【NHKマイルC】参考レース振り返り 勝率14.3%の皐月賞組、プラス材料揃うダノンタッチダウン

SPAIA編集部

2023年NHKマイルCに出走するダノンタッチダウン,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

NHKマイルC出走予定馬の参考レース

5月7日(日)、東京競馬場では3歳マイル王を決める一戦、NHKマイルC(GⅠ・芝1600m)が行われる。出走を予定している馬たちの主な参考レースを過去10年のデータとともに振り返る。


皐月賞【データ:A メンバーレベル:A】

過去10年の成績【2-1-1-10】勝率14.3%、連対率21.4%、複勝率28.6%

過去10年では2015年クラリティスカイが皐月賞5着から、2019年アドマイヤマーズが同4着から巻き返して優勝している。

重馬場で行われた今年の皐月賞はグラニットが逃げる展開となり、前半1000m通過58.5というハイペース。直線は横にずらっと広がる形となり、外から抜けたタスティエーラが押し切るかと思われた。しかし4角17番手、大外からソールオリエンスがすごい脚で突き抜けて勝利。勝ちタイムは2:00.6、ハイペースにもかかわらずラストは12.7-12.5-12.0という加速ラップでの決着となった。

ダノンタッチダウンは先行するも、4角で急失速。勝ち馬から5.5秒差の18着だった。ダメージは懸念されるが、騎乗していた川田将雅騎手が無理をさせなかったことがNHKマイルC参戦を表明できた理由の一つでもあるだろう。朝日杯FS2着など実績あるマイル戦に替わるのはプラス材料だ。


桜花賞【データ:A メンバーレベル:A】

過去10年の成績【2-2-0-12】勝率12.5%、連対率25.0%、複勝率25.0%

2016年メジャーエンブレム、2017年アエロリットが桜花賞をステップに勝利。2着となった馬にも2020年レシステンシア、2021年ソングラインと活躍馬が名を連ねる。

レースはモズメイメイが逃げ、前半800mを45.9で通過する。直線は外からペリファーニア、内からコナコーストが抜け出してこの2頭の争いとなったところ、4角16番手だった1番人気リバティアイランドが大外からまとめて差し切り、1:32.1で勝利。内の先行馬有利の馬場も全く関係なし、力の違いを見せつけた。

7着シングザットソングは道中4番手のインを追走。直線はジリジリと伸びるも残り100mでやや脚色が鈍ったように映る内容だった。


ニュージーランドT【データ:C メンバーレベル:B】

過去10年の成績【2-1-2-45】勝率4.0%、連対率6.0%、複勝率10.0%

2018年ケイアイノーテックなど最多タイの2勝をマーク。ただしここをステップに挑む馬は多いため、率自体はかなり低くなっている。

稍重で行われたレースはドルチェモアが逃げて、前半800m通過は46.5だった。直線は好位追走から外を回したエエヤンが押し切り、3連勝で重賞初制覇。勝ちタイムは1:33.7だった。レース内容は文句なく、今年のマイル路線のメンバーでは上位の力があるところを見せた。

2023年NHKマイルCを出走するエエヤン,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


2着ウンブライルはクイーンC6着からの参戦。4角8番手から上がり最速の35.3の末脚で追い込んできた。クイーンCでは桜花賞4着のハーパーと0.3秒差という内容からも、力は出し切ったと言える。

3着シャンパンカラーは6番手追走から、直線は馬群を捌いてきた。反応が鋭いタイプではないが、2戦2勝の東京コースに替わる点はプラスに働きそうだ。

4着モリアーナは直線で伸びかけたようにも見えたが、ゴール前で2、3着馬に交わされた。こちらも東京コースに戻るのは歓迎材料。瞬発力勝負の展開になれば巻き返す余地はある。

5着ミシシッピテソーロは4角12番手から伸びて、勝ち馬とは0.5秒差。現状は、道中脚をためてどこまで迫れるかという競馬が合っていそう。

1番人気だったドルチェモアは7着。休み明けに加えて、外差しが決まりやすい馬場状態もアダとなった。今回は三浦皇成騎手への乗り替わりとなるが、一度使われた上積みと実績を考慮すると、上位争いをしなければいけない存在だ。


アーリントンC【データ:B メンバーレベル:C】

過去10年の成績【2-0-4-19】勝率8.0%、連対率8.0%、複勝率24.0%

昨年は優勝したダノンスコーピオンと18番人気3着となったカワキタレブリーがこのローテーション。複回収率は275%となっている。

レースは雨が降る中、重馬場で行われた。スタート後、先行争いが激しくなったが最終的にユリーシャが後続を6馬身ほど引き離して、前半800m通過45.8というハイペースを刻んだ。

直線に向くと脚色は鈍り、残り250mでセッションが先頭へと躍り出るも、内からショーモンやシルヴァーデュークなどが詰め寄る大混戦。そこに大外からジリジリと差を詰めたオオバンブルマイがゴール寸前でアタマ差捉えて差し切り勝ち。京王杯2歳Sに続いて重賞2勝目を飾った。

先行勢が最後急失速したということもあるが、きっちり差し切るあたりはさすが武豊騎手という騎乗。引き続き騎乗できるのも、オオバンブルマイにとってアドバンテージとなるに違いない。

2着はセッション。3番手追走から一旦は勝ったかと思わせるレースだったが、最後苦しくなった。それでも3着ショーモンと同様にしぶとさを見せたのは今回にもつながると考える。

4着同着のトーホウガレオンは道中、折り合いに苦労する場面も見せていたことを考慮すると健闘したと言えるだろう。

7着ナヴォーナは9番手追走から直線は大外に持ち出された。デビューは2月と遅く、一気の相手強化、さらに道悪という中で現状の力は出し切ったように感じる。

11着ユリーシャは、前半から12.5-10.6-11.0と飛ばしてしまうと致し方ない結果だ。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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