【フローラS】狙い目は「泥臭いタイプ」? 「キャリア」と「馬体重」から絞り込んだ好走候補とは

逆瀬川龍之介

フローラステークス-2025で注目したい条件と該当馬,ⒸSPAIA

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"異質"のレース、攻略のヒントは?

牝馬クラシック路線の中で、フローラSは異質のレースかもしれない。というのは、ノーザンファームの生産馬が”比較的”走れていないからである。

2015~24年の10回を見ると、桜花賞が5勝、2着8回、オークスが6勝、2着7回なのに対し、フローラSは4勝、2着3回。もちろん、これでも十分に優秀といえるが、他のレースが素晴らし過ぎるので物足りなく感じるのだ。

では、ノーザンファームの牝馬にどういう印象があるだろうか。誤解を恐れずにいえば、個人的には”シュッとした良家のお嬢様”といった感じ。良くも悪くも大事に使われ、少ないキャリアで大舞台に駒を進めてくることが多いように思う。しかし、フローラSで好成績を残しているのは正反対の”泥臭いタイプ”なのだ。

ここからが本題。近10年のフローラSの好走馬をチェックすると、2つの面白いデータが見つかった。

(1)馬体重
近10年で440kg未満は【0-2-4-40】と未勝利。3番人気以内に限ると【0-0-1-8】で、20年には1番人気スカイグルーヴが5着、21年には1番人気オヌールが8着に終わっている。

対照的に480kg以上は【3-1-1-19】。とりわけ21年以降の4回は【3-0-1-7】と優秀で、21年のクールキャット、23年のゴールデンハインド、24年のアドマイヤベルと勝ち馬が続出している。今年も大型馬の激走に要注意だ。

【今年の該当馬】前走馬体重480kg以上
カムニャック
グローリーリンク
タガノアビー
ティラトーレ
ホウオウタイタン
マイスターヴェルク

(2)キャリア
キャリア2戦以下の馬は【1-1-2-42】と苦戦している。とりわけ3番人気以内は【0-1-0-11】とサッパリなので、未知の魅力で人気を集めている馬には手を出しづらい。

一方、5戦以上を消化している馬は【2-7-4-45】で、10年のうち8年で連対馬を出している。これだけの出走頭数で複勝回収率が110%もあるように人気薄の好走が多く、2桁人気の馬券圏内も3回。どれだけ印が薄くても、キャリアが豊富な馬は押さえておきたい。

【今年の該当馬】キャリア5戦以上
エストゥペンダ
ティラトーレ
ピコローズ
マーゴットレジーナ
ルクスジニア

今年の登録馬を見てみよう。上に記したように、前走の馬体重が480kg以上の馬は6頭、キャリア5戦以上の馬は5頭。そして両方に該当したのはティラトーレの1頭のみだった。

ティラトーレは名繁殖牝馬のアイドリームドアドリームを祖とする名牝系の出身だ。一族からは牡馬二冠のエアシャカールや秋華賞馬エアメサイア、大阪杯連覇のベラジオオペラと3頭のGⅠ馬が出ている。

ティラトーレは前走のクイーンCでハイペースが堪えて8着に終わったが、3走前のフェアリーSでは2着の実績あり。父リアルスティール、母の父ルーラーシップ、半兄が神戸新聞杯4着のオールセインツという血統から見て、距離延長も問題ない。キャリア不足、そして馬体重の軽い人気馬を撃破し、好配当の主役となることを期待したい。

《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GⅠのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。

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