【宝塚記念】開催4週目の8枠は好成績! イクイノックス有力もジェラルディーナが面白い

勝木淳

宝塚記念に関するデータ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

今年は阪神4週目

上半期の総まとめにあたる宝塚記念は、天皇賞(春)ほど京都改修による影響を受けていないが、直近2年は阪神開催2週目に施行され、例年通りの4週目開催とは傾向が異なっていた。3年ぶりに4週目に行われる今年は少し前の傾向を思い出しながら、馬券検討に向き合いたいところだ。

ドバイシーマクラシックが評価され、ワールドベストレースホースランキングで世界ナンバー1を獲得したイクイノックスの出走により、今年の宝塚記念は世界から注目を集めるレースになった。データは過去10年分を使用する。

宝塚記念の人気別成績,ⒸSPAIA


グランプリレースは春も秋もシーズン末期に施行され、どちらも波乱含みの傾向があるが、有馬記念の1番人気【6-1-1-2】勝率60.0%に対し、宝塚記念は【2-2-1-5】勝率20.0%、複勝率50.0%。サマーグランプリの方が波乱の予感はある。2番人気【3-0-2-5】勝率30.0%、複勝率50.0%など3番人気以内が7勝も、6~8番人気3勝と穴馬の激走が十分ある。

とはいえ、前走がドバイシーマクラシックだった1番人気は【1-1-1-0】。21年クロノジェネシスを筆頭に馬券を外していない。一方、10番人気以下は【0-2-3-48】複勝率9.4%。馬券の組み立てを間違えて後悔したくない。

宝塚記念の年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別の成績は4歳【3-1-5-28】勝率8.1%、複勝率24.3%、5歳【7-4-5-37】勝率13.2%、複勝率30.2%とこの2世代が中心でいい。5歳優勢ではあるものの、この時期は4歳と5歳の成長曲線が交差するタイミングでもあり、これを根拠に4歳の評価を落とすのは早計だろう。3歳で有馬記念を勝った馬が4歳で勝てば、2013年ゴールドシップ以来10年ぶりになる。なお、3歳はドゥラエレーデがいるが、この10年間で出走はない。

宝塚記念の枠番別成績,ⒸSPAIA


ここ2年間、使わなかった枠番別成績を紹介する。8枠は【7-0-2-14】勝率30.4%、複勝率39.1%と驚異的な数字が残る。梅雨どきの開催4週目の終わりともなると、距離ロスがあっても外を通るのが上策といったところだ。事実、2週目だった直近2年は【0-0-0-5】。今年はこのデータが生きる。

ただ1点注意したい。12頭以内の8枠【4-0-2-2】、13頭~18頭立て【3-0-0-12】と、多頭数になると数字的にはやや落ちる。今年は登録時点で除外馬が出る状況なので、フルゲートの公算が高い。馬場状態をしっかり見極め、外が優位と踏めば、データ通り8枠を狙うのも面白い。


ペースを問わないイクイノックス

枠の偏りもあるが、やはり舞台の阪神芝2200mというのもクセモノだ。スタートから正面直線を目一杯に使うコースで、1コーナーまで距離がそこまでない芝2000mと比べると序盤の入りが速くなりやすいため、最後の急坂が壁のように立ちはだかる。動き出しが速い内回りコースも手伝い、わずか200mの違いでも、スタミナ色が濃くなる。ここからはコースのクセも頭に入れつつ、前走成績から傾向を探る。

宝塚記念の前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走海外のなかでもドバイシーマクラシックは【1-1-2-6】勝率10.0%、複勝率40.0%。好成績も、少し勝ちきれない。ほぼスローペースになるレースから宝塚記念に挑む場合、展開の違いを乗り切れるかがポイントだろう。イクイノックスはハイペースの天皇賞(秋)と舞台もまったく異なるスローの有馬記念を連勝しており、間隔を空けて挑めば、そういったペースの違いも気にならないか。なにより真の王者は舞台を選ばない。

海外組では香港クイーンエリザベスⅡ世Cが【1-0-0-4】。19年リスグラシューが同レース3着から勝利した。5、6着ダノンザキッド、ジェラルディーナなら、戦歴に共通点が多いジェラルディーナか。なお、豪州のクイーンエリザベスSは【0-0-0-1】、ドバイワールドCは出走がなく、期間外の04年サイレントディール7着、12年エイシンフラッシュ6着の2例にとどまる。

宝塚記念の前走レース別成績,ⒸSPAIA


国内のGⅠは当然、天皇賞(春)と大阪杯が中心だが、今年は大阪杯からの直行馬が不在であり、天皇賞(春)【4-3-2-32】勝率9.8%、複勝率22.0%に注目しよう。

宝塚記念の前走天皇賞(春)での着順別成績,ⒸSPAIA


その着順別の内訳は1着【1-0-1-3】勝率20.0%、複勝率40.0%、2、3着【0-0-0-10】、残る好走は4着以下から出現した。昨年はタイトルホルダーが久々に連勝を決めたが、今年のジャスティンパレスはどうだろうか。当然、スタミナ志向の流れになれば出番はある。昨年の菊花賞をみても、序盤突っ込んで入っても対応できるだろう。残るは4着以下のブレークアップ、アスクビクターモア。ただし、天皇賞(春)4番人気以下【1-2-1-21】。好走する可能性はやや低いか。

GⅡ以下では鳴尾記念【1-3-0-13】勝率5.9%、複勝率23.5%、目黒記念【1-0-1-12】勝率7.1%、複勝率14.3%に絞られる。前走GⅡ、GⅢ全体の着順内訳は1、2着【2-1-1-8】、3、4着【0-2-0-8】、5着以下【0-0-0-19】。同舞台のエリザベス女王杯2着で目黒記念9着ライラックは気になる存在だが、データ上は苦しい。前走GⅠ以外なら鳴尾記念を勝ったボッケリーニに可能性がある。

2023年宝塚記念に関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『ゴールドシップ伝説 愛さずにいられない反逆児』(星海社新書)に寄稿。


《関連記事》
3連単の最高額は1460万40円 2022年中央競馬の高額配当ランキング
武豊騎手、JRA重賞350勝までの道のり 節目の重賞勝利を振り返る
2023年に産駒がデビューする新種牡馬まとめ 日本馬の筆頭・レイデオロは「ディープ牝馬」との配合で期待

おすすめ記事