【京都大賞典】前走不利など上積み大きいボッケリーニを推奨 前走が宝塚記念組は複勝率48.1%と好相性
貴シンジ
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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
先週のスプリンターズSではアグリを推奨し2番人気7着。良い脚で追い込んできていたが先行有利の馬場状態もあり、上位入線は果たせなかった。さて、今回は10月9日(月)に京都競馬場で行われる京都大賞典について下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の敗因」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった15頭を検討対象とし、過去10年分のデータを使用する。
重要データ:圧倒的な前走宝塚記念組
京都競馬場の改修工事に伴い直近2年は阪神競馬場で開催されていた京都大賞典。阪神時代のデータを省いて考えることもできるが、ここは京都大賞典というレースを使う意図を読み解くことに重点を置き、前走レース別成績に注目したい。
まず本レース全体の単勝回収率が243%、複勝回収率が100%で、かなり荒れやすい重賞であるという点は前置きしておく。それを踏まえても圧倒的な成績を残しているのが前走宝塚記念組。前走が宝塚記念だった馬の成績は【5-2-6-14】で単勝回収率665%、複勝回収率224%と圧倒的な数字を残している。
これを京都競馬場時代の8年間に限定すれば【5-1-5-10】となり単勝回収率855%、複勝回収率268%とさらに数字が良くなる。本レースに出走してくる前走・宝塚記念組の多くは前走着順が悪かった馬。計27頭中、宝塚記念で馬券内だった馬は4頭しかいない。
確かに夏競馬で好走し、ここへ進んできた馬は実力の底を見せていない点で期待できるかもしれない。しかし、春もGⅠ戦線で走っていた馬の実力を侮ることはできない。そういうことだろう。
【前走宝塚記念だった出走予定馬】
・ディープボンド
・ボッケリーニ
・ヴェラアズール
前走の敗因:宝塚記念のボッケリーニ
ボッケリーニの前走は宝塚記念7着。今回のレースは宝塚記念の5~8着馬が出走予定だが、その中でもボッケリーニは宝塚記念で最も展開の不利を受けた馬だった。
スタートこそ決めたが道中は後方で脚を溜め、コーナー通過順位は12-10-13-16。3~4コーナーにかけてイクイノックスが動いたことでレースも一気に動いたが、その時ボッケリーニは前も横もスペースがなく、位置をげる形になってしまった。最内の経済コースを回れたものの、直線に向いた時にはユニコーンライオンとドゥラエレーデが壁になり、一度減速して進路を切り替える形となった。
それでディープボンドと0.1秒差ということを考えれば、五分の競馬なら逆転できる可能性が高い。長く良い脚が使えるタイプだけに京都替わりで上積みを期待したい。
血統解説:ボッケリーニ、ヴェラアズール
・ボッケリーニ
日本での牝祖は7代母レデイチヤツター。約60年日本で繋がってきたファミリーだが、勢いが出てきたのはつい最近。天皇賞(秋)、宝塚記念とGⅠを2勝した本馬の全兄ラブリーデイを筆頭に昨年の皐月賞馬ジオグリフ、ステイヤーズS3連覇のアルバートなどが出ている。
芝を主戦場とする馬が多いファミリーだが、特筆すべきは豊富なスタミナ。本馬もデビュー戦こそマイルを使われたが、その後は徐々に距離を伸ばしていき、昨年の目黒記念で1着、今年の日経賞で2着など中長距離適性の高さを見せている。
すでに7歳で気性的にはかなり落ち着いており、折り合い面に不安がないことからもGⅡ、GⅢクラスでのこの距離なら安定勢力といえるだろう。距離延長の今回は前走よりペースが遅くなる可能性が高く、ポジションも取りやすく上積みを見込みたい。
・ヴェラアズール
日本での牝祖は3代母ムーンインディゴ。同馬は競走馬としての実績はなかったが、母Madeliaが77年仏オークスなどGⅠを3勝。叔父たちにもGⅠ級、重賞級の馬が多数いて、血統背景は抜群の馬だ。
このファミリーからは本馬の他に07年阪神JF、08年オークスを勝利したトールポピーが出ている。特徴として挙げられるのは柔らかい走りと持続性の高さ。欧州血脈を豊富に持ち合わせているが、その中でもEl Gran Senorの影響は大きそう。スパッと切れるタイプこそ出ないものの、捲ったり、先行して粘りこんだり、どんな形でも長く良い脚を使えることがこのファミリーのストロングポイントと言えるだろう。
長い活躍を見せられるファミリーではないので、最近の成績低下やヴェラアズールの身体つきなどを見ると、全盛期ほどのパフォーマンスを求めるのは難しいだろう。
Cアナライズではボッケリーニを推奨
今回のCアナライズではボッケリーニを推奨する。宝塚記念では難しい競馬を強いられたが、その中でも内容は上々。ディープボンドも強敵だが、本馬の方が人気薄になるようなら狙ってみるべき一頭だ。
穴馬で注目馬を挙げるならアイアンバローズが面白い。こちらは近走成績が悪くなっているが鉄砲駆けするタイプ。今回はすんなりハナを取れそうなメンバー構成で、楽に逃げられれば一変の可能性もある。また前走天皇賞(春)は【1-2-0-8】で単勝回収率、複勝回収率ともにレース全体の成績を上回っており、相性の良いローテーションと言えるだろう。
【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
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