【金鯱賞】馬格がない非サンデー系は苦戦傾向 データで導く「過信禁物の注目馬」
藤川祐輔
ⒸSPAIA
中京に春を告げる、中距離路線の重要レース
3月10日、中京競馬場では金鯱賞(GⅡ)が行われる。3週間後に控えた大阪杯へと繋がる重要な前哨戦であり、今年もGⅠを見据える好メンバーが集結した。
現行の3月開催となった17年以降は、1番人気馬が【5-1-1-0】(複勝率100%)と圧倒的な成績を収めている。馬券的な妙味を考えれば、特に上位人気の馬は慎重に取捨選択を行い、買い目を絞って勝負をしたい。今回は過去7年(17~23年)における当レースのデータを基に、「過信禁物の注目馬」を導いていく。
499kg以下の馬は血統面から取捨選択
出走各馬を前走での馬体重別に分類すると、500kg以上と馬格のある馬が【5-1-4-18】勝率17.9%、連対率21.4%、複勝率35.7%と素晴らしい成績を収めている。回収率も単842%/複177%と抜群の数字で、馬券的な妙味からも大柄な馬を積極的に狙いたい。
一方、前走馬体重が499kg以下だった馬は【2-5-2-46】勝率3.6%、連対率12.7%、複勝率16.4%と苦戦気味だ。中京競馬場は直線にある坂の勾配が、中山競馬場に次いで急で、この坂を超えてなお、ゴール板まで約200mあるタフな舞台。パワーと持続力が要求され、馬格がない馬の苦戦に繋がっていると考えられる。
また、この組の種牡馬系統に着目すると、父・サンデーサイレンス系の馬は【2-4-1-27】勝率5.9%、連対率17.6%、複勝率20.6%となっていた。前走馬体重499kg以下の好走馬は、大半がこの組に含まれていることになる。
これに対して、父がサンデーサイレンス系以外の馬は【0-1-1-19】勝率0.0%、連対率4.8%、複勝率9.5%と振るっていない。この中には人気馬も多く含まれており、近年ではマリアエレーナ(23年2番人気8着)、サンレイポケット(22年3番人気7着)などが凡走している。このデータに該当する馬は、評価を落とした方が良いだろう。
美浦所属の4歳馬は好走ゼロ
東西所属別の成績に着目すると、栗東所属馬が【7-6-5-46】勝率10.9%、連対率20.3%、複勝率28.1%と良好だ。過去7年で馬券に絡んだ馬の大半が、こちらの組に含まれている。対して、美浦所属馬は【0-1-2-18】勝率0.0%、連対率4.8%、複勝率14.3%と振るっていない。
また、美浦所属で好走した3頭は全て5歳以上の馬で、成績は【0-1-2-14】勝率0.0%、連対率5.9%、複勝率17.6%。4歳馬に関しては【0-0-0-4】と1頭も好走できていない。
サンプルこそ4頭と少ないが、プロディガルサン(17年2番人気7着)、ラストドラフト(20年3番人気5着)など、全ての馬が5番人気以内に支持されながらも凡走していた。
中京競馬場はローカル開催であり、美浦の陣営にとっては距離も遠いアウェーの舞台である。開催日数や重賞も少なく、遠征の機会も決して多くは無い。こうした面が影響して、輸送距離の短い栗東所属馬が優勢の構図となっているのかもしれない。中でもコースや遠征経験が希薄な4歳馬には鬼門となっているだけに、該当馬は高く評価できない。
データで導く「過信禁物の注目馬」
ここまで紹介したデータをまとめると、当レースにおける不安要素は以下の通りである。
・前走馬体重499kg以下、特に父・サンデーサイレンス系以外
・美浦所属の4歳馬
これを踏まえて、ドゥレッツァを「過信禁物の注目馬」として挙げる。
菊花賞の勝利は見事だったが、これは鞍上の完璧なエスコートの力も大きかった。菊花賞の2、3着馬はその後、古馬相手に結果を残せておらず、世代上位陣のレベルにも疑問が残る。
古馬中距離路線は層が厚く GⅡレースともなれば道中のペースも厳しいものとなる。さらに今回は5ハロンの距離短縮となり、追走に手間取ることも考えられる。59kgの斤量も、やや小柄な当馬にとっては大きな不安材料だ。
総じて未知な要素が多く、今回紹介した2つの不安データにも該当している。上位人気は必至の存在だけに、馬券的な妙味も踏まえれば重い印は打てない。
《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、よりデータを生かした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。
《関連記事》
・【金鯱賞】ドゥレッツァ、プログノーシスは消し ハイブリッド式消去法
・【金鯱賞】菊花賞馬ドゥレッツァ、連覇狙うプログノーシスが参戦 参考レースを振り返る
・【金鯱賞】過去10年のレース結果一覧
おすすめ記事