【NHKマイルC】外枠と先行が好成績、川田将雅騎手は特定条件で回収率UP 東大HCが東京芝1600mを徹底検証

東大ホースメンクラブ

東京芝1600m,ⒸSPAIA

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コース紹介

今週は東京芝1600mを舞台に3歳マイル王決定戦、NHKマイルCが行われる。今年の同レースは例年以上の大混戦だ。無敗で朝日杯を制したドルチェモア、ニュージランドTを制し、3連勝でGⅠ獲りに挑むエエヤン、重馬場のアーリントンCで豪快な差し切りを決めたオオバンブルマイらが中心。しかし、どの人気馬も不安要素を抱えており、非常に予想の難しい一戦になりそうだ。

当該コースが舞台の重賞は8レース。グレード順に、GⅠは今週のNHKマイルC、ヴィクトリアマイル、安田記念の3レース。GⅡは富士S、GⅢは東京新聞杯、クイーンC、サウジアラビアロイヤルC、アルテミスSが行われる。

まずはコース紹介から。大箱を生かしたワンターンのコースで、2コーナーをスタートしてしばらくゆるやかに下り、向正面半ばで坂を上る。3~4コーナーの下りを出て500m超の直線。直線半ばから傾斜のなだらかな高低差2mの坂が待ち受け、最後に平坦な300mを走り切ってゴールを迎える。

今週はこのコースの特徴をデータで分析していく(使用するデータは2018年1月27日〜2023年4月30日)。

圧倒的に外枠有利

東京芝1600m・過去5年の枠別成績,ⒸSPAIA


<東京芝1600m・枠別成績>
1枠【41-32-44-417】勝率7.7%/連対率13.7%/複勝率21.9%
2枠【36-39-35-457】勝率6.3%/連対率13.2%/複勝率19.4%
3枠【45-41-32-468】勝率7.7%/連対率14.7%/複勝率20.1%
4枠【37-43-36-492】勝率6.1%/連対率13.2%/複勝率19.1%
5枠【45-45-42-507】勝率7.0%/連対率14.1%/複勝率20.7%
6枠【45-66-38-517】勝率6.8%/連対率16.7%/複勝率22.4%
7枠【62-42-64-603】勝率8.0%/連対率13.5%/複勝率21.8%
8枠【58-59-78-611】勝率7.2%/連対率14.5%/複勝率24.2%
集計期間:2018年1月27日〜2023年4月30日

勝率トップは7枠、連対率トップは6枠、複勝率トップは8枠と外枠有利の傾向が見られる。昨年のNHKマイルCを制したダノンスコーピオンも8枠18番の大外枠だった。平場同様、この外枠有利の傾向はメンバーレベルの上がるGⅠでも健在。特にNHKマイルCは外有利の傾向が強く、過去5年の勝ち馬は全て6枠より外から出ている。最も多く馬券に絡んでいるのは8枠(【2-1-1-11】で5頭)であり、狙い目だ。過去にはこの8枠から19年ケイデンスコール(14番人気2着)や16年レインボーライン(12番人気3着)が穴を開けている。

反対に1~4枠は過去5年のNHKマイルCでそれぞれ1頭ずつしか馬券に絡んでいない。昨年の2枠4番セリフォス4着や、19年4枠7番グランアレグリア5着(4位入線から降着)など、後に古馬マイルGⅠを勝つような実力馬もこれらの枠から凡走。出遅れや一瞬の踏み遅れが致命傷となりやすい内目の枠は、高速マイル決着において不利に働くと言って良いだろう。

東京芝1600m・過去5年の脚質別成績,ⒸSPAIA


<東京芝1600m・脚質別成績>
逃げ【42-45-46-235】勝率11.4%/連対率23.6%/複勝率36.1%
先行【152-131-120-912】勝率11.6%/連対率21.5%/複勝率30.6%
差し【131-137-146-1549】勝率6.7%/連対率13.7%/複勝率21.1%
追込【44-53-57-1372】勝率2.9%/連対率6.4%/複勝率10.1%
集計期間:2018年1月27日〜2023年4月30日

脚質別ではセオリー通り、前有利の傾向が見られる。しかしOP以上のレースに限ると、逃げ【1-3-6-37】複勝率21.3%、先行【13-11-10-134】同20.2%、差し【24-18-23-212】同23.5%、追込【9-15-7-175】同15.0%と、追込の成績がやや落ちる程度で、他の脚質の成績は拮抗。ただし、上がり3F最速の馬が【16-17-4-17】で勝率29.6%、単回収率260%を記録しており、複勝率は68.5%と安定感を発揮。鋭い末脚が使える馬を軸にするのが得策だろう。

リーディング上位騎手が安定感を発揮

東京芝1600m・過去5年の種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<東京芝1600m・種牡馬別成績>
ロードカナロア【26-30-22-194】勝率9.6%/連対率20.6%/複勝率28.7%
ルーラーシップ【17-12-10-116】勝率11.0%/連対率18.7%/複勝率25.2%
シルバーステート【2-0-2-26】勝率6.7%/連対率6.7%/複勝率13.3%
集計期間:2018年1月27日〜2023年4月30日

種牡馬別成績では、ロードカナロアがNHKマイルCに出走する種牡馬の中でトップ。過去5年で26勝を挙げ、3位ハーツクライに6勝差を付け2位にランクインしている(1位は60勝でディープインパクト)。今回のレースでは、ウンブライル、ダノンタッチダウン、ナヴォーナの3頭が該当する。

ドルチェモアの父ルーラーシップは勝率11.0%とロードカナロアを上回る数字を記録。脚質別成績では、逃げ【2-1-0-2】と差し【7-3-6-48】で単回収率がそれぞれ180、113%とプラス域をマーク。サウジアラビアRCは差し切り、朝日杯FSでは逃げ切りを決め、両方の脚質に対応できるドルチェモアは非常に魅力的な存在だ。

エエヤン、カルロヴェローチェ、セッションら上位人気馬を含む3頭が該当するシルバーステートについても見ておく。皐月賞でも人気薄2頭が掲示板入りしており道悪、中山巧者のイメージが定着しつつある当馬だが、そのイメージ通りこのコースでは苦戦している。レース当日が良馬場なら思い切って馬券から外すのも一つの手だ。

その他、シングザットソングやシャンパンカラーの父ドゥラメンテは【12-12-8-65】、クルゼイロドスルの父ファインニードルは【1-0-0-2】、オオバンブルマイの父ディスクリートキャットは【0-1-0-13】である。

東京芝1600m・過去5年の騎手別成績,ⒸSPAIA


<東京芝1600m・騎手別成績>
戸崎圭太【26-27-27-129】勝率12.4%/連対率25.4%/複勝率38.3%
レーン【16-7-5-30】勝率27.6%/連対率39.7%/複勝率48.3%
川田将雅【16-11-10-41】勝率20.5%/連対率34.6%/複勝率47.4%
集計期間:2018年1月27日〜2023年4月30日

騎手別成績では、リーディング上位の騎手が安定してその実力を発揮している。NHKマイルCに騎乗予定の騎手の中では、エエヤンに騎乗予定の戸崎圭太騎手がトップの26勝を挙げ、2位にランクイン(1位は64勝でルメール騎手)している。

また、圧巻の成績を残しているのがレーン騎手。勝率27.6%、連対率39.7%と絶大な安定感を発揮しており、単回収率も102%でプラス域をマークしている。カルロヴェローチェへの騎乗を予定しており、注目だ。

週末の府中は、現時点では雨予報。道悪となった場合に買いたいのは、ダノンタッチダウンに騎乗予定の川田将雅騎手。全体成績は【16-11-10-41】で勝率20.5%、単回収率142%と十分優秀だが、馬場状態が稍重・重なら【3-3-0-5】で勝率27.3%、単回収率164%とさらに成績が上がる。

その他、NHKマイルCに騎乗予定で単回収率100%を超えているのは、タマモブラックタイに騎乗予定の幸英明騎手が161%、シングザットソングに騎乗予定の吉田隼人が138%、ウンブライルに騎乗予定の横山武史騎手が136%を記録している。

東京芝1600mコースデータ,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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