【宝塚記念】参考レース振り返り 能力ではイクイノックス、データは過去10年で4勝の天皇賞(春)組

三木俊幸

2023年宝塚記念に出走するイクイノックス,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

参考レースを振り返る

6月25日(日)、阪神競馬場では上半期を締めくくるグランプリ・宝塚記念(GⅠ・芝2200m)が行われる。ロンジンワールドベストホースランキングで129ポンドで世界一の評価を受けるイクイノックスをはじめ、GⅠ馬8頭が登録している。出走予定馬の主な参考レースを過去10年データとともに振り返っていく。


天皇賞(春)【データ:A メンバーレベル:B】

過去10年の成績【4-3-2-32】勝率9.8%、連対率17.1%、複勝率22.0%

率自体は抜けて高いというわけではないが、過去10年で最多の4勝をあげている天皇賞(春)組。2022年はタイトルホルダーが勝利している。

3年ぶりに京都競馬場を舞台に争われたレースは、タイトルホルダーが内からハナを主張するもアフリカンゴールドが譲らず先頭へ。最初の1000mを59.7と速いペースで通過した後、アフリカンゴールドは徐々に後退した。代わってタイトルホルダーが主導権を握ったが、2周目4角でスピードダウンし、競走中止という波乱のレースとなった。

勝利したのは道中7番手の外を追走していたジャスティンパレス。2周目4角で4番手までポジションを押し上げると、直線半ばで先頭に立ち、後続に2馬身半差をつけて快勝した。今回は距離短縮となるが充実期を迎えており、ある程度ペースが流れるようなら引き続き好走が期待できそうだ。

ディープボンドは好位追走から直線に向いたところで先頭に立った。しかし、ジャスティンパレスにあっさり交わされ、このレース3年連続の2着という結果だった。昨年は同じローテーションで宝塚記念に参戦して4着と健闘したが、今回は昨年より相手が揃っている点から、かなりタフな展開になってどうかという評価だ。

4着ブレークアップは着実に力をつけている印象。2200mという距離でどこまでやれるか、今後を見据えるうえで試金石となるだろう。

11着アスクビクターモアは2走前の日経賞は大きく出遅れ、そして天皇賞(春)も見せ場なく終わった。スタートを決めて上手くマイペースに持ち込めば、巻き返す力はあるだろう。


ドバイシーマクラシック【データ:B メンバーレベル:A】

過去10年の成績【1-1-2-6】勝率10.0%、連対率20.0%、複勝率40.0%

出走頭数は10頭と少ないが、4頭が3着内に好走。2021年の優勝馬クロノジェネシスをはじめ、好走馬4頭中3頭が4角4番手以内という共通点がある。

10頭立てとなったレースは、好スタートを切ったイクイノックスが逃げる展開となる。そのまま淡々と流れ、直線は後続各馬が追い出しにかかるところ、イクイノックスはただ一頭だけ抜群の手応え。鞍上のC.ルメール騎手が軽く気合をつけただけで後続を引き離し、2:25.65のレコードタイムをマークした。今回はドバイ帰りとなるが、どのようなパフォーマンスを見せてくれるのか、非常に楽しみだ。


鳴尾記念【データ:B メンバーレベル:C】

過去10年の成績【1-3-0-13】勝率5.9%、連対率23.5%、複勝率23.5%

2015年に6番人気ラブリーデイが連勝で制し、直近では2021年にユニコーンライオンが7番人気で2着に入るなど、人気薄での好走が目立つ。

レースはフェーングロッテンが1000m通過59.6というペースで引っ張った。勝ったボッケリーニは序盤は中団を追走するも、3角から徐々に進出開始。直線で早めに先頭に立ち、そのまま内でしぶとく粘るフェーングロッテンや、外から追い上げるアドマイヤハダルなどを抑え、クビ差で1着。7歳となったが、充実ぶりが窺い知れる。

6着モズベッロは中団のインで脚を溜め、直線は馬群を割って0.3秒差。GⅠの舞台では成績は振るわないが、このレースに関しては自身の力を発揮できた内容だった。

カラテは好位追走から0.5秒差の9着に終わったが、ゴール前は進路が塞がって全く追えなかった。参考外の一戦と言っていいだろう。


クイーンエリザベス2世C【データ:B メンバーレベル:B】

過去10年の成績【1-0-0-4】勝率20.0%、連対率20.0%、複勝率20.0%

4月末に香港で行われる同レースからの参戦は5頭。2019年にリスグラシューが勝利している。

マネーキャッチャーが逃げる展開となったレースは、400mごとのラップが27.45-25.10、800m通過52.55と超スローペースで流れた。道中3番手からレースを進めたロマンチックウォリアーが残り200mで先頭に立つと、後続を突き放して快勝。日本勢はプログノーシスの2着が最高着順だった。

5着ダノンザキッドは4番手から運んだが、スローペースで持ち味を発揮することができずに終わった。2200mは若干長い可能性もあるが、大阪杯では勝ち馬とタイム差なしの3着。実績がある阪神コースは歓迎だ。

ジェラルディーナはプログノーシスと並んで後方を追走。直線では外に持ち出すも、6着という結果に終わった。エリザベス女王杯を制した実績のある阪神芝2200mという舞台なら巻き返し可能だろう。

2023年宝塚記念に出走するジェラルディーナ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ドバイワールドC【データ:なし メンバーレベル:A】

過去10年で出走なし

出走15頭中、8頭が日本馬というメンバーだった今年のドバイワールドC。大外からパンサラッサがハナを主張するが、内からリモースも抵抗して先行争いは激化し、ハイペースとなった。

直線半ばでアルジールスが完全に抜け出したところを、道中最後方追走から追い込んできたウシュバテソーロが残り150mで捉えて2.75馬身差で勝利。2011年ヴィクトワールピサ以来の同レース制覇を果たした。

今回宝塚記念に出走予定のジオグリフは8番手を追走、ヴェラアズールはその一列後ろからレースを進めたが、それぞれ11、13着。ダートに挑戦して残念な結果に終わったが、ともに芝GⅠを制している実績馬だけに、本来の能力を発揮できれば好走しても不思議はない。

2023年ドバイワールドCに出走したジオグリフ、ヴェラアズール,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)



ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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