【中山金杯】距離短縮、休養明けにご用心 データで導く「過信禁物の注目馬」
藤川祐輔
ⒸSPAIA
ハンデ戦の割に堅い傾向
2024年1月6日、中山競馬場では中山金杯(GⅢ)が行われる。ハンデ戦という条件から波乱含みの決着となるイメージがあるが、意外にも2桁人気馬は過去10年で3度しか馬券に絡んでいない。また、過去10年で1番人気馬は【4-1-3-2】(複勝率80.0%)と抜群の成績を収めている。
印象に反して堅い決着が多いレースだけに、どの人気馬を信頼するかは馬券検討の中でもしっかりと精査したいポイントだ。今回は過去10年(14~23年)における当レースのデータを基に、「過信禁物の注目馬」を導いていく。
牝馬の好走率は控えめ
出走馬の成績を性別でわけて見ると、牡馬・セン馬が【10-9-10-119】勝率6.8%、連対率12.8%、複勝率19.6%と好走馬のほとんどを占めている。これに対して牝馬は、【0-1-0-11】勝率0.0%、連対率、複勝率8.3%と振るっていない。
一般的に、冬場は代謝やホルモンバランスの変化から牝馬の成績は落ち込む傾向にある。また、当レースは年末年始を挟んでいるため、変則的な調整過程となることも多く、繊細な牝馬は特にその影響を受けていると考えられる。1つの傾向として、牝馬が当レースで苦戦していることは頭に入れておきたい。
出走間隔が中10週以上の馬は不振
続いては各馬のレース間隔に関するデータを取り上げる。前走からの出走間隔が中9週以内の馬は【10-10-9-115】勝率6.9%、連対率13.9%、複勝率20.1%と馬券に絡んだ馬の大半がこの組に含まれている。一方、中10週以上空いていた馬は【0-0-1-15】連対率0.0%、複勝率6.3%と苦戦している。
この組には人気馬も複数含まれており、ザダル(20年3番人気8着)、タイムフライヤー(19年2番人気5着)といった馬が凡走している。特にタイムフライヤーは同舞台のGⅠであるホープフルSを勝った馬であり、斤量も56kgと過度に重くはなかった。実績ある舞台で力を発揮しきれなかったのは、休養明けの影響も少なからずあったのではないか。
冬は馬体が絞りにくい時期ということもあり、休養明けで当レースに挑んでくる馬は凡走するケースが目立つ。前走から出走間隔が中10週以上空いている馬は、軽視するのがベターだ。
距離短縮組は苦戦傾向
最後は、前走距離に着目する。前走で2000m以下のレースに出走していた馬は【9-9-9-101】勝率7.0%、連対率14.1%、複勝率21.1%と良好で、多くの好走馬がこの組に含まれる。一方、前走で2100m以上のレースに出走していた馬は【1-1-1-29】勝率3.1%、連対率6.3%、複勝率9.4%と好走率が大きく落ち込んでいる。
この組には出走間隔が長かったザダル、タイムフライヤーのほか、ディープボンド(21年2番人気14着)、ユニバーサルバンク(14年2番人気11着)など、多くの人気馬が含まれている。回収率で見ても、単7%/複20%と非常に低水準であり、馬券的な妙味は見込めない。距離短縮の馬は評価を下げるのが賢明だ。
データで導く「過信禁物の注目馬」
ここまでに紹介したデータをまとめると、当レースにおける不安要素は以下の通りである。
・牝馬
・間隔が中10週以上
・距離短縮馬
これらを踏まえて、今回はゴールデンハインドを「過信禁物の注目馬」として挙げる。
昨春にフローラSを制した実績があるが、この時はスローペースでの単騎逃げが叶い、展開面で非常に恵まれていた。また、この時に下した面々で、後にオープン昇格を果たしたのは2着のソーダズリングのみで、レースレベルにも疑問が残る。
今回紹介した3つの不安データに該当しており、特にオークス以来、7か月半ぶりの出走という点が気がかりだ。長期休養明け、かつ古馬との対戦が初めてということで不安要素は多い。GⅡ勝ち馬という点で人気するようであれば、買い目に入れるのは控えたい。
《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、よりデータを生かした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。
《関連記事》
・【中山金杯】決め手データなしの超難解レース 好相性ローテで中山もこなすエピファニーが有力
・【競馬】東大HCが中山巧者を徹底検証 シルバーステート産駒が芝・内枠で高い回収率、M.デムーロ騎手は道悪◎
・【中山金杯】過去10年のレース結果一覧
おすすめ記事