【阪神C】実力馬優勢も、上がり順位に意外な傾向あり 本命は実績、傾向合致のママコチャ
佐藤永記
ⒸSPAIA
上がり順位別成績に意外な傾向
阪神カップは年の瀬に行われる定量戦のGⅡ。1400mで行われることもあり、短距離、マイル路線の実力馬たちがこぞってエントリーしてくる。12月ならもちろん香港という選択肢もあるが、調整の関係で海外遠征が難しい馬や、ハンデ重賞だと重い斤量を課せられるような実力馬はむしろここに回ってくることが多い。
前走のレース格を見ると、GⅠだった馬は【5-6-5-37】で出走頭数は全体の約1/3を占めており、やはりここからの出走が多い。また、前走GⅡ組【2-0-2-22】、GⅢ組【1-1-2-28】、OP・L組【2-1-1-46】、条件戦組【0-0-0-6】と比べても好成績だ。高額賞金の定量GⅡだけあって、前走GⅠの実力馬が順当に結果を出している。
ただ、これだけでは味気ない。もう一つ踏み込んだデータを探すと、意外な傾向が見つかった。それが「前走の上がり3F別成績」だ。
過去10年の前走上がり3F順位の上位を見ると、
上がり1位【0-0-1-18】
上がり2位【1-0-1-10】
上がり3位【0-0-2-9】
このように前走の上がりが速かった馬たちの成績が、軒並み悪いのである。さらに驚くべきは、上がり10位以下の【5-4-2-44】という結果だ。過去10年における勝ち馬の半数が、前走上がり順位二桁なのである。
内訳的には先行馬が多いのだが、距離が短めのレースとはいえここまで極端な傾向が出る重賞は少ない。理由としては、前走の短距離やマイル戦線で消耗が少なく、余力を残した馬が好走することや、当レース自体が上がりを求められるような競馬になりづらいことなどが挙げられる。
この上がり順位下位が優勢という傾向は前走GⅠ組でも同様で、同組かつ前走上がり8位以内は【2-2-3-15】勝率9.1%、単回収率28%、同9位以下は【3-4-1-22】勝率10.0%、単回収率121%。勝率は後者に分があり、しかも妙味もある。狙いはこちらだ。
ママコチャを本命に該当する穴馬3頭へ
というわけで、「前走がGⅠ」で「上がり9位以下だった馬」をチェックすると、
ママコチャ(スプリンターズS・上がり順位9位)
ピクシーナイト(スプリンターズS・上がり順位10位)
エエヤン(マイルCS・上がり順位10位タイ)
ダノンスコーピオン(マイルCS・上がり順位12位タイ)
以上の4頭が浮上した。なかでもスプリンターズS覇者のママコチャに注目したい。同レースでは2~3番手からの抜け出しで勝利しており、そこから阪神カップまでレースにも出走していない。ここまでゆとりを持たせていることから調整も十分であろうし、使い詰めの心配もない。香港や年明けの高松宮記念という選択肢もあった中での出走なので、陣営の意欲も高そうである。本命としては適任だ。
残る3頭は逆に大穴候補となる。
ピクシーナイトは2021年香港スプリントでの剥離骨折から1年以上に及ぶ休養を経て復帰したものの、4戦して13、8、8、8着。スプリント王に上り詰めた頃の実力を発揮できていない現状だが、もし復活するとしたら「そろそろ」といった感じだ。
エエヤンは春にニュージーランドTを制したものの、その後は9、8、10着と苦戦が続いている。しかし、近2走はしっかりと先行できている。デビューしてからマイル中心だったところ、今回が初の1400m。距離短縮が良いほうに出たら面白い存在だ。
昨年のNHKマイルC覇者のダノンスコーピオンも最近は二桁着順が続いているが、昨年の富士Sで3着があり、決して古馬相手に通用していなかったわけではない。秋口は調整がうまくいかず、前走のマイルCSも調整に不安というコメントが出ていたが、復活するか否か、当日の気配はチェックしておきたい。
というわけで、当欄としてはママコチャを軸に、上記3頭を絡めた馬券を推奨したい。
<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。
《関連記事》
・【阪神C】4歳の実績馬ママコチャ中心も相手は混戦 波乱の使者は1400m巧者グレイイングリーン
・【競馬】東大HCが阪神巧者を徹底検証 国分恭介騎手は「逃げ」で回収率1000%超え
・【阪神C】過去10年のレース結果一覧
おすすめ記事