【京都大賞典】ブローザホーンに3つの不安点 データで導く「過信禁物の注目馬」
藤川祐輔
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混戦模様の古馬王道前哨戦
10月9日、京都競馬場では京都大賞典(GⅡ)が行われる。当レースはGⅡらしく上位人気馬による順当決着が多いが、21年のマカヒキ(9番人気1着)、19年のドレッドノータス(11番人気1着)といった思わぬ伏兵が激走するケースもある。
今年のメンバーを見るとGⅠ馬はヴェラアズールのみで、混戦模様だけに上位人気馬に絶対の信頼は置きにくい。今回は阪神開催だった21、22年を除いた過去10回(2011~20年)のデータを基に「過信禁物の注目馬」を導いていく。
前走GⅢ・オープンクラスは信頼できない
まず注目するのが前走のクラス別成績だ。当レースは前走国内GⅠ組が馬券の中心となっており、【6-5-8-23】勝率14.3%、連対率26.2%、複勝率45.2%と圧倒的な数字をマークしている。
一方で前走GⅢを使っていた馬は【2-1-0-25】勝率7.1%、連対率、複勝率ともに10.7%と奮っておらず、前走オープン・L組についても同様に【1-1-0-17】勝率5.3%、連対率、複勝率ともに10.5%と低調だ。
天皇賞(秋)やジャパンCといった古馬王道路線のGⅠに繋がる一戦だけに、GⅢやオープン・Lといった、比較的メンバーレベルが低いレースからの転戦組は割引が必要だ。
前走馬体重459kg以下は連対なし
続いて紹介するのは馬体重に関するデータである。前走の馬体重が460kg以上だった馬が【10-10-7-79】勝率9.4%、連対率18.9%、複勝率25.5%と馬券圏内のほとんどを占めている。反対に前走馬体重が459kg以下だった馬は【0-0-3-15】連対率0.0%、複勝率16.7%と連対馬を1頭も出せていない。
この組の中にはグローリーヴェイズ(19年1番人気6着)やヴィルシーナ(13年3番人気8着)といった人気馬も多く含まれていた。また、3着に入った3頭(13~14年トーセンラー、15年カレンミロティック)には天皇賞(春)での好走経験があった。
起伏の激しい京都の2400mを乗り切るには、一定の馬格とパワーが必要であることがデータからわかる。同じ京都の外回りで行われる天皇賞(春)での実績があれば別だが、基本的に459kg以下の軽量馬は軽視したい。
関東馬には鬼門の一戦
最後に紹介するのは所属別の成績である。関西馬は【9-9-9-80】勝率8.4%、連対率16.8%、複勝率25.2%と良好であるのに対して、関東からの遠征馬は【1-1-1-14】勝率5.9%、連対率11.8%、複勝率17.6%と落ち込んでいる。回収率をみても関西馬が単278%/複113%であるのに対し、関東馬は単36%/複54%と低調であり、馬券的な妙味も見込めない。
また、好走した関東馬3頭のうち2頭は前走GⅠを使っており、前走GⅡ以下の馬だと【0-1-0-12】勝率0.0%、連対率、複勝率ともに7.7%と厳しい数字が浮かび上がる。
直近に京都で行われた20年こそグローリーヴェイズが勝利したが、それ以前の関東馬の勝利は98年のセイウンスカイまで遡る。長らく関東馬にとって鬼門となってきたレースである点を踏まえても、重い印は打ちにくい。
データで導く「過信禁物の注目馬」
ここまで紹介したデータをまとめると、当レースにおける不安要素は以下の通りである。
・前走オープン・L、GⅢ
・前走馬体重459kg以下、特に天皇賞(春)での実績なし
・関東馬、特に前走GⅡ以下
これを踏まえて、今回はブローザホーンを「過信禁物の注目馬」として挙げる。当馬は上記3つ全ての不安要素に該当しており、特に420kg程度と非常に軽い馬体重が気がかりだ。また、近3走は全て渋った馬場で好走している。こうした馬場は馬体の沈み込みが少ない軽量馬が得意とするところ。相対的にアドバンテージを受けていたのは否めず、開幕週の良馬場で同様のパフォーマンスを出せるのか、疑問が残る。過去に挙げた5勝のうち4勝が稍重以下だった点からも、極端に馬場が悪化しない限り、軽視して良いだろう。
《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、より「予想」にフォーカスした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。
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