【競馬】東大HCが中山巧者を徹底検証 シルバーステート産駒が芝・内枠で高い回収率、M.デムーロ騎手は道悪◎
東大ホースメンクラブ
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中山開催がスタート
今週から中山開催がスタート。GⅠスプリンターズステークスはもちろん、皐月賞馬・ソールオリエンスが出走予定の菊花賞トライアル・セントライト記念や超豪華メンバーが揃いそうなオールカマーなど、楽しみなレースが目白押しだ。オールカマー3連覇や有馬記念制覇を成し遂げ、中山で重賞6勝をあげたマツリダゴッホを筆頭に「中山巧者」たちは数多く存在する。
そこで今回は、種牡馬や騎手の中山適性をデータで徹底検証。ここでは中山コースでの勝率から全場での勝率を引いたものを「中山巧者率」と定義し、この数値に基づいて各種牡馬や騎手の中山コースに対する得意/不得意を見ていく。(データは2018年9月8日から2023年9月3日までのものを使用する。)
内枠のシルバーステート
まずは、種牡馬別に芝コースの中山巧者率について分析する。今回は過去5年での出走数が50を超えた種牡馬たちを対象とする。
最も高い巧者率を記録したのは、13.6%-6.9%=6.7%でキングズベスト。現役の代表産駒には、昨年、一昨年とターコイズSを連覇したミスニューヨークがいる。同レースが行われる中山芝1600mは同産駒の得意舞台だ。【5-0-0-25】で勝率16.7%、単勝回収率572%を記録しており、1着or着外という極端な成績。狙うなら単系馬券がおすすめだ。
その次に高い巧者率を記録したのがシルバーステートで、巧者率は14.9%-9.1%=5.8%。今年の皐月賞ではメタルスピードやショウナンバシットが2桁人気ながら掲示板内に入り、中山巧者としての存在感が高まりつつある同産駒。内枠に入った際の成績が抜群に良いのが特徴だ。1枠では【5-3-2-4】勝率35.7%、単勝回収率235%を、2枠では【3-1-0-8】勝率25.0%、単勝回収率233%を、3枠では【3-2-2-8】で勝率20.0%、単勝回収率191%を記録しており、見かけたら素直に買いである。
その他、ローエングリンが8.9%-4.4%=4.5%、キタサンブラックが14.5%-12.6%=1.9%の中山巧者率を記録しており注目だ。
次に巧者率がマイナス、すなわち中山を苦手とする種牡馬を見ていく。筆頭がゴールドシップで巧者率は4.2%-6.8%=-2.6%。現役時代に皐月賞、有馬記念を制した中山巧者のイメージとは裏腹な結果となっている。その他、オールラウンダー・キズナも中山芝コースでは7.6%-9.9%=-2.3%とマイナス値を記録している。
続いてダートコースにおける種牡馬別の中山巧者率を見ていこう。芝コースと同様に過去5年での出走数が50を超えた種牡馬たちを対象とする。
トップは13.4%-7.6%=5.8%でリオンディーズ。中山ダートでの単勝回収率は178%を記録しており妙味たっぷりだ。狙い目は1200mで、【13-6-4-51】で勝率17.6%、単勝回収率は256%とベタ買いするだけでプラス。また、前走から距離短縮でレースに挑む馬の成績は【5-0-4-24】で単勝回収率309%を記録している。
それに次ぐのが意外にもディープインパクトだ。巧者率は13.6%-9.0%=4.6%を記録。中山ダートであげた16勝のうち13勝が1800m以上のレースのものであり、中距離戦を得意としていることが分かる。不利と言われることも多いダートの内枠での回収率が良く、1枠では【2-0-0-13】で単勝回収率100%、2枠では【3-1-1-11】で単勝回収率122%だ。
その他にも、ヘニーヒューズが13.1%-10.7%=2.4%、クロフネが9.1%-6.4%=2.7%、ヴィクトワールピサが7.7%-4.8%=2.9%の巧者率を記録しており、注目だ。
一方、巧者率がマイナスを記録し、中山ダートを苦手とする種牡馬も数多く存在する。サウスヴィグラスは5.9%-8.4%=-2.5%と大幅なマイナス値を記録。その他、ルーラーシップが5.0%-7.1%=-2.1%、シニスターミニスターが8.2%-9.7%=-1.5%と中山ダートを比較的苦手としている。
不良馬場のM.デムーロ騎手、大舞台の横山武史騎手を狙え
最後に騎手別の中山巧者率を見ていく。騎乗数が100以上の騎手を対象とする。
まず取り上げたいのは15.7%-13.5%=2.2%の巧者率を記録したM.デムーロ騎手だ。芝の重馬場では【5-1-2-19】で勝率18.5%、単勝回収率102%、芝の不良馬場では【2-0-2-8】で勝率16.7%、単勝回収率102%と馬場状態が悪化した際に成績を上げている。これはダートでも同様で、不良馬場は【5-2-1-10】で勝率27.8%、単勝回収率217%と驚異的な成績だ。また、GⅢでも強さを発揮しており、【6-5-2-17】で勝率20.0%、単勝回収率121%を記録している。
続いて取り上げたいのは、若くして中山GⅠ・4勝の中山マイスター・横山武史騎手。気になる巧者率は14.6%-12.6%=2.0%だ。突出して得意なのは、中山芝2200m。【9-5-3-25】で勝率21.4%、単勝回収率は111%と黒字域だ。同コースで行われるGⅡオールカマーは武史騎手が昨年、一昨年と連覇を果たしており、今年も注目である。また、レースの格が上がれば上がるほど成績を上げるのも特徴。GⅢでは【1-3-3-24】で勝率3.2%、単勝回収率8%なのに対し、GⅡでは【5-1-4-15】で勝率20.0%、単勝回収率217%を、GⅠでは【4-0-0-6】で勝率40.0%、単勝回数率141%を記録している。大舞台でこそ狙いたい騎手だ。
その他、高い巧者率を記録した騎手は、ルメール騎手26.4%-24.9%=1.5%や、少ない騎乗数で結果を出している横山典弘騎手13.8%-11.3%=2.5%などがいる。
一方、マイナスの巧者率を記録している騎手も見ていく。リーディング上位騎手では、意外にも川田将雅騎手が該当。巧者率は24.5%-26.7%=-2.2%で、高い水準ではあるが、相対的に中山コースで成績を落としていることが分かる。その他、菅原明良騎手が5.9%-7.7%=-1.8%、丹内祐次騎手が3.1%-5.2%=-2.1%と中山コースで苦戦中だ。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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