【阪神JF】重賞勝ち馬カルチャーデイ、コラソンビートは消し ハイブリッド式消去法

藤川祐輔

過去10回の阪神JF『父ロベルト系』かつ『重賞勝ちなし』の成績,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

先週のチャンピオンズCでは3頭が条件をクリアしていたが、1頭も3着内に好走することはできなかった。レモンポップは枠順や距離実績など様々な不安を払拭して勝利を挙げており、そのパフォーマンスには脱帽だった。

今週は12月10日に阪神競馬場で行われる阪神JF(GⅠ)を予想する。今回は抽選対象の11頭を含めた登録馬26頭から絞り込みを行う。過去10年のデータから複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップし、条件に当てはまった馬を消去していく。

『前走1勝クラス以下』×『前走2人気以下』 ★5.6%★

前走が1勝クラス以下だった馬の成績は【1-4-2-66】(複勝率9.6%)と苦戦している。これをさらに前走2人気以下で絞り込むと【0-2-1-51】(同5.6%)と更に低調だった。

2歳女王を決める一戦だけに、前走でメンバーレベルが落ちる1勝クラス以下を使っていた馬には、当レースは荷が重い舞台のようだ。前走で1人気を背負い、ポテンシャルを高く評価されていた馬でない限りは軽視して問題ないだろう。

【今年の該当馬】
・キャットファイト
・スウィープフィート*
・スプリングノヴァ
・タガノエルピーダ*
・ニュージェネラル*
・ヒヒーン*
・プシプシーナ
・ブルーアイドガール*
・ミライテーラー*

『前走OP以上』×『前走4着以下』 ★4.9%★

前走1勝クラス以下が振るっていない一方、前走OP以上(交流重賞含む)のレースを使っていた馬は【9-6-8-82】(複勝率21.9%)と好成績だ。ただこの組の好走馬のほとんどは前走で3着以内に好走していた馬たち。前走4着以下の馬に限ると【0-1-1-39】(同4.9%)と一気に成績が下降する。

この組から馬券に絡んだのはユーバーレーベン(20年3着)、ウインファビラス(15年2着)だが、2頭はそれぞれ過去に重賞で2着に好走した実績があった。今年のメンバーでは2頭がこのデータに該当するが、共に重賞での好走歴はない。前走でクラスの壁に跳ね返された馬が、更にレベルの高いGⅠで巻き返すことは難しいとみて消去する。

【今年の該当馬】
・クイックバイオ
・テリオスルル*

『前走1500m以下』×『前走初角2~6番手以外』 ★2.6%★

前走距離に注目すると、1600m以上を使っていた馬が【7-9-6-73】(複勝率23.2%)と成績良好だった。これに対し1500m以下だった馬は【3-1-4-75】(同9.6%)で、好走馬こそ8頭いるが全体の成績は低調だ。

この組を更に前走の初角位置で分類すると、2~6番手につけていた馬は【3-1-3-37】(同15.9%)と決して悪くない成績。一方で前走初角が1番手、もしくは7番手以下だった馬は【0-0-1-38】(同2.6%)と厳しいデータが浮かび上がった。

今回が距離延長で前走逃げ、もしくは後方からレースを進めていた馬は評価を下げるべきだろう。

【今年の該当馬】
・アトリウムチャペル*
・シカゴスティング
・ドナベティ
・ナナオ
・ラヴァンダ*
・(クイックバイオ)

『父ロベルト系』×『重賞勝ちなし』 ★0.0%★

次は血統面から絞り込みを行う。父ロベルト系の馬は【1-0-0-15】(複勝率6.3%)と苦戦しており、好走したのは唯一過去に重賞勝利歴があったサークルオブライフ(21年1着)のみ。

過去に重賞勝ちがない馬の成績は【0-0-0-15】(同0.0%)となり、1頭も好走馬が出ていない。昨年はロベルト系のエピファネイア産駒のモリアーナ(2人気12着)、サンティーテソーロ(5人気7着)の2頭が、上位人気に推されながら凡走している。

今年は父ロベルト系の産駒が3頭いるが、いずれも重賞勝ち実績はない。データが示すように当レースとは相性が悪い血統であるため、買い目に入れる必要はないと判断する。

【今年の該当馬】
・ステレンボッシュ
・ビーグラッド*
・(プシプシーナ)

『前走馬体重450kg以下』×『中5週以下』 ★6.5%★

最後は馬体重とローテーションに関するデータから絞り込みを行う。前走馬体重450kg以下だった馬は【1-5-4-77】(複勝率11.5%)と成績が低調だ。更にこれを出走間隔が中5週以下だった馬に限定すると【0-2-2-58】(同6.5%)と好走率が大きく低下する。

2歳GⅠでは成長や仕上がりの早さが大きなアドバンテージとなるだけに、小柄な馬には不利だ。また間隔の詰まったローテーションも若駒には特に負担が大きいはずで、牝馬であれば尚更だろう。

このデータには新たに3頭が該当し、京王杯2歳Sを制したコラソンビートも含まれる。牡馬相手に重賞タイトルを掴んだ実績は素晴らしいが、レコード決着から中4週のローテーションで状態面には不安が残る。関西圏への輸送も初であり、力を発揮しきれない可能性は十分にあるとみて消去する。

【今年の該当馬】
・カルチャーデイ
・コラソンビート
・サフィラ
・(シカゴスティング)
・(ドナベティ)
・(ビーグラッド*)
・(プシプシーナ)

全ての条件を終えて不安データに該当しない馬は、アスコリピチェーノ、コスモディナー、ボンドガール、ルシフェル、メイショウゴーフル*の5頭となった。

この中でも特に注目したいのがアスコリピチェーノだ。新潟2歳Sは前半1000m通過59.8秒という2歳戦らしからぬタイトな展開から、上がり3ハロン33.3秒の末脚を使って勝利。この時の勝ち時計1分33秒8は、21年に同レースを制したセリフォスに並ぶ好タイムだった。

また、早々と重賞を制し賞金加算できたことで、今回は余裕を持ったローテーションでGⅠへと挑める。中間は栗東滞在ということで輸送の不安が軽減できている点も好材料だ。加えて今回のメンバーでマイル重賞を制しているのは当馬のみで、距離適性にも不安はない。

ネガティブな要素が少なく、時計面から能力の裏付けもある。秋に台頭した面々が人気を集めるようならオッズ妙味も生まれそうで、積極的に狙いたい1頭だ。

《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、よりデータを生かした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。

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