中山芝2500mのコースデータを紹介 勝率70%超え「3歳のエピファネイア産駒」は見逃せない
東大ホースメンクラブ
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有馬記念の舞台
今週は中山芝2500mを舞台に中央競馬の総決算、GⅠ有馬記念が行われる。秋古馬三冠に王手をかけたGⅠ・5勝馬ドウデュース、C.ルメール騎手とのコンビで菊花賞を制したアーバンシック、今年のダービー馬ダノンデサイルらを筆頭に、全頭が重賞馬でGⅠ馬は10 頭という超豪華メンバーがそろった。
このコースを舞台とする重賞は有馬記念の他に天皇賞(春)の重要なステップレースであるGⅡ日経賞がある。本記事では中山芝2500mコースについて、過去10年分のデータから分析していく(使用するデータは2014年12月28日〜2024年12月1日)。
まずはコース概要。外回りコースの3コーナー手前からスタートし、4コーナーを回った後に正面スタンド前で中山名物の高低差2.2mの急坂を上る。その後、2コーナー前まで上りが続き、向正面は平坦な直線。3~4コーナーの急カーブを下り、中央4場で最短となる310mの最終直線へ。最後に待ち受ける2度目の急坂が勝負のカギを握る。コーナーを6回も通過するため、器用さが求められるトリッキーなコースレイアウトだ。
中枠優勢、内枠は過剰人気
<過去10年の中山芝2500m 枠別成績>
1枠【10-9-10-94】
勝率8.1%/連対率15.4%/複勝率23.6%/単回収率45%/複回収率60%
2枠【8-9-12-97】
勝率6.3%/連対率13.5%/複勝率23.0%/単回収率34%/複回収率49%
3枠【12-8-12-107】
勝率8.6%/連対率14.4%/複勝率23.0%/単回収率95%/複回収率60%
4枠【8-17-14-108】
勝率5.4%/連対率17.0%/複勝率26.5%/単回収率42%/複回収率67%
5枠【16-19-16-116】
勝率9.6%/連対率21.0%/複勝率30.5%/単回収率62%/複回収率92%
6枠【16-18-11-134】
勝率8.9%/連対率19.0%/複勝率25.1%/単回収率69%/複回収率57%
7枠【14-7-22-145】
勝率7.4%/連対率11.2%/複勝率22.9%/単回収率42%/複回収率59%
8枠【19-14-5-151】
勝率10.1%/連対率17.5%/複勝率20.1%/単回収率118%/複回収率58%
コーナーを6回通過する上に最終直線も短いということで、内枠有利の印象が強い。しかしデータを見ると、複勝率については中枠が一番良く、内枠と外枠は大差ないことが分かる。
また、妙味の面では1、2枠の単回収率が45%、34%と低いが、8枠は同118%とプラス域。「中山芝2500mは内有利」という情報が浸透した結果、内枠の馬が過剰に人気し、外枠、特に8枠の馬が大きく人気を落としている。
ただし、中山芝2500mのフルゲートはAコースで16頭、Bコースで14頭、Cコースで12頭。12頭立てや14頭立ての8枠と16頭立ての8枠では、状況は大きく異なる。その証拠に、馬番別の成績では15番【1-1-1-22】複勝率12.0%、複回収率29%、16番【2-1-0-19】複勝率13.6%、複回収率32%と苦戦が目立っている。
フルゲート16頭となる有馬記念でも同様で、8枠は【0-1-1-18】複勝率10.0%、複回収率30%に留まっている。ちなみに、1枠も【1-1-1-17】複勝率15.0%、複回収率22%と低調。有馬記念では外枠、特に8枠の馬の評価を割り引く必要はあるが、その際に内枠の評価を上げすぎないことも大切だ。
<過去10年の中山芝2500m 脚質別成績>
逃げ【11-8-7-84】
勝率10.0%/連対率17.3%/複勝率23.6%/単回収率121%/複回収率69%
先行【51-46-45-210】
勝率14.5%/連対率27.6%/複勝率40.3%/単回収率98%/複回収率97%
差し【32-39-39-334】
勝率7.2%/連対率16.0%/複勝率24.8%/単回収率45%/複回収率67%
追込【6-6-9-307】
勝率1.8%/連対率3.7%/複勝率6.4%/単回収率41%/複回収率20%
マクリ【3-2-2-17】
勝率12.5%/連対率20.8%/複勝率29.2%/単回収率39%/複回収率54%
脚質別では先行>差し>逃げ。コース形態上、好位から最後の直線でもう一脚を使う強力な先行馬を倒すのは至難の業である。有馬記念でも、4角4番手以内の馬は【8-3-4-31】勝率17.4%、単回収率106%で、4角5番手以下の馬は【2-7-6-99】勝率1.8%、単回収率7%と明暗クッキリ。先行やマクリといった、4コーナーを前目で迎えられる脚質の馬を中心に狙っていこう。
無類の強さを誇る「3歳のエピファネイア産駒」
<過去10年の中山芝2500m 種牡馬別成績>
ハーツクライ【10-9-14-90】
勝率8.1%/連対率15.4%/複勝率26.8%/単回収率97%/複回収率111%
ディープインパクト【10-7-15-109】
勝率7.1%/連対率12.1%/複勝率22.7%/単回収率48%/複回収率50%
エピファネイア【6-1-0-12】
勝率31.6%/連対率36.8%/複勝率36.8%/単回収率87%/複回収率49%
次に種牡馬別成績を確認する。ハーツクライの産駒は、19年のリスグラシューと23年のドウデュースが有馬記念で2勝を挙げている。狙い所は内枠か中枠に入ったとき。1〜5枠では【9-8-10-47】単回収率159%、複回収率154%と妙味たっぷりだが、6〜8枠では【1-1-4-43】単回収率4%、複回収率45%と苦戦が目立っている。
ディープインパクトの産駒も14年のジェンティルドンナと16年のサトノダイヤモンドが有馬記念で2勝を挙げている。こちらは外枠、特に8枠での活躍が目立っており【3-2-0-17】勝率13.6%、単回収率195%を記録している。また、重賞では【2-2-5-39】単回収率23%と妙味は薄いが、3勝クラスでは【2-2-1-14】同135%とプラス域だ。
エピファネイアの産駒は勝率30%オーバーと優秀な成績。21年にはエフフォーリアが有馬記念を制している。特に好調なのが3歳馬。4歳以上は【1-0-0-11】勝率8.3%、単回収率39%と凡走が目立つが、3歳馬は【5-1-0-1】勝率71.4%、単勝回収率170%と飛び抜けて良い。このコースで見かけたら狙わない手はない。
今年の有馬記念ではハーツクライ産駒のダノンベルーガやドウデュース、ディープインパクト産駒のシャフリヤール、ジャスティンパレス、プログノーシス、エピファネイア産駒のダノンデサイル、ブローザホーンが出走予定だ。
なかでも、このコースで無類の強さを誇る「3歳のエピファネイア産駒」ダノンデサイルには要注目だ。ちなみにアーバンシックやレガレイラの該当するスワーヴリチャード(ハーツクライ系)産駒は今回が初出走となる。
<過去10年の中山芝2500m 騎手別成績>
C.ルメール【9-5-9-9】
勝率28.1%/連対率43.8%/複勝率71.9%/単回収率92%/複回収率117%
横山和生【4-2-3-7】
勝率25.0%/連対率37.5%/複勝率56.3%/単回収率628%/複回収率219%
戸崎圭太【9-15-3-35】
勝率14.5%/連対率38.7%/複勝率43.5%/単回収率64%/複回収率77%
最後に騎手別成績を見ていく。C.ルメール騎手は有馬記念で通算3勝を挙げており、昨年は8枠16番からスターズオンアースを2着に好走させた。集計期間内でのコース複勝率は70%超え。人気を背負いながらも、複回収率はプラス域をマークしているというのだから凄まじい。馬券の軸候補にはピッタリといえる。
横山和生騎手は単回収率628%、複回収率219%と妙味たっぷり。昨年の有馬記念では6番人気タイトルホルダーを3着に好走させた。内枠でも外枠でもOK、人気馬でも穴馬でも好走例があり、ベタ買い推奨だ。
最後に戸崎圭太騎手。ジェンティルドンナで14年の有馬記念を制している。狙い目は内枠に入ったときだ。1、2枠では【6-3-0-6】勝率40.0%、単回収率171%。過剰人気になりやすい内枠で高回収率をマークしている。
今年の有馬記念では、C.ルメール騎手はアーバンシック、横山和生騎手はベラジオオペラ、戸崎圭太騎手がレガレイラに騎乗予定。その他、ドウデュースに騎乗予定の武豊騎手は【4-1-1-9】単回収率226%、ダノンデサイルに騎乗予定の横山典弘騎手は【5-1-6-22】同67%となっている。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開。秋G1シーズンに合わせ、新入部員募集中。
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