【競馬】6月の条件戦で「3歳馬狙い」は本当に正しい? データで見えた2つの特注条件

高橋楓

6月の条件戦における3歳馬の成績,ⒸSPAIA

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3歳馬が条件戦で勝つ可能性、34.2%

まもなく夏競馬到来。この時期になると「夏の上がり馬」という言葉をよく耳にする。個人的にはヒシミラクルが忘れられない。2001年8月の2歳新馬戦でデビュー以降なかなか勝ち上がれず、初勝利は10戦目の2002年5月末。その後、夏の条件戦で[2-1-2-0]と頭角を現し、神戸新聞杯6着を経て菊花賞を制覇した。翌年の天皇賞(春)、宝塚記念を連勝するなど、記録にも記憶にも残る名馬だった。

さて、今月に入り3歳馬の活躍が目覚ましい。テレビ中継や新聞等のメディアでも「3歳馬を狙え」と唱えられる時期だが、果たしてそれは本当に正しいのか。そこで今回は、6月の条件戦における3歳馬の成績について、データを用いて分析していきたい。

6月限定 3歳以上条件戦 年齢別成績,ⒸSPAIA


まずは2012年6月1日から2022年6月10日までの期間で、6月に行われた条件戦1220勝の内訳を見ていく。

3歳 【417-349-341-2885】勝率10.4%
4歳 【576-551-516-4922】勝率8.8%
5歳 【171-242-265-3129】勝率4.5%
6歳 【45-53-73-1353】勝率3.0%
7歳以上 【11-21-23-639】勝率1.6%

条件戦とは「1勝クラス」「2勝クラス」「3勝クラス」のことで、3歳馬の好成績が目立つが、思った以上に突き抜けた結果ではない。これは3歳馬の母数の多さが影響しており、実際の占有率で計算すると1220勝中417勝なので、34.2%の割合で勝っている計算になる。よって、そこそこの割合と言っていいだろう。

しかし、3勝クラスに限定すると、この時期から3勝クラスに挑める3歳馬は少なく、【0-2-2-12】という成績だ。

一方、残りの条件戦では、1勝クラスよりも2勝クラスで3歳馬が活躍している事が数字から分かってきた。

6月限定 2勝クラス(芝)年齢別成績,ⒸSPAIA


まずは芝の2勝クラスの成績を年齢別に見ていこう。

3歳 【52-24-19-147】勝率21.5%
4歳 【74-85-73-433】勝率11.1%
5歳 【28-47-56-581】勝率3.9%
6歳 【17-11-21-321】勝率4.6%
7歳以上 【4-8-6-159】勝率2.3%

条件戦全体の3歳の勝率が10.4%だった一方、芝の2勝クラスのみでは倍以上の数字になっている。

6月限定 2勝クラス(ダート)年齢別成績,ⒸSPAIA


また、ダートの2勝クラスもまずまずの成績を残している。

3歳 【31-20-21-129】勝率15.4%
4歳 【68-53-43-377】勝率12.6%
5歳 【20-39-45-524】勝率3.2%
6歳 【5-11-13-302】勝率1.5%
7歳以上 【2-3-4-148】勝率1.3%

こちらも芝ほどではないが母数を考えると好成績を残している。芝もダートも勝利数では4歳馬と比べると見劣りするが、出走頭数が倍以上違うので、率では3歳馬が上回っている。

制度改革の2019年以降、3歳馬が大躍進!

2019年には降級制度の廃止があった。そこで、廃止前の2012年から2018年、廃止後の2019年から2022年6月10日までのデータを調べてみる。表の左が廃止前、右が廃止後の数字になる。

6月限定_降級制度廃止前後の、条件戦年齢別勝率,ⒸSPAIA


3歳 8.7%→13.6%
4歳 9.8%→6.2%
5歳 4.3%→4.9%
6歳 2.6%→3.8%
7歳以上 0.9%→2.9%

降級制度廃止前の3歳馬はもともと勝率8.7%。4歳馬より低かったが、廃止後は13.6%と大きく増加している。逆に4歳馬は9.8%から6.2%と大きく数字を下げる結果になっている。やはり2018年まで存在していた、降級した4歳馬が3歳馬に立ちはだかる、という構図は崩れている。

6月、7月の条件戦で狙える条件2選!

6・7月限定 3歳馬の狙える条件,ⒸSPAIA


では、特に3歳馬を狙える条件とはなんだろうか。今回はこれから本番を迎える、6月と7月の函館、小倉、福島の条件戦を調べてみた。そうすると「買いたい条件」が2つ浮かび上がってきた。

まず一つ目は福島競馬場で行われるダート1700mの1勝クラスだ。【13-10-10-67】で勝率は13.0%しかないが、これは出走頭数の問題。制度廃止後に当該条件では16レースが行われている。そのうち13勝を3歳馬があげている。2着、3着にも満遍なく絡んでおり、ドル箱状態だ。

人気馬だけでなく、8番人気ブリッツェンシチー、7番人気プレフェリータ、6番人気セクシーフェイスなど中穴も1着となっている。この条件で3歳馬を狙わない手はない。

二つ目は函館競馬場の芝1200mで行われる2勝クラスだ。制度廃止後、当該条件では17レース行われ、うち3歳馬が9勝。着別度数にすると【9-1-2-21】で単勝回収率は107%ある。

注目すべきは9頭中7頭が当日1番人気になっていたこと。春の3歳短距離重賞で人気になっていたアヌラーダプラや、世代重賞で掲示板経験のあるダノンジャスティス、ショウナンタイガ、NHKマイルカップにも出走していたゴールドチャリスなど、実績あるメンバーが名を連ねる。この結果からわかることは、この条件では人気に逆らわず買うべきだという事だ。

古馬に比べ斤量で有利なケースが多く、この夏の条件戦は3歳馬をうまく狙っていきたい。

《ライタープロフィール》
高橋楓。秋田県出身。
競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。競馬、ボートレース、競輪の記事を中心に執筆している。

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