【アルゼンチン共和国杯】優勝馬の最重量ハンデは58.5kg 名物ハンデ重賞の「記録」を振り返る

緒方きしん

アルゼンチン共和国杯の記録,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

58.5kgのハンデで優勝したレジェンドテイオー

JRAどころか、世界の芝2000mレコードが大幅更新された驚異の天皇賞(秋)の余韻が残るなか、今週はアルゼンチン共和国杯が開催される。毎週続く中央GⅠ競走も、今週はひと休み。アルゼンチン共和国杯といえば秋の重要なハンデ重賞として親しまれている。ここを制して大舞台へと向かう馬は多く、2008年勝ち馬スクリーンヒーローは次走のジャパンCでウオッカらを撃破、2015年勝ち馬ゴールドアクターは次走の有馬記念でゴールドシップやキタサンブラックらを撃破した。

過去の勝ち馬で最重量ハンデを背負っていたのが、1988年の勝ち馬レジェンドテイオー。58.5kgというハンデに屈さず勝利した。レジェンドテイオーは現3歳シーズンには期待を集めながらもクラシックはダービー14着、菊花賞17着と大敗。翌シーズンは天皇賞(秋)で2着、さらに翌年の天皇賞(秋)で3着と好走する。そしてその次走として、アルゼンチン共和国杯に出走した。1番人気は斤量54kgのスルーオダイナだったが、レジェンドテイオーはレース開始からハナを主張すると、そのまま堂々と逃げ切った。

一方、最軽量で当レースを制したのが、1992年のミナミノアカリ。ミナミノアカリは青森県産馬という点でも注目を集める一頭であった。こちらは重賞初挑戦でありながら、52kgという軽斤量を味方につけ、上がり最速で差し切った。10番人気という低評価を覆す走りで、2着シャコーグレイドとの馬連は134.1倍の万馬券となった。また、勝ち馬だけでなく馬券圏内まで広げると、最軽量は1989年メジロバークレイと2001年シングンオペラの49kgで、いずれも8番人気3着という戦績であった。


ディープインパクト産駒は大苦戦中

58.5kgのハンデに負けなかったレジェンドテイオーは、524kgという雄大な馬体を持つ馬で、歴代勝ち馬でも2番目の馬体重である。そのレジェンドテイオーを抑えて勝ち馬最大の馬体重なのが、マチカネキンノホシ。こちらは526kgという馬体重での勝利であった。こちらも57.5kgというハンデを背負いながらも、アドマイヤボスらを相手に好位から堂々と押し切った。

馬券圏内であれば、546kgのコイントスが最重量。2002年に1番人気2着となった際は530kgだったが、2度目の挑戦である2005年では546kgでの出走。前走比プラス20kgながら、2番人気3着と再び好走した。

最も軽い馬体重で勝利したのは、1995年のゴーゴーゼット。こちらは424kgと、馬券圏内に食い込んだ馬としても最も軽い。父サッカーボーイ、母父ニチドウタローという血統。現役時代に日経新春杯、中日新聞杯、アルゼンチン共和国杯と重賞3勝をあげたが、いずれも424kgでの勝利という馬体重の増減が少ない馬だった。サッカーボーイは他にもスーパージーン(2004年3着)、アイポッパー(2006年2着)とアルゼンチン共和国杯の馬券圏内に3頭もの産駒を送り込んでいる。

最も多くの産駒を馬券圏内に送り込んでいる種牡馬はリアルシャダイで、その数は7頭。1993年ムッシュシェクル、2002年サンライズジェガーと2頭の勝ち馬も輩出している。次点となる、馬券圏内に6頭の産駒を送り込んだ種牡馬は、サンデーサイレンスとハーツクライの2頭。ディープインパクトは2017年2着のソールインパクトのみと、差をつけられている形だ。

タケホープ産駒のミナガワローレル、ダイナガリバー産駒のインターライナー、トウカイテイオー産駒のナチュラルナイン、そしてランドヒリュウ産駒のトウカイパレスなど、バラエティ豊かな種牡馬たちが馬券圏内に産駒を送り込んできた当レース。今年はリオンディーズ産駒テーオーロイヤルやネロ産駒ニシノレヴナント(除外対象)、ローズキングダム産駒フォワードアゲン(除外対象)らが登録している。ディープインパクト産駒としては大阪-ハンブルクC勝ち馬アーティット、オールカマー3着馬ゼッフィーロ(除外対象)、目黒記念2着馬ディアスティマらが登録していて、その走りに注目が集まる。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

《関連記事》
【アルゼンチン共和国杯】狙いは4歳ゼッフィーロ、レッドバリエンテ 人気以上に走るヒュミドールにも注意
【競馬】芝ではキタサンブラック産駒、ルメール騎手が圧倒 東大HCが東京巧者を徹底検証
【アルゼンチン共和国杯】過去10年のレース結果一覧

おすすめ記事