【中山記念】皐月賞馬のソールオリエンス、ジオグリフは消し ハイブリッド式消去法

藤川祐輔

過去10回の中山記念『前走JRA・GⅠ』かつ『前走7番人気以下』の成績,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

先週のフェブラリーSでは4頭が凡走データを免れたが、その中から11番人気のペプチドナイルが大金星を挙げた。同じく凡走データを免れたタガノビューティーがハナ差の4着だった点は悔いが残るが、記事を参考に高配当を手にした読者がいれば幸いだ。

今週は2月25日に中山競馬場で行われる中山記念(GⅡ)を予想する。今回は登録馬19頭の内、除外対象の2頭(ショウナンマグマ、グリューネグリーン)を除いた17頭から絞りこみを行う。なお、この17頭には、抽選対象(*)の2頭(ショウナンバシット、ホウオウリアリティ)も含まれる。過去10年(14~23年)のデータから、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップし、条件に当てはまった馬を消去していく。


『前走GⅡ以下』×『前走6着以下』 ★2.4%★

前走でのクラスに着目すると、GⅡ以下(海外、地方、障害を除く)を使っていた馬は【3-6-6-58】(複勝率20.5%)とまずまずの結果を残していた。この組をさらに前走の着順別に分類すると、1~5着だった組は【3-5-5-18】(同41.9%)と素晴らしい。その一方で、6着以下だった馬に限ると【0-1-0-40】(同2.4%)と極端に悪化する。

このデータを唯一覆したのは15年2着のロゴタイプだが、当馬には中山開催のGⅠを2勝した実績があった。今年のメンバーでは7頭が該当するが、この中にロゴタイプほどの実績を持つ馬は1頭もいない。前走がGⅡ以下のレースで掲示板を確保できなかった馬は軽視する。

【今年の該当馬】
・エエヤン
・ショウナンバシット*
・タイムトゥヘヴン
・テーオーシリウス
・ドーブネ
・ホウオウリアリティ*
・ラーグルフ


『前走JRA・GⅠ』×『前走7番人気以下』 ★9.1%★

前走がJRAのGⅠレースだった馬は【6-3-3-24】(複勝率33.3%)と多くの勝ち馬を輩出しており、母集団のレベルの高さがデータに表れている。しかし、この中で前走7番人気以下だった馬は【1-0-0-10】(同9.1%)と振るっていない。

唯一の好走は22年1着のパンサラッサである。当馬にとって前走の有馬記念は距離が長く、極端な脚質も相まって人気を落とすのは必然であった。後にドバイターフ、サウジCを制するポテンシャルも踏まえれば、例外として扱って問題ない。

このデータには新たに4頭が該当し、一昨年の皐月賞馬ジオグリフも含まれる。当馬は皐月賞以降は1度も馬券に絡んでおらず、戦績を見る限りでは早熟だったと言わざるを得ない。データを覆しての好走には期待できず、消去対象とする。

【今年の該当馬】
・イルーシヴパンサー
・ジオグリフ
・ソーヴァリアント
・レッドモンレーヴ


『前走2200m以上』×『前走3角8番手以下』 ★7.1%★

前走距離別の成績を見ると、2200m以上の距離からの転戦組が【4-1-1-32】(複勝率15.8%)と少々苦戦していた。さらにこの組を前走3角8番手以下だった馬に限定すると、【1-0-0-13】(同7.1%)と厳しいデータが浮かび上がる。

このデータを覆したのは16年1着のドゥラメンテのみ。15年には1番人気のイスラボニータが5着に沈んでいる。今年のメンバーでは昨年の皐月賞馬ソールオリエンスが新たに該当するが、現時点ではドゥラメンテほど傑出しているとは感じない。700mの距離短縮で追走にも不安が残るだけに、今回は思い切って軽視する。

【今年の該当馬】
・ソールオリエンス
・(ホウオウリアリティ)*
・(ラーグルフ)


『5歳以上』×『前走馬体重479kg以下』 ★4.5%★

年齢別成績を見ると、4歳馬が【4-4-6-16】(複勝率46.7%)と非常に良好であった。これに対して、5歳以上の馬は【6-6-4-76】(同17.4%)となっており、好走馬も多く出てはいるが好走率はやや低調だ。

5歳以上を前走馬体重別に分類すると、479kg以下だった馬は【0-1-0-21】(同4.5%)と大半が好走できていなかった。中山芝1800mは急坂を二度駆け上がるタフなコース形態であり、相応のパワーが要求される。成長途上の明け4歳馬は別として、5歳以上の小柄な馬は評価を下げるべきだ。

【今年の該当馬】
・マイネルクリソーラ
・(テーオーシリウス)


『前走から中2週以内』×『JRA重賞勝利歴無し』 ★0.0%★

前走からの出走間隔が中2週以内だった馬は、【0-1-0-17】(複勝率5.6%)とほとんどが凡走していた。この組から唯一好走したのは22年2着のカラテだが、当馬にはJRA重賞勝利実績があった。この実績がなかった馬に限ると、【0-0-0-11】(同0.0%)と好走馬が1頭もいなくなる。

当レースは「スーパーGⅡ」と呼ばれることもあり、GⅠを見据える有力馬が参戦してくるケースも多い。ハイレベルな一戦だけに、間隔を極端に詰めたローテーションで好走することは難しいようである。このデータには新たにマテンロウスカイが該当しており、データに従って消去対象とする。

【今年の該当馬】
・マテンロウスカイ

全ての条件を終え、凡走データに該当しなかった馬は、エルトンバローズ、ヒシイグアス、ボーンディスウェイの3頭。中でも今回はボーンディスウェイを推奨する。

前走の中山金杯は4着だったが、直線半ばでは先頭に立つシーンもあった。オープン昇格初戦での重賞挑戦であった点も踏まえれば、見せ場十分の走りで、今後に期待を抱かせるものだった。

3歳時には弥生賞で3着に好走しており、アスクビクターモア、ドウデュースといった後のクラシックホースに0.1秒差と迫った。 ホープフルSでも5着と健闘しており、得意の中山であれば重賞で戦えるだけのポテンシャルは有している。

また、過去10年で中山金杯からの転戦馬は【3-1-1-4】(複勝率55.6%)、ハーツクライ産駒は【4-0-0-6】(同40.0%)とデータ面でも心強い。番手付近でレースを進める当馬にとっては、開幕週の馬場も味方となるはずだ。斤量増、相手強化と乗り越えるべき壁は低くないが、人気薄であれば抑えておきたい。

《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、よりデータを活かした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。

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