【ジャパンC】外国馬19年ぶりVへ3頭が参戦!武豊騎手vsルメール騎手の争いも注目 最強馬決定戦の「記録」

緒方きしん

記録で振り返るジャパンカップ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

「日本の総大将」が外国馬たちに打ち勝った1999年

今週はジャパンCが開催される。過去にはシンボリルドルフとトウカイテイオー、スペシャルウィークとブエナビスタのように親子制覇もある一戦。昨年はイクイノックスが勝利を収め、キタサンブラックとの親子制覇を新たに達成した。

今年は昨年覇者のイクイノックスこそ不在だが、海外からオーギュストロダンやゴリアット、ファンタスティックムーンといった強豪が参戦する。迎え撃つ日本勢も武豊騎手&ドウデュースやC.ルメール騎手&チェルヴィニアをはじめ、GⅠホースがズラリ。今回はそんなジャパンCの記録を振り返る。なお、データは1986年以降のものを使用する。

これまでも様々な外国馬が挑戦してきた当レース。1986年以降、馬券圏内に食い込んだ外国馬は30頭いるが、年齢順に分けると、3歳馬が4頭、4歳馬が9頭、5歳馬が14頭、6歳馬が2頭、7歳馬が1頭となる。

3位の3歳馬からは1987年にルグロリューが勝利を収め、2位の4歳馬からはのちに名種牡馬となるシングスピールやファルブラヴといった馬たちが勝利をあげている。1位の5歳馬は1995年ランドや1997年ピルサドスキーなど5勝を挙げていて、外国馬として最後にジャパンCで勝ち星を挙げたのも5歳のアルカセットである。

アルカセットは日本で種牡馬となり、産駒はJRAで77勝をあげている。母父としても現在49勝をあげていて、2013年北海道サマーセールにおいて52.5万円で取引されたライトフェアリー(父サムライハート)はキーンランドCで5着になるなど活躍した。

馬券圏内に食い込んだ外国馬を性別で分けると、牡馬が22頭と圧倒的に多く、セン馬と牝馬が4頭ずつとなっている。

セン馬では、1999年の2着馬インディジェナスは記憶に残る一頭だ。この年のジャパンCは世界トップとも言える凱旋門賞馬モンジューが参戦。さらに英ダービー馬ハイライズや、同年の凱旋門賞5着馬タイガーヒルなども出走する豪華メンバーで行われ、そこに日本の「総大将」としてスペシャルウィークと武豊騎手が立ち向かう構図だった。

道中でモンジューと火花を散らしたスペシャルウィークは直線でメンバー最速の末脚を繰り出し、2着に1馬身半差をつけて快勝した。モンジューは上がり2位の末脚を見せるも4着止まりで、3着にハイライズ。その2着に食い込んだのが12番人気の伏兵インディジェナスだった。この他にも5着にラスカルスズカ、6着にはステイゴールドが食い込むという華やかなジャパンCだったが、配当も馬連231.9倍と大きな数字となっている。

また、最後に馬券圏内に食い込んだ外国馬はウィジャボード。2006年にプリンスオブウェールズSとナッソーS、BCフィリー&メアターフを制し、前年5着のリベンジを果たすべく臨んだジャパンCで3着に入った。この時の勝ち馬はディープインパクトだ。なお、引退後は母として、2014年に英ダービーと愛ダービーを制するオーストラリアなどを輩出している。

特筆すべきC.ルメール騎手の“勝ちタイム”

1986年以降の最多勝騎手は武豊騎手とC.ルメール騎手。2人が4勝で並ぶ。

ルメール騎手の勝利に関して顕著な点をあげるならば、その勝ちタイムだろう。東京芝2400mで行われたジャパンCの勝ちタイムをランキングにすると、以下のようになる。

1位 2018年アーモンドアイ(ルメール騎手) 「2:20.6」
2位 2023年イクイノックス(ルメール騎手) 「2:21.8」
3位 2005年アルカセット(L.デットーリ騎手) 「2:22.1」
4位 1989年ホーリックス(L.オサリバン騎手) 「2:22.2」
5位 2009年ウオッカ(ルメール騎手) 「2:22.4」
6位 2020年アーモンドアイ(ルメール騎手) 「2:23.0」

なんと勝ちタイム上位6傑のうち4つがルメール騎手で、1、2位はどちらも同騎手の手綱だった。

2018年アーモンドアイのタイムは現在もレコードとして刻まれている。もう6年も前のことで、ここに驚くファンも多いかもしれない。当時、牝馬三冠を達成したばかりのアーモンドアイは、秋華賞の次走としてジャパンCを選択。スワーヴリチャードやサトノダイヤモンド、キセキやシュヴァルグランとタフな実力派がそろうレースだった。

道中2番手をキープしたアーモンドアイとルメール騎手は直線に向くとさらに加速。逃げた2着キセキ、先行して前を追った3着スワーヴリチャードがどちらも上がり34.7となるなか、上がり2位34.1というタイムで駆け抜けた。ちなみに、従来のレコードを1.5秒も更新している。

そんなアーモンドアイも母となり、初仔アロンズロッドが先月デビュー。新たな世代が現れ始めている。今年の出走馬たちも、いずれ次の世代へと血を繋ぐことであろう。最多勝を争う武豊騎手vsルメール騎手の構図にも注目しつつ、ジャパンCを楽しみたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

《関連記事》
【ジャパンC】近10年は1番人気が5勝、主役は秋盾制したドウデュース 好データ集まるダノンベルーガも面白い
【競馬】芝ではキタサンブラック産駒、ルメール騎手が圧倒 東大HCが東京巧者を徹底検証
【ジャパンC】過去10年のレースデータ

おすすめ記事