【有馬記念】ドウデュースとアーバンシックは消し ハイブリッド式消去法
八木遊
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5つのデータから絞れた馬は?
先週の朝日杯フューチュリティステークスの予想では最終的に5頭が残った。5頭のなかには、2着ミュージアムマイルと9番人気で3着に食い込んだランスオブカオスも含まれていたが、本命に指名したのは3番人気13着のトータルクラリティ。4角まではいい手応えで好位を進んでいたものの、直線で伸びを欠いてしまった。
今週末はいよいよ大一番、有馬記念が日曜の中山メインで行われる。16日時点で出走可能ラインに入っている16頭を対象に、いつも通り過去10年のレースで複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップ(除外対象は出走決定順にカラテ、ホウオウビスケッツ、メイショウタバル、アラタ、ショウナンラプンタ、ニシノレヴナントの6頭)。当てはまった馬を消していく。なお、前走海外レース出走馬については公式から未発表のデータもあるため、一部消去データでは非該当として扱う。
『キャリア15戦以上』×『前走馬体重480kg以上』★3.8%
まずは馬の通算出走回数(キャリア)に注目した。有馬記念までに15戦以上出走していた馬は過去10年で【3-2-7-88】(複勝率12.0%)とやや低調。キャリア14戦以下の【7-8-3-42】(同30.0%)と比べてもかなり苦戦していることが分かる。
特に「前走の馬体重が480kg以上」と馬格がある馬は【1-0-1-50】(同3.8%)で、52頭のうち2頭しか馬券に絡んでいなかった(なお、前走が海外だった馬は前走馬体重不明のため除く)。
今年の対象馬16頭のうち4頭がこのデータに当てはまった。これまで16回出走し、前走時の馬体重が510kgだったドウデュースは真っ先に消去リスト行きが決まった。ちなみに、除外対象ではカラテもこの条件に該当。仮に出走できたとしても消しとなる。
【今年の該当馬】
・スタニングローズ
・ディープボンド
・ドウデュース
・ハヤヤッコ
『美浦所属馬』×『前走が東京以外』★4.5%★
続いて東西別データから美浦所属馬を取り上げる。成績は【4-2-3-38】(複勝率19.1%)で、複勝率18.6%の栗東所属馬を上回っている。ただ、好走した馬のほとんどが東京競馬場で行われたレースをステップに有馬記念に出走していた。
逆に「前走が東京競馬場以外だった美浦所属馬」は【1-0-0-21】(同4.5%)。2018年の勝ち馬ブラストワンピースを除く21頭は軒並み馬券圏外に敗れている。
今年は前走の菊花賞を制した美浦所属馬のアーバンシックなど3頭がこのデータに当てはまった。アーバンシックに騎乗予定のC.ルメール騎手が天皇賞(秋)以降の重賞で【0-0-1-9】と不振に陥っている点も踏まえて、3着以内は厳しいとみる。
【今年の該当馬】
・アーバンシック
・レガレイラ
・ローシャムパーク
『前走で人気を下回る着順』×『前走で馬体重減』★4.8%★
3つ目の条件では前走で人気を下回る着順に敗れていた馬をピックアップする。成績は【5-2-2-47】(複勝率16.1%)と決して悪くないが、その前走で馬体重を減らしていた馬に限ると【1-0-0-20】(同4.8%)となっている。この条件で唯一馬券に絡んだのが、昨年の勝ち馬ドウデュースだ。
今年はジャスティンパレスとベラジオオペラのGⅠ馬2頭がこの条件に当てはまった。前者は直近5戦が全て4着以下と結果を残していない。後者は武器とする先行力を生かすことができればチャンスもありそうだが、2500mの距離で好走できるかは疑問が残る。
【今年の該当馬】
・ジャスティンパレス
・ベラジオオペラ
『前走2500m以下』×『前走初角11番手以下』★5.4%★
続いて前走距離に注目した。ほとんどの馬が2500m以下のレースからの出走で、その成績は【8-8-8-114】(複勝率17.4%)。距離短縮組(前走2500m超)の【2-2-2-16】(同27.3%)に劣っている。
特にその前走で最初のコーナーを11番手以下で通過していた馬は【0-1-1-35】(同5.4%。前走海外の馬を除く)。長距離レースとはいえ、序盤にある程度前目の位置を取れないと上位に入るのは難しいようだ。
今年は消去済みのドウデュースとハヤヤッコに加えて、シュトルーヴェとブローザホーンの2頭が新たに消去リスト行きとなった。
【今年の該当馬】
・シュトルーヴェ
・(ドウデュース)
・(ハヤヤッコ)
・ブローザホーン
『前走上がり4位以下』×『今回6~8枠』★2.9%★
4つの条件を終えて、16頭中11頭が消えた。最後は前走上がり3ハロン順位と今回の枠順を組み合わせて絞り込みを図る。
コーナーを6回まわる有馬記念は瞬発力を求められることがほとんどない。ただし、前走上がり3位以内と4位以下では大きな差がある(前走海外を除く)。前者の【6-3-6-41】(複勝率26.8%)に対して、後者は【3-6-2-81】(同12.0%)。なかでも有馬記念で6~8枠の外目に入った前走上がり4位以下の馬は【0-1-0-33】(同2.9%)と苦戦を強いられていた。
残っている5頭のなかで前走上がり4位以下だったのはスターズオンアースとダノンベルーガの2頭。もし外枠に入った時はバッサリ消去する。
【今年の該当候補】
・スターズオンアース
・ダノンベルーガ
全ての条件を終えて確実に残るのは、シャフリヤール、ダノンデサイル、プログノーシスの3頭となった。注目は菊花賞から間隔を空けてこの秋2戦目を迎えるダノンデサイル。その前走は6着に敗れたが、勝負所で前の馬が壁となり、進路を作れなかったのが敗因で度外視していい。スペースができてからはいい脚を使っていた。
また、オカルトチックではあるが、出走直前で競走除外となった皐月賞も含めて、着外→1着→着外→1着……と続くタイプで、今回は“走る番”とみた。
買い目はダノンデサイルから残った馬全頭(最大4頭)へのワイド流しと、シャフリヤール、ダノンデサイル、プログノーシスの馬連ボックスも買う。有利とされる1~3枠にダノンデサイルが入れば、同馬の単勝も押さえたい。
【ライタープロフィール】
八木 遊
野球兼競馬ライター。スポーツデータ会社やテレビ局の校閲職などを経てフリーに。2023年8月から長期休養に入っていたが、24年6月に再開。今年はワイドを中心にコツコツ的中を狙う。
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