【阪神JF】重要なのは経験してきた「前半3Fペース」 サフィラ、アスコリピチェーノらに追い風

逆瀬川龍之介

阪神ジュベナイルフィリーズ出走馬は上がり3Fよりも前半3Fに注目,ⒸSPAIA

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経験してきた前半3Fの流れに注目

皆さんは阪神JFを予想する際、どのファクターに注目するだろうか。舞台は直線の長い阪神芝1600m。それだけに昨年のリバティアイランドや一昨年のサークルオブライフのように、末脚のしっかりしたタイプを狙う人が多いかもしれない。実際、近10年の勝ち馬のうち、8頭は上がり3F3位以内だったことからも、その答えは間違いではない。ただ、予想をする段階で、どの馬が上位の上がりを使うか分からないのが大きな問題となる。

早速だが、ここで先に答えを教えてしまおう。意外かもしれないが、阪神JFを予想する上で重要なのは、上がり3Fではなく、「前半3F」なのだ。これからデータを紹介していく。少々まどろっこしい言い方になるが、お付き合いを。過去10年の阪神JFで3番人気以内に支持された30頭を対象に、阪神JF以前に経験した前半3F最速は何秒だったかをチェック。それを5つのグループに分けた上で、阪神JFの成績を調べた。

【阪神JF以前に経験した最速前半3Fタイム】
・~33秒9【0-0-1-3】
・34秒0~34秒9【1-1-1-3】
・35秒0~35秒9【5-3-1-2】
・36秒0~36秒9【1-1-0-3】
・37秒0~【0-1-0-3】

一目瞭然、33秒9以下や37秒0以上のゾーンが不振だ。前者の理由は分かりやすい。33秒9以下はほぼスプリント戦だが、そういったレースで結果を残してきた馬は、阪神マイルではスタミナ不足となる可能性が高い。13年に2番人気7着だったホウライアキコ、20年に3番人気4着だったメイケイエールが典型的な例といえる。

一方、37秒0以上のゾーンの苦戦については、予想外だった人が多いかもしれない。こちらは主にマイル~1800mを使われてきた馬が多く、スタミナには不安がない。ただ、ゆったりしたペースばかりを経験しているため、マイルGⅠの流れに対応できないケースが目立つ。14年に1番人気8着だったロカ、17年に1番人気9着だったロックディスタウンが該当し、21年に2番人気7着だったステルナティーアも当てはまる。

対照的に35秒0~35秒9のゾーンは抜群の安定感を誇っている。ここに当てはまるのは主にマイル以上を使われつつ、それなりに締まった流れを経験している馬。こういった馬はどんな流れにも対応できるケースが多く、不可解な凡走をすることが少ないのだ。

ここで鋭い読者は「33秒9以下と37秒0以上でも馬券に絡んだ馬がいるじゃないか!」と思うだろう。確かにその通りだ。ただ、馬名を挙げると前者がレーヌミノル、後者がクロノジェネシスでともに後のGⅠ馬。それぐらいの馬でなければ、人気を背負って〝逆風データ〟を覆すのは難しいといえる。

最後に今年の有力馬が経験している最速のレース前半3Fを挙げておこう。これを見る限り、サフィラやアスコリピチェーノ、キャットファイトは信頼度が高い。逆に、3戦連続で34秒台のコラソンビート、同じく3戦全てが36秒以上のルシフェルは不安ありだが、果たして結果はいかに。このデータを使った皆さんの馬券が的中することを願いたい。

・アスコリピチェーノ…35秒4
・カルチャーデイ…34秒0
・キャットファイト…35秒1
・クイックバイオ…34秒1
・コスモディナー…37秒0
・コラソンビート…34秒2
・サフィラ…35秒9
・シカゴスティング…34秒1
・ステレンボッシュ…35秒4
・スプリングノヴァ…35秒4
・ドナベティ…33秒8
・ナナオ…34秒6
・プシプシーナ…35秒3
・ボンドガール…34秒9
・ルシフェル…36秒0

《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GⅠのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。

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