【プロキオンS】タガノビューティーは重賞制覇のチャンス到来 ライバルは前走OP・L組のジレトールとオメガレインボー

勝木淳

プロキオンSに関するデータ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

イメージほど波乱は多くない

プロキオンSは3年前が阪神ダート1400m、その後2年は小倉ダート1700mで行われ、4年ぶりに中京ダート1400mに戻ってきた。

このコースは2コーナー奥の引き込み線からスタートするため、最初は芝を走る。JRAのダートコースで芝スタートは東京ダ1600m、中山ダ1200m、新潟ダ1200m、京都ダ1400m、阪神ダ1400m、ダ2000m、福島ダ1150mとこのコースで8つある。このうち重賞が組まれているのは東京、中山、中京、阪神の4つ。

一般的に東京や中山は芝を長く走れる外枠が有利とされるが、中京ダ1400mはコース創設以来の3勝クラス以上でみると、最多勝は3枠の14勝。8枠も10勝なので外が悪いわけではないが、内枠が走るコースでもある。中京は全体的につかみにくいコースが多く、馬券の難易度は高い。データは中京で行われた2012~19年の8回分を使用する。

プロキオンSの人気別成績,ⒸSPAIA


時期的に重賞は波乱を期待したくなるが、中央の選択肢が少ないダートは季節を問わず、上位馬たちが稼働する。1番人気と2番人気はそれぞれ【2-2-2-2】勝率25.0%、複勝率75.0%で信頼できる。勝ち馬は5番人気以内から7頭出ており、10番人気以下1勝はこのコースになった初年にあたる12年トシキャンディのみ。近年は比較的平穏な決着が目立つ。

プロキオンSの年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢の傾向は4歳が【4-2-0-13】勝率21.1%、複勝率31.6%と断然。以下、5歳【1-3-3-23】勝率3.3%、複勝率23.3%、6歳【3-1-1-20】勝率12.0%、複勝率20.0%と続き、7歳以上【0-2-4-41】複勝率12.8%。ダートらしく6歳以上のベテランも元気で、3連系を買う場合は3着を4頭出す7歳以上は必ずチェックしておこう。

かしわ記念2着のタガノビューティーにチャンス到来

今年の顔ぶれではリメイクら4歳が中心も、タガノビューティー、オメガレインボーら高齢馬も十分チャンスがある。臨戦過程について掘り下げる。

プロキオンSの前走クラス別成績,ⒸSPAIA


まず注目は、前走が中央の重賞だと【0-0-0-16】と馬券絡みがないこと。とはいえ、中央の古馬ダート重賞となると、東海S、根岸S、フェブラリーS、マーチS、アンタレスS、平安Sと選択肢は少なく、さらに1400mとなると2月の根岸Sしかない。

その分、前走地方【2-3-0-23】勝率7.1%、複勝率17.9%や海外【0-1-0-1】から好走馬が出る。前走地方のうち注目はかしわ記念【1-1-0-1】で、2着だと【1-0-0-0】。15年ベストウォーリアが勝った。これに該当するのがタガノビューティー。かしわ記念は帝王賞を連覇したメイショウハリオとクビ差の勝負であり、左回りの1400mはベストに近い。

一方、リメイクのドバイゴールデンシャヒーンは【0-0-0-1】だが、ゴドルフィンマイルが【0-1-0-0】なので、問題はなさそうだ。昨年のカペラSの内容からも末脚勝負なら引けをとらない。

プロキオンSの前走距離(OP・L)成績,ⒸSPAIA


中央組はオープン・L【5-3-8-48】勝率7.8%、複勝率25.0%に注目。基本的にはこの組の取捨選択がカギを握る。距離別の傾向をとると、同距離【3-1-5-29】勝率7.9%、複勝率23.7%はレース数も多く、分母が大きい分、迷うところだ。ここは同距離らしく素直に前走2着以内【3-1-3-8】勝率20.0%、複勝率46.7%を評価しよう。なお、3~5着【0-0-1-7】、6着以下【0-0-1-13】も好走馬はいるが、ちょっと効率が悪い。欅Sの2着ジレトール、ポラリスSを勝ったオメガレインボーは狙える。

一方で前走1400m未満からの延長は【1-1-1-6】勝率11.1%、複勝率33.3%。1着【0-1-1-0】、6~9着【1-0-0-1】と逆転もある。京都競馬場グランドオープン記念1着ドンフランキーと松風月S8着フルムが当てはまる。フルムは東京ダート1400mを勝ってオープン入りしており、延長で巻き返す可能性はありそうだ。

前走3勝クラス【1-1-0-11】勝率7.7%、複勝率15.4%のうち、エルバリオが該当する前走東京ダート1400mだと【0-1-0-3】。さらに中団から差した場合は【0-1-0-0】。さすがにサンプル数は少ないが、エルバリオは中京ダート1400mで2、3、1着と崩れていない。

プロキオンSに関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『ゴールドシップ伝説 愛さずにいられない反逆児』(星海社新書)に寄稿。


《関連記事》
3連単の最高額は1460万40円 2022年中央競馬の高額配当ランキング
武豊騎手、JRA重賞350勝までの道のり 節目の重賞勝利を振り返る
2023年に産駒がデビューする新種牡馬まとめ 日本馬の筆頭・レイデオロは「ディープ牝馬」との配合で期待

おすすめ記事