【菊花賞】アーバンシック、コスモキュランダら関東馬は全消し ハイブリッド式消去法

八木遊

菊花賞の消去法データ,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

先週の秋華賞は、7番人気のタガノエルピーダを本命に指名。4番枠から好スタートを決めると、先団から離れた3番手を進む理想的な形となった。直線で一旦は先頭に躍り出るかというシーンもあったが、最後に脚が上がってしまい7着。勝ったのは対抗チェルヴィニアだった。

今週は日曜京都メインの菊花賞で勝負する。秋華賞と同じく2021、22年は阪神開催だったが、その2回を含めた過去10年のレースを対象に、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップし、当てはまった馬を順番に消していく。


『前走初角6番手以下』×『前走上がり4位以下』★0.0%★

まず注目したのは前走時の最初のコーナー通過順だ。これが6番手以下だった馬は、過去10年で【7-6-3-90】(複勝率15.1%)という成績。馬券に絡んだ16頭には共通点があった。それはそのレースで上がり3位以内の末脚を使っていたこと。同4位以下の馬は39頭いたが、菊花賞ではそろって馬券圏外に敗れている。

今年この条件に当てはまったのは以下の4頭。メリオーレムは前走の神戸新聞杯で1番人気に支持された素質馬だが、初角6番手から進めて、上がり3ハロン順位は6位だった。距離延長はプラスに転じそうだが、法則に従って消去する。

【今年の該当馬】
・アレグロブリランテ
・ウエストナウ
・ミスタージーティー
・メリオーレム


『前走から鞍上乗り替わり』×『前走3着以下』★0.0%★

続いて取り上げたいのは、鞍上の乗り替わり有無だ。3歳馬にとって3000mの長丁場は未知の道のり。それだけに手の内を知る騎手の継続騎乗が望ましい。

実際に過去10年で前走と同騎手の馬は【8-6-8-99】(複勝率18.2%)。乗り替わりがあった馬の【2-4-2-50】(同13.8%)を上回っている。また、乗り替わりが発生した馬の好走パターンは前走レースで連対していたこと。前走2着以内の馬に限れば【2-4-2-26】(同23.5%)とまずまずの成績となっている。一方で前走3着以下の馬は、【0-0-0-24】(同0.0%)と菊花賞では全滅していた。

執筆時点の想定騎手を用いて、このデータに当てはまった消し馬は2頭。消去済みのミスタージーティーに加えて、ビザンチンドリームを消去する。どちらも皐月賞と日本ダービーに出走したが二桁着順に敗れており、今回も上位に食い込むのは厳しいだろう。

【今年の該当馬】
・ビザンチンドリーム
・(ミスタージーティー)


『関東馬』×『前走時馬体重480kg以上』★3.2%★

3つ目は過去10年で【4-2-3-46】(複勝率16.4%)の関東馬を取り上げる。複勝率は16.9%の関西馬と変わらないが、馬券に絡んだ9頭のうち8頭には「前走時の馬体重が480kg未満」という共通点があった。逆に前走で480kg以上あった馬は【0-0-1-30】(同3.2%)と苦戦している。馬券に絡んだのは、20年に5番人気で3着したサトノフラッグのみだった。

今年は例年以上に有力な関東馬が多い印象だが、上位人気が予想されるアーバンシック、コスモキュランダを含めて、前走時の馬体重は480kg以上だった。関西圏初見参のアーバンシック、昨年の京都2歳Sで8着に敗れているコスモキュランダ、さらにシュバルツクーゲル、ヘデントールをまとめて消去する。

【今年の該当馬】
・アーバンシック
・コスモキュランダ
・シュバルツクーゲル
・ヘデントール


『前走3勝クラス以下』×『サンデーサイレンス系』★3.7%★

続いては前走で3勝クラス以下を走っていた馬を取り上げる。過去10年の成績は【1-1-4-44】(複勝率12.0%)と、連対したのは2頭だけで3着も4頭だ。特に、父がサンデーサイレンス(SS)系の馬は、【0-0-1-26】(同3.7%)と3着馬が1頭だけだった。

今年は以下の4頭がこのデータに該当。青森県産馬のハヤテノフクノスケらが新たに消去リスト行きとなった。

【今年の該当馬】
・(シュバルツクーゲル)
・ノーブルスカイ
・ハヤテノフクノスケ
・ピースワンデュック


『非社台系生産』×『前走から馬体重増』★2.4%★

4つの条件を終えて、登録馬18頭のうち12頭を消去した。最後は生産者別データから過去10年で【5-1-1-73】(複勝率8.8%)の非社台系生産馬を取り上げたい。この条件だけで複勝率は消去対象の10%を下回るが、ハイブリッド式では別の条件を組み合わせる。馬券に絡んだ7頭を確認すると、うち6頭が馬体重増減なしか馬体重を減らして菊花賞に出走していた。

一方、馬体重を増やして菊花賞に臨んだ馬は【1-0-0-40】(同2.4%)。17年の勝ち馬キセキを除いて、ことごとく凡走していた。

残っている6頭のうち非社台系の牧場で生産された馬は、エコロヴァルツとメイショウタバルの2頭。もし当日に馬体重が増えていれば消去する。

【今年の該当候補】
・エコロヴァルツ
・メイショウタバル

全ての条件を終えて確実に残るのは、アスクカムオンモア、アドマイヤテラ、ショウナンラプンタ、ダノンデサイルの4頭となった。このなかからアドマイヤテラを本命に指名したい。

まだ大物が誕生していないレイデオロの産駒だが、現状は距離が延びて真価を発揮するタイプが多い印象。アドマイヤテラは長くいい脚を使えるタイプ。加えて、長丁場なら友道康夫調教師×武豊騎手のコンビを無視するわけにいかない。

また、前述の通り前走3勝クラス以下は苦戦しているが、父SS系以外なら【1-1-3-18】(複勝率21.7%)とまずまず。昨年の勝ち馬ドゥレッツァに続く上がり馬の菊花賞制覇に期待したい。

買い目はアドマイヤテラを軸にして残った馬すべてに流す3連複(最大10点)に加えて、アドマイヤテラ、ショウナンラプンタ、ダノンデサイルのワイドボックス3点を押さえておく。

【ライタープロフィール】
八木 遊
野球兼競馬ライター。スポーツデータ会社やテレビ局の校閲職などを経てフリーに。2023年8月から長期休養に入っていたが、24年6月に再開。今年はワイドを中心にコツコツ的中を狙う。

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