトライゼンデ、ソーヴァリアント、ロバートソンキーはいずれも前走1着。前述のように、前走1着馬から勝ち馬が出ていないということで、今回は軽視してみる。

◎デアリングタクト
◯ジェラルディーナ
▲ウインキートス
△テーオーロイヤル
×クリスタルブラック

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
早くもコロナワクチン4回目のお知らせが。効果がどうこう言われていますが、3回打ったら、ついでではないですが4回目を打たないと損な気が。打つたびに副作用の心配をしなくてはいけないのが一番のネックですね。

《関連記事》
【オールカマー】ハイブリッド式消去法の本命はデアリングタクト! 内枠なら要注意のキングオブドラゴン
【オールカマー】宝塚記念組デアリングタクト、中山巧者ヴェルトライゼンデ優勢 割って入るかソーヴァリアント
【神戸新聞杯】やっぱり実績上位のプラダリア! ボルドグフーシュ、パラレルヴィジョンは「上がり馬」になれるか

おすすめ記事