【札幌記念】見どころ満載、北の大地で豪華優駿たちの競演! ソダシ、ハヤヤッコの同族白毛対決も実現
勝木淳
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GⅠに近いGⅡも、1番人気はこの10年勝利なし
札幌記念は夏競馬では貴重な定量GⅡ。舞台は本州より気候的にやさしい札幌芝2000m。97、98年連覇のエアグルーヴあたりからGⅠ馬の始動戦としてメンバーが充実。リゾート地で開催される欧州のように夏のGⅠに格上げしたらどうかという声は依然として強い。これ以上GⅠを増やすのであれば、春秋に集中するGⅠを整理したほうがよさそうだが。
今年も女王に返り咲いたソダシを筆頭に国内外GⅠ馬5頭、重賞ウイナーは10頭を超える。メンバーレベルでいえば、GⅠとそん色なし。秋を占う意味でも重要なキーになりそうだ。見逃せない。データは13年函館を含め、過去10年分を使用する。
毎年、注目のGⅠ馬が出走するものの、1番人気は【0-5-3-2】複勝率80.0%と意外にも10年間未勝利。11年トーセンジョーダンが最後の勝利。昨年のソダシは2番人気。1番人気はラヴズオンリーユーで2着だった。少し早めの始動戦なので、それなりの仕上げで臨む場合が多いという背景は考慮したい。とはいえ、8頭は3着以内、崩れる可能性は低い。一方、2番人気は昨年のソダシを含め【5-0-1-4】勝率50.0%、複勝率60.0%。以下、6番人気以内がよく、穴は8番人気【0-2-1-7】複勝率30.0%までか。
年齢別では3歳【2-0-1-8】勝率18.2%、複勝率27.3%が目立つが、今年は不在。古馬は4歳【3-0-3-26】勝率9.4%、複勝率18.8%、5歳【2-6-4-30】勝率4.8%、複勝率28.6%、6歳【3-2-1-24】勝率10.0%、複勝率20.0%、7歳以上【0-2-1-25】複勝率10.7%とベテランまで偏りはない。
パンサラッサ、ジャックドールの流れに乗りたいソダシ
注目馬目白押しの一戦、前走成績の振り返りをしっかりしつつ、好走傾向に合致する馬を探していきたい。
前走条件戦ないしオープン・Lは【0-0-0-21】。さすがは定量GⅡ。夏競馬特有の、下級から勢いに乗って……というストーリーが描けない。前走重賞が必須条件。
まず前走海外【0-2-1-7】複勝率30.0%について。ここはグローリーヴェイズ、ユーバーレーベンが該当する前走ドバイシーマクラシックが【0-0-1-1】。18年3着モズカッチャンはドバイシーマクラシック6着。どちらもチャンスはありそうだが、勝った例はない。もはや海外帰り云々という時代ではないものの、2頭ともどちらかというと叩き良化型。連下級評価か。
前走国内GⅠ【4-5-6-24】勝率10.3%、複勝率38.5%の内訳は、安田記念【2-2-1-4】勝率22.2%、複勝率55.6%、オークス【2-0-0-1】勝率、複勝率66.7%が抜けていいが、今年は残念ながら不在。
注目のソダシが該当する前走ヴィクトリアマイルは【0-0-0-2】。2頭はVマイル2、3着の好走馬だったが、札幌記念14、7着。気になるデータだが、パンサラッサ、ジャックドールと活気ある先行勢が作る流れにより、ソダシの武器である巧みな立ち回りと先行力がいきそうだ。今年のVマイルは200m通過後からすべて11.8以内と緩急がない流れ。ソダシの強みを発揮できた。昨年に続き同じような競馬で持続力勝負に持ち込めば、連覇という場面は十分ある。
展開のカギを握るパンサラッサの宝塚記念は【0-2-1-6】複勝率33.3%。タイトルホルダーの強さが際立った宝塚記念だが、流れを演出したパンサラッサは前半600m33.9、1000m通過57.6と出足が鋭い。福島記念や中山記念など小回り実績も十分。ハナに行かないという形はなさそうだ。となると、前走大阪杯【0-0-1-3】複勝率25.0%のジャックドールはどう出るだろうか。春は強気な逃げでGⅡまで5連勝。こちらは前半600m最速で34.6。計算上、パンサラッサに譲る公算が高いが、どう出るか。競り合いを避け、番手から早めにパンサラッサを捕らえる競馬ができるか。
レースを問わず、ざっくりと前走国内GⅠ組の着順別成績は5着以内【3-4-2-8】勝率17.6%、複勝率52.9%、6着以下【1-1-4-16】勝率4.5%、複勝率27.3%。掲示板以内が理想。該当するのはソダシ、ジャックドールの2頭。ただし6着以下も連下なら十分。ウインマリリン、パンサラッサも見限れない。
良馬場ならアラタの巻き返しも
豪華メンバーが集う一戦とあって、前走GⅢ【5-2-3-51】勝率8.2%、複勝率16.4%は例年以上に人気を落とすだろう。ここが盲点になりはしないか。しっかり確認したい。
前走GⅢの内訳をみると、函館記念【3-2-2-33】勝率7.5%、複勝率17.5%がポイント。ハヤヤッコが勝った今年は開催最終週の重馬場で行われ、前後半1000m1.00.1-1.03.5の消耗戦。後半は各馬脚があがるような状況下だった。札幌記念も馬場状態次第ではわからない。雨が降れば、洋芝は格段に力を要する状態に変わる。また消耗戦でスタミナ必須という競馬はパンサラッサ、ジャックドールの演出する流れに合致する。
相手関係が上がる札幌記念では函館記念1着【1-0-1-2】勝率25.0%、複勝率50.0%など3着以内がひとつ条件。だが、函館から札幌、ハンデ戦から定量戦という条件変化も効くようで、6~9着【2-1-0-10】勝率15.4%、複勝率23.1%。アラタがこれに当てはまる。OP入りを決めた昨年函館のSTV杯は良馬場1.59.3。洋芝適性は高い。良馬場で、ある程度の時計が求められるなら巻き返しもある。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。
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