【中山金杯】決め手データなしの超難解レース 好相性ローテで中山もこなすエピファニーが有力

勝木淳

2024年中山金杯に関するデータ,ⒸSPAIA

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年明けの中山芝はAコースからCコースへ

一年の計は金杯にあり。今年は6日が土曜日のためJRAの競馬は5日からではなく、1日遅いスタートになる。すでに地方競馬に参加して勝っている方も負けている方も、お正月を実家でのんびり過ごした方も、この3連休は最後の休養日になる。翌週火曜日から2024年の日常が本格的にはじまる方も多いだろう。日常が猛スピードで走り出す前に、馬券を当て、気分よくいきたいものだ。

そうはいえど、東西金杯は厳冬期の変則日程のもとで行われるGⅢのハンデ戦であり、基本的に難易度が高い。

中山芝2000mを舞台に行われる中山金杯は馬場の傾向変化にも気をつかう。実質ホープフルSから続く連続開催ながら、AコースからCコースに替わるため、暮れの傾向が通用しない。中山のような小回りコースで内ラチが外に出てくるとどうなるか。コーナーが多少緩やかになると同時に、Aコースより外に振られるため、距離ロスが大きくなる。厳冬期の馬場は速い脚を使いにくく、自然と内を立ち回る優位性が増す。だが、その内も渋滞を引き起こすリスクがあり、最善手とは限らない。

また、好位から馬群を抜け出せる一瞬の脚が必要になり、そういったタイプは自然と上位人気だったりもする。だが、中には小回り適性が高く、大箱だと大敗してしまう馬もいて、それが穴になる。まずは小回り向きの機動性には注目しないといけない。データは過去10年分を使用する。

中山金杯の人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【4-1-3-2】勝率40.0%、複勝率80.0%でここだけはアテになる。2番人気から5番人気は横一線で、6番人気以下は複穴候補としたい。10番人気以下も【0-0-3-67】複勝率4.3%。中山で3連系を買う場合は、人気薄まで手広くケアしないといけない。

中山金杯の年齢別成績,ⒸSPAIA


年をまたいで一斉に年を重ねるサラブレッドの世界。だが、傾向は暮れから変わらない。4歳【3-3-2-19】勝率11.1%、複勝率29.6%、5歳【3-3-2-20】勝率10.7%、複勝率28.6%。基本は若い馬中心でいいが、ハンデ戦で実力差がならされるせいもあり、6歳【3-4-3-36】勝率6.5%、複勝率21.7%も通用する。

重視するのはチャレンジC組

今年のメンバーを見渡すと、4歳がオークス以来になるゴールデンハインドなど手薄な印象があり、前走重賞好走馬も少ない。ハンデ戦なので背負わされそうな馬が避けるのは仕方なく、その分、下のクラスから来る勢いある馬の活躍も目立つ。例年、中山金杯は賞金加算のチャンスでもある。

中山金杯の前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別成績をみても、前走GⅠは【1-2-1-20】勝率4.2%、複勝率16.7%とそこまで振るわない。それも菊花賞【0-0-1-8】、天皇賞(秋)【0-0-0-6】といかにもつながりそうなGⅠが機能せず、取捨が難しい。エリザベス女王杯【0-1-0-4】なのでククナは脈ありだが、中山のイメージが薄い。七夕賞2着があるので、こなさないわけではなさそうだが、好位のイン優先の中山だと厳しいだろう。

中山金杯の前走GⅢ、レース別成績,ⒸSPAIA


前走GⅡ【3-1-0-16】勝率15.0%、複勝率20.0%も暮れに行われていた金鯱賞が【2-1-0-4】と数字を押し上げているので注意しよう。ほかではステイヤーズS【0-0-0-4】などがある。

前走GⅢ【2-4-5-44】勝率3.6%、複勝率20.0%の内訳を確認すると、チャレンジC【1-3-4-12】勝率5.0%、複勝率40.0%、福島記念【1-1-1-14】勝率5.9%、複勝率17.6%が主力になり、中日新聞杯は【0-0-0-13】。前走重賞の中ではチャレンジC組に比重を置きたい。中山でも流れに乗れるエピファニーは有力だ。

中山金杯の前走3勝クラス、距離別成績,ⒸSPAIA


上がり馬なら、前走3勝クラス【2-1-2-11】勝率12.5%、複勝率31.3%からだろう。距離の内訳は今回距離延長【0-0-0-7】、同距離【2-1-2-3】勝率25.0%、複勝率62.5%、距離短縮【0-0-0-1】で、同距離からしか好走馬が出ていない。

クロミナンス、ボーンディスウェイはともに1800mで勝ちあがってきた。ボーンディスウェイは中山巧者であり、少し前の話だが、2000mは弥生賞ディープインパクト記念3着の実績もある。距離延長は苦戦というデータを破壊できるだろうか。

中山金杯に関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。


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