【マイラーズC】実績馬ソウルラッシュ、シュネルマイスター有力 伏兵候補は六甲S組のサヴァ
勝木淳
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リニューアル京都、開幕!
競馬が京都に戻ってくる。2年半かけたリニューアル工事で生まれ変わった競馬場を訪れるお客さんはいったい、どんな感想を抱くだろうか。完全に生まれ変わったスタンドやパドックや施設面もさることながら、路盤を改修したコースも気になるところ。外回り4コーナーのカーブは緩やかになった。「京都外回りは内が開く」という名言もあったように、コーナーがきつい京都外回りは直線入り口で馬群が外へ流れ気味になるところがあり、コーナーリングの上手な馬なら、うまくラチの切れ目を利用してインに飛び込める。緩くなったということは、そういった外へ流れるようなことはなくなるだろうか。
マイラーズCの舞台である1600mはスタート地点の幅員が拡張された。4コーナーカーブともどもなにか傾向に大きな変化を与えるとは考えにくく、むしろ個人的には路盤改修が気になる。以前から春の京都は高速馬場が定番。はたしてその傾向はどちらに変化するのか。この辺は開催がスタートしてからじっくり見定めたいところだ。ここではコース傾向より戦歴データを中心に21、22年阪神も含め、過去10年分を使用する。
安田記念に向けたマイル戦線はここか芝1400mの京王杯SCが前哨戦。同レースは短距離寄りの馬も多く出走し、傾向もどちらかというと短距離型が優勢。マイラータイプは出走間隔の都合もあり、マイラーズCに多く集まる。京都、阪神ともに舞台は外回りであり、紛れが少ない正攻法で挑める。1番人気【2-3-2-3】勝率20.0%、複勝率70.0%は抜けた成績でもないが、3番人気以内【6-5-5-14】、4、5番人気【2-3-2-13】と混戦であっても5番人気以内なら計算できる。6、8番人気が各1勝だが、穴馬は基本的には連下候補まで。
年齢別では4歳【4-5-2-32】勝率9.3%、複勝率25.6%、5歳【5-1-6-18】勝率16.7%、複勝率40.0%で5歳が優勢。6歳【1-1-1-27】勝率3.3%、複勝率10.0%、7歳以上【0-3-1-36】複勝率10.0%なので、ベテランもしっかり押さえておきたいが、4、5歳中心で考えてよさそうだ。
前走オープンのジャスティンスカイ、サヴァの取捨
今年はAJCCから向かうガイアフォースら4歳勢より5歳シュネルマイスター、ソウルラッシュのマイル実績馬を上とみるべきだろうか。ここからは前走成績の傾向を探る。
前走国内GⅠ【0-0-1-9】複勝率10.0%はフェブラリーS【0-0-0-3】、高松宮記念【0-0-0-4】で春のGⅠから条件を変える転戦組が数字を落としているが、マイルCSに限ると【0-0-1-1】。18年に2頭が出走。前年マイルCS2着エアスピネルが3着、同14着ヤングマンパワーが12着だった。マイルCS4着だったソウルラッシュは前年阪神の覇者。デビューは20年12月で京都出走歴はない。富士Sなどを見る限り、直線が長い高速マイルにも対応できそうだ。
主力は前走GⅡ【5-1-0-12】勝率27.8%、複勝率33.3%。その内訳はシュネルマイスターが該当する中山記念【2-0-0-2】勝率、複勝率50.0%など。中山記念組4頭はすべて4着以内でシュネルマイスターの好走確率は半々といったところ。こちらも5歳馬で京都出走歴はないが、過去の戦歴から高速決着、速い上がりも問題ない。ただし、22年秋から4戦連続馬券圏外。中山記念4着は復調の兆しともとれるものの、3歳マイル王であっても、どうも適距離は1800mのような気もしなくもない。なお、ガイアフォースのAJCCは出走なし。マイル戦は初出走なので、流れに乗れるか否かがポイントになる。
前走GⅢは【1-4-7-47】勝率1.7%、複勝率20.3%とやや数字が落ちる。ここはエアロロノアの東京新聞杯【0-2-3-11】複勝率31.3%がアテになりそうだ。一方、マテンロウオリオンのダービー卿CTは【0-0-1-20】複勝率4.8%でトーンダウン。好走は16年クラレント3着のみ。同馬はダービー卿CT14着だった。
であれば、前走オープン・L【2-5-1-34】勝率4.8%、複勝率19.0%に注目。そのレース別成績はジャスティンスカイらの洛陽S【1-2-0-4】勝率14.3%、複勝率42.9%、サヴァらの六甲S【0-2-1-18】複勝率14.3%。洛陽S1着馬は【1-1-0-3】なので、ジャスティンスカイは有力。ただし、洛陽Sが京都だと【1-1-0-2】、阪神だった近2年は【0-1-0-2】で数字的には落ちる。もっともこの2年はマイラーズCも阪神だったので、なんともいえない。
六甲Sはすべて阪神で、マイラーズCが京都だった13~20年では【0-2-0-14】。好走2頭は六甲S1、2着で、3着以下【0-0-0-8】。阪神から京都への舞台替わりというより、好走の勢いを買うといったイメージでいい。ダートから芝へ転戦後、7、1着と着実にパフォーマンスを上げるサヴァはチャンスありだ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。
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