【アルゼンチン共和国杯】狙いは4歳ゼッフィーロ、レッドバリエンテ 人気以上に走るヒュミドールにも注意

勝木淳

2023年アルゼンチン共和国杯に関するデータ,ⒸSPAIA

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上位人気と4歳中心

いよいよ5回東京がはじまる。最終週には豪華メンバーが予想されるジャパンCがあり、ここから5回中山とクライマックスへ一気に加速していく。その一週目にあるのがアルゼンチン共和国杯だ。

舞台の東京芝2500mは2400mよりゲートが100m、4コーナー寄りに置かれるだけだが、ぐっとスタミナ志向になる。昨年の勝ち馬ブレークアップは阪神大賞典で3着に入り、今秋は豪州遠征中だ。特殊な距離だけに同舞台の目黒記念も参考に、適性を重視して予想を組み立てていきたい。データは過去10年分を使用する。

アルゼンチン共和国杯の人気別成績,ⒸSPAIA


特殊な舞台のハンデ戦、ジャパンCに出られるかどうかといったメンバー構成だからか、1番人気は【3-1-1-5】勝率30.0%、複勝率50.0%と決して盤石ではない。とはいえ、2番人気【3-0-0-7】勝率30.0%、3番人気【2-0-7-1】勝率20.0%、複勝率90.0%、4番人気【0-5-0-5】複勝率50.0%と上位人気はそれなりに走る。10番人気以下【0-0-1-70】複勝率1.4%などイメージほど波乱は起きていない。

アルゼンチン共和国杯の年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別では3歳【2-0-2-1】勝率40.0%、複勝率80.0%を除くと、4歳【5-3-3-22】勝率15.2%、複勝率33.3%が抜けている。5歳は【1-5-5-42】勝率1.9%、複勝率20.8%と勝ち切れず、6歳【2-2-0-34】勝率5.3%、複勝率10.5%の方が勝率は高い。実績馬テーオーロイヤルをどう評価するかがポイントになる。


オールカマーより前進を見込めるゼッフィーロ

年齢の傾向からゼッフィーロ、レッドバリエンテら4歳を中心に、5歳テーオーロイヤルは連下級、目黒記念2着ディアスティマ(6歳)が面白い。前走成績から候補をもう少し絞り込んでみたい。

アルゼンチン共和国杯の前走クラス別成績,ⒸSPAIA


アルゼンチン共和国杯の前走レース別成績(GⅠ),ⒸSPAIA


前走クラス別成績から前走GⅠ【4-1-1-8】勝率28.6%、複勝率42.9%に注目しよう。ヒュミドールの前走天皇賞(春)は【1-1-0-3】勝率20.0%、複勝率40.0%で、オーソリティの連覇がここに当てはまる。

前走GⅠは6~9着【2-1-1-2】勝率33.3%、複勝率66.7%。理想はGⅠ敗退も、大敗までいっていない馬だ。ヒュミドールが一致する10着以下は【1-0-0-3】勝率25.0%だが、この1勝が21年オーソリティで、天皇賞(春)10着はヒュミドールと同じだ。東京芝2500mに替わり、条件好転なら買っていい。今年のダイヤモンドS2着のヒュミドールは東京のスタミナ勝負に強い。人気より走るタイプでもあり、過去10年、7歳の好走はないが、狙ってみたい。

テーオーロイヤルは昨年のジャパンC以来の長期休養明けで、さすがにデータで判断しようがない。東京で重賞勝ちこそあるが、アルゼンチン共和国杯は昨年6着に敗れている。

アルゼンチン共和国杯の前走レース別成績(GⅡ),ⒸSPAIA


次に前走GⅡ【3-4-2-52】勝率4.9%、複勝率14.8%について。内訳はオールカマー【1-2-1-17】勝率4.8%、複勝率19.0%、目黒記念【1-0-0-7】勝率12.5%となり、目黒記念がそこまで機能していない。2着ディアスティマはそこまで信頼できないかもしれない。目黒記念経由の勝ち馬は19年ムイトオブリガードで、目黒記念5着だった。

オールカマー組はゼッフィーロの前走3着が【0-1-0-0】、6~9着【1-1-1-8】と負けた馬の巻き返しが目立つ。ゼッフィーロは今春、メトロポリタンS3着、目黒記念4着で東京の中距離は悪くなく、オールカマーより着順をあげる可能性はある。

前走3勝クラスはムーンライトハンデキャップを勝ったレッドバリエンテがいる。ここは前走距離をみると、2000m【0-0-0-7】、2200m【0-0-2-1】、2400m【2-2-2-7】で、2200m以上だった馬に好走が偏る。ムーンライドハンデキャップは阪神芝2200mで好走ゾーンに入る。レッドバリエンテがハンデを味方に上位に食い込む余地はある。

アルゼンチン共和国杯のデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。

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