【高松宮記念】好データは「前走1着」「阪急杯組」など GⅠ制覇へ、機は熟したダイアトニック

門田光生

高松宮記念の前走人気別成績(過去15年、前走海外除く),ⒸSPAIA

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昨年はダノンスマッシュV

2022年3月27日に中京競馬場で行われる第52回高松宮記念。前身はGⅡ高松宮杯で、夏の名物中距離戦として行われていた。このレース以外にも中距離、牝馬限定、ダート、そして2歳戦とGⅠが新設されてきたが、長距離GⅠだけは増設なし。ステイヤー種牡馬の需要も減少し、今後も衰退の一途をたどっていくだろう。長距離好きとしてはさみしい限りであるが、これも時代の流れで仕方ない。

昨年の高松宮記念は香港帰りのダノンスマッシュが勝利したが、はたしてどういった傾向があるのだろうか。GⅠということでいつもより少し長い、過去15回分のデータを参考にして好走パターンを調べていきたい。

高松宮記念出走馬の所属,ⒸSPAIA
高松宮記念出走馬の性別,ⒸSPAIA


☆所属と性別
美浦所属馬9連対(3勝)、栗東所属馬20連対(11勝)、そして海外所属馬1連対(1勝)。連対率では互角だが、勝率は栗東所属馬が上回っている。

性別では牡馬、セン馬23連対(13勝)、牝馬は7連対(2勝)。牡馬、セン馬の出走頭数が圧倒的に多いこともあるが、勝率、連対率も牡馬、セン馬の方が上回っている。

 高松宮記念出走馬の年齢,ⒸSPAIA


☆年齢
勝利数、連対数ともに5歳馬が頭一つ抜けている。勝率、連対率に関しても同様。6歳馬の連対率も悪くはないが、連対した8頭のうち7頭が2着と勝ち切れていない。唯一6歳馬で勝ったのが昨年のダノンスマッシュ。これで潮目が変わるかどうかにも注目したい。

その好走率が高い5歳馬だが、連対馬14頭中12頭が栗東所属。美浦所属の5歳馬は軽視していいことになる。今回でいえば、シャインガーネットやスプリント路線に転戦してきたサリオスがそれに当たる。

高松宮記念出走馬の斤量,ⒸSPAIA


☆斤量
前走と今回の斤量を比較してみると、前走から斤量減となった馬の好走率が最も高い。次いで前走と同斤量。最も出走頭数が多い斤量増の馬は、ほかの2組と比べて最も勝ち馬が少ない(3勝)。

高松宮記念出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
高松宮記念出走馬の前走,ⒸSPAIA


☆前走クラスと前走
さすがにGⅠだけあって、前走で条件戦やオープンを走っていた馬が馬券圏内に入ったという例はない。最も1着馬が多いのは3つのステップレースがあるGⅢ組で、続いて海外遠征組。1着馬が出ているのは、この2パターンしかない。国内のGⅠ経由組は2頭の2着馬しか出ていないが、面白いのは2頭とも牝馬ということ。牝馬はマイナスデータに入れたが、このパターンだけは例外としていいだろう。

ステップレースである阪急杯、シルクロードS、オーシャンSを詳しく見てみよう。最も多く連対馬を出しているのは阪急杯で、勝率、連対率が最もいいのはシルクロードS。オーシャンSは3つの中では最多の出走頭数を誇るが、勝利数、連対数ともに最少。2015年の2着馬ハクサンムーン以来、オーシャンS組から連対馬は出ておらず、ほかのトライラル2レースに比べると勢いがないのは気になるところ。

高松宮記念におけるプラスデータ,ⒸSPAIA
高松宮記念におけるマイナスデータ,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで気になったデータを少々。まず前走1、2着馬は【10-9-8-57】。勝ち馬の3分の2だから、無視できないデータだ。また前走で4番人気以内に支持されていた馬から13頭の勝ち馬が出ている。残る2頭は海外組で、実質このデータに該当していないと厳しいということになる。また、種牡馬ではアドマイヤムーン産駒の活躍が目立っている。

一方、前走で1秒以上負けた馬、ノーザンファーム生産馬、そしてディープインパクト産駒はすべて未勝利。特にノーザンファーム生産馬は33頭が出走して勝ち馬が出ていない。この牧場の実績を考えても、相性が悪いレースの一つなのだろう。ディープインパクト産駒は今回出走なし。残っている頭数がどんどん減っている現状からも、産駒がこのレースを勝つのは厳しくなってきた。また、前走馬体重が458キロ以下だった馬から連対馬は出ていない。

トレンドは阪急杯組

データが出そろったところで、そろそろまとめに入っていこう。まず好走確率が上がるのはA「栗東所属の5歳馬」B「阪急杯orシルクロードS組」C「前走から斤量減」D「前走1、2着馬」E「前走4番人気以内」。

好走確率が下がってしまうのはF「美浦所属の5歳馬」G「前走GⅠ以外の牝馬」H「前走から斤量増」I「前走がGⅢ、海外以外」J「前走で1秒以上離された」K「ノーザンファーム生産馬」L「前走馬体重458キロ以下」。

今回はマイナスデータのH「前走から斤量増」に該当する馬が半数以上いることもあり、ほとんどの馬が何かしらのマイナスデータを持っている。唯一、割引材料がないのはライトオンキュー。ただ、プラスデータは「前走から斤量減」だけ。これではちょっと心もとないので、ほかにいい馬がいないか探してみる。

今回挙げたマイナスデータのうち、「前走から斤量増」だけは勝ち馬が出ている。これのみに引っかかって、プラスデータを複数持つのはサンライズオネスト、ジャンダルム、ダイアトニック、トゥラヴェスーラの4頭。このうち、ダイアトニックのみがプラスデータを3つ持っている。前走で走った阪急杯は、ここ15年で11頭の連対馬を出しており、相性のいい前哨戦。今回はこれが本命でいいだろう。

同じく、阪急杯に出走したサンライズオネストとトゥラヴェスーラも有力候補。最初に名前が出たライトオンキューだが、この高松宮記念はここ15年で前走阪急杯、シルクロードS、オーシャンS、そして海外の4パターンしか勝ち馬が出ておらず、京阪杯組ということで少し評価を落として4番手。

ジャンダルムも押さえるとして、あと1頭挙げるならレシステンシアか。セントウルS、スプリンターズS、そして香港スプリントで連対して高松宮記念というのは、昨年の覇者ダノンスマッシュと全く同じローテーションだ。

◎ダイアトニック
◯サンライズオネスト
▲トゥラヴェスーラ
△ライトオンキュー
×ジャンダルム
×レシステンシア

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
「まん防」の影響で、早いところでは19時半にラストオーダーという店も。担当している兵庫競馬は薄暮競馬を実施していたので、帰りに夕食をと思っても店に入れないことがありました。この原稿がアップされている頃には解除されていると思いますが、もうこれっきりにしてほしいものです。

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