【東京新聞杯】3~5番人気が近10年8勝と上位混戦 注目は好成績の「4歳牝馬」マスクトディーヴァなど

勝木淳

2024年東京新聞杯に関するデータ,ⒸSPAIA

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5番人気以内の上位拮抗戦

クラシックは早期に賞金を加算し、本番まで間隔をとるということが重要だが、古馬のレースもまた同じように考える風潮は強い。前哨戦で権利や賞金を積むより、前もって賞金の壁をクリアし、ゆったり本番を迎えよう。理にかなった考え方だ。いかに本番に体調のピークをもっていくのか。かつてはレースに出走しながらだったが、いまは違う。馬を追い詰めないためにはどうするのか。各陣営、これを模索しながらレースを選ぶ。

2月にもかかわらず、東京新聞杯は好メンバーがそろった。安田記念と同舞台とはいえ、本番は約4カ月、季節を一つ飛び越えた先にある。だが、この余裕が必要とされている。ここで賞金を積み、安心して安田記念への道を描く。思惑通りなら、この先の選択肢を増やせる。状態面と相談しながら進めるためには選択肢はいくつあってもいい。東京新聞杯はここ数年、急激に見直された重賞のひとつだ。データは過去10年分を使用する。

東京新聞杯の人気別成績,ⒸSPAIA


上位拮抗戦になる傾向にあるが、1番人気は【1-1-2-6】勝率10.0%、複勝率40.0%とやや頼りない。これは上位人気に実力差がなく、その順位に誤差があるということだ。2番人気【0-1-2-7】複勝率30.0%、3番人気【3-1-1-5】勝率30.0%、複勝率50.0%、4番人気【3-0-1-6】勝率30.0%、複勝率40.0%、5番人気【2-2-2-4】勝率20.0%、複勝率60.0%まで含めると、いわゆる実績馬ではなく、その下あたりで実力を身につけた馬までチャンスがある。

6番人気以下1勝、10番人気以下の複勝圏内は2回と、穴決着は少ない。上位5番人気以内の順位づけが重要だ。

東京新聞杯の年齢別成績,ⒸSPAIA


4歳【4-5-4-27】勝率10.0%、複勝率32.5%は納得で、賞金を積みたい4歳勢の意気込みは素直に味方につけよう。ただし、6歳【4-1-1-31】勝率10.8%、複勝率16.2%も目立つ。実績を積んだベテラン勢が若手を退ける、そんなレースもある。その間の5歳は【2-3-5-29】勝率5.1%、複勝率25.6%で、3着が多いのが特徴だ。2、3着は4、5歳が20頭中17頭を占めるので、軸をここから探すのも手だ。

実績はジャスティンカフェだが

上記データから4、5歳中心も6歳は軽視せず、5番人気以内の取捨選択と順位づけが重要という傾向をつかんだ。ここからは具体的に好走馬を探す作業に進む。

東京新聞杯の前走クラス別成績,ⒸSPAIA


まず前年覇者ウインカーネリアンの前走海外は【0-0-0-2】。これはサンプル数が少なく、判断は保留したい。ただ、東京新聞杯以降は海外遠征を含め、やや精彩を欠いており、昨年の状態にあるかどうか。

一方、国内組は前走GⅠ【5-3-2-16】勝率19.2%、複勝率38.5%から。ジャスティンカフェのマイルCSは【2-0-1-11】勝率14.3%、複勝率21.4%でさほどつながらない。これはすべて6着以下に敗れた馬たちのデータであり、3着馬の出走は2013年ドナウブルーが最後。その結果は1番人気10着。ジャスティンカフェも状態面がカギになりそうだ。

4歳牝馬はマスクトディーヴァとウンブライルに注目。マスクトディーヴァの前走秋華賞は【0-1-0-0】。22年ファインルージュが秋華賞2着から好走した。ウンブライルはNHKマイルC2着以来の実戦。さすがにデータでは判断できない。NHKマイルCは雨のなか行われ、1着シャンパンカラーは次走安田記念14着も、3着オオバンブルマイは豪州ゴールデンイーグルを勝った。6着モリアーナは紫苑S1着、秋華賞5着、AJCC4着。出走馬の好走は中距離か、高速決着でないマイル以下ばかり。ウンブライルも決着時計によってはチャンスだろう。昨年6着のクイーンCは1:33.4。勝ち時計は1:33.1だった。

4歳牝馬は【1-3-1-3】勝率12.5%、複勝率62.5%と好走確率が高い。高速決着ならマスクトディーヴァは計算できる。

東京新聞杯の前走GⅡ・GⅢ、レース別成績,ⒸSPAIA


GⅠ以外の内訳をまとめると、京都金杯【1-2-3-28】勝率2.9%、複勝率17.6%、ターコイズS【0-1-0-3】複勝率25.0%といった順に並ぶ。

京都金杯は中京で行われた年を除くと【1-2-2-15】勝率5.0%、複勝率25.0%と数字が少し上昇する。左回りの中京経由はよさそうだが、やはり中央場所の京都がつながる。着順の内訳は5着以内【1-1-2-5】、6~9着【0-1-0-5】、10着以下【0-0-0-5】。今年は3着トゥードジボン、4着アヴェラーレなどが該当する。

京都金杯は開幕週のイン優位な馬場のなか先行勢決着で、外を伸びた4、5着は馬場に恵まれなかった。とはいえ、大回りのDコースで行われる東京新聞杯も外差し馬場とは限らない。流れに乗れるトゥードジボンは東京初見参だが、昨秋の京都で逃げて上がり33秒台を記録しており、東京の高速上がりにも対応できる。

ターコイズSは19年レッドオルガが6着から2着に巻き返した。東京巧者がコース替わりで一変ととれば、11着ルージュリナージュや昨年ヴィクトリアマイル5着のサウンドビバーチェはイメージに近い。

東京新聞杯のOP・L、距離別成績,ⒸSPAIA


重賞実績があるメンバーばかりなので、少し落ちるが、前走オープン・L【0-3-1-38】複勝率9.5%も確認する。距離は前走1600mが【0-3-1-28】複勝率12.5%で好走の第一条件といえる。リゲルSを勝ったマテンロウスカイ、キャピタルS3着アスクコンナモンダは2、3着なら、なくはない。なお前走オープン・L、マイル戦1着だと【0-0-1-7】で、勝たなくてもいい。同条件3着アスクコンナモンダにも可能性はある。

東京新聞杯に関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。



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